闇金から借りてしまった際の正しい対処法を弁護士が詳しく解説

闇金から借りてしまった際の正しい対処法を弁護士が詳しく解説

長引く不況やコロナ禍の影響でお金に窮している人々が、「闇金からお金を借りてしまった」という状況に陥っていることが少なくないでしょう。

闇金業者は、審査なしに迅速にお金を貸し出してくれるため、お金に困る人々にとって魅力的に映ります。借り手も、金利が高いとは承知の上で、「少額ならすぐに返せるから問題ないだろう」と考えることがあります。

近年では、見かけ上は一般的な貸金業者と区別がつかない「ソフト闇金」と呼ばれる業者も存在し、闇金だと気づかずに借りてしまうことがあります。

どちらにせよ、一度闇金から借りてしまうと、過酷な取り立てや嫌がらせにさらされ、生活が壊滅的な状態に陥るおそれがあります。

このため、この記事では以下のポイントに焦点を当てて解説します:

・闇金からお金を借りた場合の具体的な影響とは?

・闇金と合法の金融業者を見分ける方法は?

・闇金に借りてしまった場合の適切な対処方法とは?

闇金問題に精通するベリーベスト法律事務所の弁護士が、闇金トラブルに関する情報とアドバイスを提供します。この記事が、闇金トラブルでお困りの方々に役立つことを願っています。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、闇金とは?闇金業者とはなにか?

急な入用ができたときや、万年借金の返済に追われているなど、ある程度のお金が欲しいと思ったとき頭に浮かぶのが「闇金」です。

多くの人は、「闇金」とは何か?と聞かれたら、「厳しい取り立てを行う怖い金貸しというイメージはあるが、よく分からない。」というのが正直な答えではないでしょうか?

そこで、まず「闇金」とは何か?について、法的観点からお答えします。

(1)闇金業者とは貸金業法の登録を受けていない業者

お金を他人に貸すという行為は、貸した人が優位に立つ関係になってしまうケースがあります。

ですから、善意以外でお金を他人に貸すことを「業」(※)とする場合、この優位を悪用して借りた人が不当な立場にならないよう、ある法律に従わなければなりません。

その法律とは「貸金業法」です。

貸金業を行おうとする場合、貸金業法に基づき都道府県知事や財務局長への登録が必要となります。

無登録で営業している貸金業者には刑事罰が科せられますが、「闇金」あるいは「闇金業者」とは、貸金業法の登録を受けていない貸金業者を指します。

闇金は「高利(利息が高い)」のイメージがありますが、無登録の業者であれば、たとえ低い金利での貸付けを行っていたとしても「闇金」あるいは「闇金業者」です。

また逆に、登録をしていればいいかといえばそういうわけでもありません。

別の法律になりますが、「出資法」という法律があり、貸金業者が貸付けを行う際の金利の上限は年20%と定められています。

出資法では、これを超える違法な金利で貸付けを行う貸金業者には刑事罰が科せられますが、登録を受けていたとしても、この上限規制に違反して貸付けを行う業者も全て「闇金」あるいは「闇金業者」であるということができます。

実際に、都道府県知事や財務局長の登録を隠れ蓑にして、暴利を貪る貸金業者は存在しています。

※ 「業」とは、反復継続して、不特定の人に対して行うことを言います。

(2)闇金とは?

以上をまとめますと、

貸金業法上の登録を受けずに貸金業を行っている貸金業者
出資法違反の金利で貸付けを行う貸金業者

が「闇金」あるいは「闇金業者」といえます。

なお、「金利が高いことの実害」は、実は、実感することが難しいことです。

とにかく今すぐお金を借りられるというメリットが輝いていますから、後の金利について考えられる人は多くはありません。

また、金利は、複雑な計算により算出されることから、多いのか適切なのかがとてもわかりづらいのです。

このような「金利」ですから、法律で制限されているのです。

もし、後に大もうけができることが確実で、今すぐ大金が必要だというようなケースであれば、すぐに貸してくれるメリットを生かし、多少損をしても借りてしまうことはあるかもしれません。

しかし、多くのケースでは後の大もうけはありませんし、返済は一瞬で終わることはなく、長期にわたって返済を迫られるという実情があります。

とにかく、金利は、少しでも低いほうが安全なのです。

金利の重要性(怖さ)については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

2、闇金から借りてしまった場合のリスクとは

まずは、闇金から借りてしまったらどうなるのかを知っておくことが大切です。

誰しも「闇金から借りるのは危険」ということは分かっていても、漠然としたイメージしか持っていない人が多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは闇金から借りてしまった場合のリスクを具体的にご説明します。

(1)法外な利息を要求される

まず、第一のリスクは、法外な利息を要求されることです。

実際にどのくらいの利息を要求されるかは業者によってまちまちですが、ほとんどの場合、一般の方が事前にイメージしているよりも大幅に高い利息を要求されます。

具体的には、「トイチ」(10日で1割の利息)であれば安い方であり、一般的には「トサン」(10日で3割)から「トゴ」(10日で5割)を要求する業者が多いです。

ちなみに、トサンの金利を年率に換算すると1095%であり、正規の貸金業者から借りた場合の約55倍の金利となります。

仮にトサンで5万円を借り入れて真面目に利息を支払うと、3か月で13万5000円もの利息を支払わなければなりません。

借入額の倍以上のお金を支払っても元金は1円も減らないのですから、どのように返済資金をかき集めても足りないことになるでしょう。

(2)払えないと嫌がらせをされる

法外な利息を支払えない場合、闇金業者からさまざまな嫌がらせをされることになります。

一般の方のイメージとしては、払えなければ暴力団員風の男性が自宅などに押しかけてきて、暴力的・脅迫的な取り立てを行うというようなものが多いのではないでしょうか。

しかし、実際にはこのような、あからさまに暴力的な取り立ては行われません。

なぜなら、犯罪的な取り立てを行うと逮捕されるリスクがあるからです。

また、実際に借り手の自宅などに出向いて取り立てを行うには時間と労力、費用がかかりすぎて割に合いません。

そこで、多くの闇金業者は嫌がらせ行為によって借り手を精神的に追いつめ、利息を支払わざるを得ないように仕向けるのです。

具体的には、執拗かつ頻繁に電話をかけてきて返済を迫り、それでも支払わなければ家族や親族、職場にまで取り立ての電話をかけるのが常套手段となっています。

(3)犯罪に加担させられることもある

意外なリスクとして、闇金業者が行う犯罪に加担させられるという可能性もあります。

利息を支払えない借り手に対して、借金の免除と引き替えに犯罪行為への加担を持ちかけられるのです。

最も多いケースは、銀行口座や携帯電話・スマホの譲渡を要求されることです。

闇金業者は通常、返済金の受取口座や連絡用の携帯電話・スマホには第三者名義のものを使用します。

なぜなら、自分名義のものを使用するとそこから足がつき、すぐに警察に逮捕されてしまうからです。

しかし、銀行口座や携帯電話・スマホの譲渡は法律で禁止されている犯罪行為です。

「それだけで借金を免除してもらえるのなら……」と軽く考えて譲渡してしまう人も多いですが、譲渡した方も罪に問われてしまいます。

他にも、振り込め詐欺や違法薬物の運搬など、さまざまな犯罪への加担を持ちかけられる可能性があります。

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