お肉の表面に出る白いプニプニとした物体の正体は?出さないように焼く3つのコツを解説!

お肉の表面に出る白いプニプニとした物体の正体は?出さないように焼く3つのコツを解説!

料理研究家・井上かなえ(かな姐)さんのフーディストノート公式連載。今回は、お肉を焼いたときに表面に浮き上がってくる白いアクのような物体の正体と、それを出さないようにきれいに焼くコツを解説していただきます。

こんにちは!かな姐です。

先月のお題だった「かぼちゃの煮物をほくほくに仕上げるコツ」なんですが、なんとこれまでの連載記事の中で一番多くの人に読んでいただけたようで、びっくり!

これからも料理本には載っていないちょっとした調理のコツや、食材選びの秘密なんかをお話ししていけたらと思いますので、よろしくお願いします。

さて、今月のお悩みはこちらの質問を選んでみました。

お肉を焼いたときに出てくる白いプニプニ。解凍の仕方、肉の焼き方などの問題だとネットで検索すると教えてくれますが、いまだに解決しません…。

お肉を焼くときのコツやポイントは、これまでにも本家のブログや、ほかの連載コラムなどにも何度も書いてきているんですが、そういえば火加減のことはお話しても、白いプニプニについてはスルーしていました。

1月のコラムで、骨付きチキンを加熱したときに出てくる、赤い汁みたいな血みたいなものって何?というのは書いたのですが、

↓この記事です

手羽元から出る血のようなものの正体とは?どう調理するのが正解?

今回は白いプニプニについて。

白いプニプニが出てくるといえば、あれかな?とすぐに思いついたのが豚のロース肉。

厚切りのお肉をポークステーキとして焼いたときに出てくることがあります。

調べてみると、一度冷凍して解凍したお肉によく見られると書かれているものもありましたので、冷凍したお肉を使って実験してみることにしました。

こちらは厚みが1.5cmの、少し分厚いロース肉です。

1枚150gくらいあります。

冷凍してあったものを冷蔵庫に1日置いて解凍させました。

そのときに出ているドリップはきちんと切り、キッチンペーパーで水分をしっかり押さえてふき取ります。

まずはいつも通りに焼いてみましょう。

筋切りして塩こしょうをふってそのまま焼いてもいいんですが、せっかくなのでここに薄力粉もまぶして肉汁を逃がしにくく、よりやわらかに仕上げる方法で。

油をひいて中火に熱したフライパンで焼いていきます。中火のまま3分ほど焼くと、豚肉の中の肉汁が沸騰して肉の表面がぷっくりと膨らんできます。

肉の周囲が白くなって、ぷっくり膨らんできた状態。

裏返しました。

2分ほど焼いた後、そういえば脂身も焼かねば!と思い、脂身の部分を立てて焼きました。

するとどうでしょう。

脂身の部分はフライパンに当てている状態なのですが、見てください!反対側の脂身ではない部分に白いプニプニが現れました。

この白いプニプニは、豚肉の肉汁やドリップが外に出てきて固まってしまったもの。

本来はこれは肉の中に留まっていてほしかったのですが…この面は焼いていなかったので、肉を動かしている間に押されて出てきてしまったようです。

はい、このように側面に出てきてしまうんですね、白いプニプニが。

白いプニプニが出てきてしまうということは、肉汁が出てしまって中もしっとり焼けていないということになりますよね。

というわけで、あらかじめ中に肉汁を閉じ込めておくためには…、

水100mlに塩5g(小さじ1)と砂糖5g(小さじ1)を混ぜた、ブライン液を用意します。

こちらに豚肉を漬け込みます。

このとき、筋切りはしません。

肉がしっかりとブライン液を含んでくれるので、お肉が反り返ることなく焼けるので筋切りの必要がないのと、筋切したところから肉汁が出てきてしまうのを防ぐため。

わたしはバットに並べていますが、厚手のポリ袋に入れるほうが、全体にまんべんなく行き渡りますよ!

3時間~半日ほど置いて(一晩置いてもいいです)、しっかりと水気を拭きとり、こしょうをふります。

先ほどは塩こしょうをふりましたが、ブライン液に塩が入っているのでここでは塩はふらなくて大丈夫です。

はい、これだけ。

薄力粉はまぶしません!

では焼いていきますよ。

油をひいて中火に熱したフライパンで、豚肉の脂身の部分から焼いていきます。

このようにトングにはさんでジューッと焼き付けるようにすると簡単です。

火加減は中火です。

3分ほどこのまま動かさずに焼いていきます。

裏面は3分弱くらい。

しっかり脂身を先に焼いたので、こんがりおいしそう!

焼きあがったらすぐにバットに取り出し、5分ほどこのまま置いて肉の中で暴れる肉汁を落ち着かせます。

切らずにそのままお皿にどーんとサーブするならば、そのまま食べていただいても大丈夫ですよ。

わたしは切り分けたいので時間を置きましたが、置いている間にやっぱり少し肉汁がしみ出てきてしまうのですが(白いプニプニではなく、透明の汁)切り分けた後に肉にかければ問題ありません。

斜めに切り分けました。

いかがでしょうか。

この方法ならば、白いプニプニがそこまで気になりませんでした。

しかも、ブライン液に漬け込んだことで肉の旨味が引き出され、いつものポークソテーの何倍もおいしくなるんです!

実際、このお肉を食べた家族が別々のタイミングで「お肉おいしかった!」「昨日のお肉、なんかおいしかったなぁ」と珍しく感想を言ってくれました。

レシピも残しておくのでぜひ試してみてくださいね。

「極上ポークソテー」レシピ

分量

3~4枚分

材料

・豚背ロース厚切り肉…500gくらい

・こめ油…大さじ1

・こしょう…少々

A

・水…100ml

・塩…小さじ1

・砂糖…小さじ1

作り方

1. 豚肉はドリップをキッチンペーパーでふき取る。厚手のポリ袋にAを入れて溶かし、豚肉を入れて密閉し、冷蔵庫で3時間~半日置く。

2. 豚肉を取り出してキッチンペーパーで表面の水分を押さえ、こしょうをふる。

3. フライパンに油をひき、中火にかける。充分に熱したところに2の肉の脂身を下にして入れ(写真参照)、そのまま1分強くらい焼いておいしそうな焼き目を付ける。

4. 肉を倒し、並べる。片面を3分焼いたら裏返し(煙が出るようなら少し火を弱めても)、裏面は2~3分ほど焼いてバットに取り出し、そのまま5分置く。

5. 食べやすい大きさのそぎ切りにし、皿に盛る。バットの中に出てきた透明な汁は、切り分けてから肉にかける。

調理の3つのコツ

白いプニプニを出さないポイントとしては、

ブライン液に漬け込んで肉の中に肉汁を閉じ込めてしまうこと
焼くときはわりと高めの温度を維持しながら短時間で焼き上げること
焼いている間は触らないこと

今回のお肉は冷蔵庫から出した冷たい温度で焼いてもいいですが(チルド室だと少し低すぎるので普通の冷蔵室の温度くらいで)、もちろん、冷凍のままや半分凍ったままで焼くなど言語道断ですよ笑

何度か焼くうちに、肉の枚数が多いと白いブニブニが出やすいかもなと感じました。

一気に焼こうとすると、フライパンの温度が一時的に下がってしまうのも理由にありそうです。

 

最後に…

ちなみになんですが、豚肉1枚だけをブライン液なしで塩こしょうだけで焼いたとき、白いブニブニは出なかったんですよ笑

ね!出てない!

これはきっと高い温度のまま最後まで焼き続けることができたからなんだと思います笑

 

では来月もお楽しみに~。

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