共働き夫婦に加給年金はつく? 妻が5歳下、10歳下、同い年で比較してみよう!

少子高齢化の日本では、働き方改革により新たな働き手として女性や高齢者が注目されています。特に、出産や子育てのため仕事から離れていた女性が、将来受け取る公的年金額を増やすなら、社会保険の加入が必然といっても過言ではありません。
 
共働き夫婦には、年金を受け取るときに別名「家族手当」といわれる加給年金がつかないと聞いたけれど、働くだけ損することになるのでしょうか? とご相談にいらっしゃる人もいます。

3組の夫婦について比較してみよう

家電メーカーで働くKさんの妻(配偶者)は、5歳年下です。職場結婚をしましたが、出産を機に退職し専業主婦になりました。退職後は子育てが落ち着き、Kさんの扶養範囲内でパート仕事をしているため、社会保険に加入しない働き方をしています。

 

同僚のTさんは、いわゆる年の差婚です。10歳年下の妻は出産・子育てのため、いったん仕事を辞めて専業主婦です。Tさんの妻は、子育てが落ち着いたので、仕事に復帰し厚生年金保険期間が20年を超えています。

 

さらに、同僚のSさんは学生時代の同級生と結婚したため、同い年の夫婦です。Sさん夫婦には子どもがいないため、妻もずっと働き続けています。

 

この3組の夫婦の65歳から配偶者に加算される加給年金について考えてみます。

 

老齢厚生年金(厚生年金保険)の加給年金とは

厚生年金保険の被保険者期間が原則20年以上ある人が、65歳到達時点、もしくは、定額部分支給開始年齢に到達した時点で、その人に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。ただし配偶者は、自身の老齢厚生年金の被保険者期間が原則20年以上を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金は支給停止されます(子も要件あり)。

 

事例:3組の夫婦それぞれの65歳受給時の年金見込額を比較してみましょう。

 

図表1

 

Kさん夫婦は妻が5歳年下であり、妻の厚生年金保険の加入期間が20年未満のため、妻が65歳になるまで、夫の老齢厚生年金に配偶者の加給年金がつきます。加給年金額は39万7500円(2023年度)のため、5年で約200万円です。

 

Tさん夫婦は10歳年の差があるため、夫が65歳になり、老齢厚生年金の受け取りを始めると、妻が65歳になるまで、夫の老齢厚生年金に加給年金がつきます。加給年金額は10年で約400万円です。

 

Kさんが65歳になると、配偶者が65歳になるまで加給年金を受け取ることができますが、Sさん夫婦は同級生であり、妻の誕生日はSさんの誕生月と同じです。そのため、加給年金を受け取ることはできません。

 

Tさん夫婦のように、年下の配偶者(今回は妻)に20年以上の厚生年金保険期間があったとしても、受給権が発生していなければ加給年金は受け取ることができます。配偶者の老齢厚生年金の受給開始が65歳のためです。

 

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