「今はいいけど、将来は女の子と違って疎遠になるのだろうな…」
成長して親離れするのは男女限らず普通のこと。だが女の子が男の子と異なるのは、大きくなっても一緒にママと買い物したり食事をしたりと、結婚後も実親と交流を持つママは多い。
一方男の子の場合、ある程度大きくなったらそのような交流は持ちにくい。結婚したら妻は「夫の家に入る」という考えもあるが、実際昔のように夫の家で同居して、いつまでも息子家族が男親のそばにいるケースは減ってきているのだ。
●買い物や食事に行く役割を子どもに求めてはいけない
男の子の場合はあまりに母親と仲がいいのは「マザコン」として問題だし、親離れするのが健全なのは頭では理解できる。しかし一方で、いつまでも仲良くしたいという男の子ママの複雑な心境はどこからくるのか?
これまで7000人以上のママたちを対象に子育てのアドバイスをしてきたという子育てアドバイザーの和久田ミカさんは、そんな親の複雑な心理について「世代間境界の崩壊が原因」と指摘する。
「世代間境界とは家族における、祖父母、親、子どもそれぞれの世代ごとの線引きです。日本ではこの線引きが壊れている家族がとても多く、夫婦のつながりよりも母親と子どもでつながってしまう。その結果出てくるのが子離れや親離れの問題ですね。そもそも一緒に買い物や食事を楽しんでくれる役割を、親が子どもに求めてしまうことが間違っています」(和久田さん 以下同)
●見直すべきは子育てよりも“夫婦育て”
家族の「世代間境界」の観点でいうのであれば、ママがつながりを持つべきは子どもよりも夫ということになる。そのためまず見直してほしいのは「子育てよりも“夫婦育て”ですね」と和久田さん。
「今どきのママたちは、誰かと想いや体験を『共有したい』という傾向が強く見られます。小さいうちはどうしてもその対象者が子どもになりやすいですが、できればそれを夫婦で共有してほしい。趣味をつくり、その仲間と体験を共有するのもいいですね。そうやってだんだん共有者を子どもから移していくといいと思います」
大きくなっても子どもに依存してしまうのは、やはり「子離れができない」という親側の問題。それは子どもが女の子であろうと男の子であろうと同じだ。
大切なのは将来大きくなって子どもと疎遠になることを不安視するのではなく、「子どもが自立してやっと夫と過ごす時間ができた」と思えるような夫婦関係を作ること。自分の将来のためにも子どものためにも、それを怠けずに心がけたい。
(高山惠+ノオト)