保釈金の相場とは|保釈金の決定要因は罪の重さ?資産状況?

保釈金の相場とは|保釈金の決定要因は罪の重さ?資産状況?

「保釈金」という言葉は、有名人が逮捕された時などに頻繁に聞くことがありますが、その意味や相場、支払いに関する詳細など、知っている方は意外にも少ないものです。

通常の事件での保釈保証金(保釈金)の相場は150万円から300万円ほどが一般的な相場とされていますが、有名人の場合にはその金額にばらつきがあり、例えば、ロッキード事件における田中角栄氏の場合には2億円、小室哲哉氏の場合には3,000万円といった大きな差がありました。この違いは罪の重さや資産状況によるものなのでしょうか?

今回は、保釈金の具体的な決定要因に焦点を当て、その仕組みを詳しく解説いたします。保釈金の金額がなぜそのように決まるのかについて、知りたい方のご参考になれば幸いです。

保釈そのものについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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1、保釈保証金(保釈金)とは?

犯罪を行い(あるいは犯罪を行ったと疑われ)、警察官や検察官に身柄拘束されることを、「逮捕」又は「勾留」といいます。この身柄拘束を解く手段は、その段階に応じて異なります。

(1)起訴前の段階

起訴とは、捜査の段階から裁判の段階に移行する手続をいいますが、起訴前の段階では、逮捕に対しては何らかの手続をとって、身柄拘束を解くことはできません。他方、逮捕後勾留されると、「勾留に対する準抗告」という手続をとることで身柄拘束からの解放を求めることができる場合があります。

(2)起訴後の段階

起訴後の段階では、「勾留の執行停止」又は「保釈」という手続をとることで身柄拘束からの解放を求めることができます。ここで、「勾留の執行停止」とは、一時的な必要性(例えば、親族の葬式に参加する、緊急で病院に行く必要がある等)のために、身柄拘束が一時的に停止することをいいます。

(3)保釈の手続

他方、保釈というのは、法律上は勾留の効力を残しながら、(一時的ではなく)その執行を停止し、身体の拘束を解く制度です。保釈の請求をすると、裁判所が逃亡の恐れ・罪証隠滅の恐れがないか等を審査し、これらがないと認められれば、保釈を許す決定が出されます。裁判所は保釈を許す決定を出す場合には、それと同時に保釈保証金(保釈金)が定められます(刑事訴訟法93条1項)。身柄拘束から解放されると、裁判の期日に出頭しない可能性やそもそも所在不明になってしまう可能性が生じてしまいます。

そこで、法律上、裁判の期日への出頭等を確保するために、逃亡に対する心理的負担を与え(誤解を恐れず言えば、人質的に)、裁判所に保釈保証金(保釈金)を納付させることになっています。

2、保釈保証金(保釈金)を支払う効果

保釈保証金(保釈金)は、保釈を許す決定をする際に必ず定められるものですから、保釈保証金(保釈金)の納付は、身体の拘束を解く条件となります。

つまり、保釈を許す決定が出た場合に保釈保証金(保釈金)を支払えば、家に帰ることができますし、仕事や学校に行くこともできるなど、一定の条件はありますが、基本的には自由に生活することができます。

逆に保釈保証金(保釈金)を支払わなかった場合には、保釈を許す決定が出ても、勾留の執行は停止されません。つまり、刑事施設から出ることができず、自由に仕事することや家族と自由に生活することができないことになります。

(1)保釈保証金(保釈金)を支払う方法

通常は、保釈の請求をする段階で、保釈保証金(保釈金)として見込まれる額を弁護士が指定する口座に振り込んでもらい、保釈を許す決定が出たら、弁護士が現金を持って裁判所の出納課に納付します。

裁判所に対しては、電子納付の方法により納付することもできますが、納付の確認に時間がかかりますので、その分、身体拘束からの解放が遅くなってしまうことになります。

(2)保釈保証金(保釈金)は返ってくるのか?

基本的には保釈保証金(保釈金)は返ってきます。

もっとも、以下のような場合には保釈が取り消され、裁判所の決定によりその全部又は一部を没収されることがあります。

裁判所に出廷を求められたのにもかかわらず正当な理由なく出頭しないとき
裁判所の定めた住居の制限に違反したとき

など。

また、保釈された者が刑の言い渡しを受けその判決が確定した後、執行のため呼び出しを受け正当な理由がなく出頭しないとき又は逃亡したときにもその全部又は一部が没収されることになります。

しかし、上記のような事情がない場合には、たとえ有罪判決、実刑判決であったとしても、判決の言渡しがあったとき又は判決が確定したときに、還付(返還)を受けることができます。裁判所内部での会計の手続などもありますが、判決後2、3日から長くて1週間程度で返還を受けることができます。

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