その子の個性にあった「叱り方」を見つけよう

第2回 子どもの性質で「正しい叱り方」は変わってくる!
いくら子どもを叱っても響いていない…。そんなときは、もしかしたら「叱り方」がその子に合っていないのかも?

やんちゃな子、おとなしい子、おっとりさん。子どもの個性は様々だが、実はそれぞれの個性に応じた「叱り方」があるのだという。

その子の個性に合わせた叱り方とは? 子どものパーソナリティー心理学を専門とするお茶の水女子大学基幹研究院・人間科学系教授の菅原ますみ先生に話を聞いた。

●統制性と活動性から「叱られやすさ」がわかる

「同じ出来事に対する反応は、人それぞれ違いますよね。叱られたときも同じ。私の専門はパーソナリティー心理学ですが、子どもの“統制性”“活動性”という2つの軸から、子どもの個性と叱られやすさを見るチェックテストを作りました」(菅原先生 以下同)

■統制性
衝動性×自己コントロール力のこと。欲求や感情を制御しやすいかどうかを指す。

■活動性
エネルギーの大小を指す。エネルギーが外に向かう子ほど目立つタイプになる。

子の「育てやすさ」「育てにくさ」には、この2つの軸が大きく関連しているのだ。

絵を描いて遊んでいる子どもたち

●子の個性と叱られやすさはどう判断する?

次に紹介する2つのチェックテスト(※幼児対象)に普段のわが子を当てはめて「当てはまる(+2点)」「だいたい当てはまる(+1点)」「あまり当てはまらない(-1点)」「当てはまらない(-2点)」で合計点を出してみよう。

■統制性 チェックテスト1
1 「静かにお話を聞こうね」と言われればじっと座っていることができる
2 思い通りにならないことがあっても、かんしゃくを起こしたりはしない
3 工作やワークブックなどで少し難しい課題にぶつかってもイライラせずに取り組める
4 友達に偉そうにしたり、いばったりする態度を見せることはめったにない
5 「テレビは30分まで」というルールを素直に守ることができる
6 話したいことがあっても、他の人の話に割り込むようなことはしない
7 お手伝いや片付けをしなさいと言われると、多少面倒でもすぐ取り掛かる
8 習いごとの練習や工作などを集中してでき、気が散ったりしない
9 先生や親の話を落ち着いて聞くことができる
10 衝動的に友達を怒ったりたたいたりするようなことはない


■活動性 チェックテスト2
1 「いつも元気いっぱいだね」とよく言われる
2 きょうだいや友達と遊んでいるとき、自分からアイデアや意見を言う
3 「おとなしいね」「恥ずかしがり屋だね」とはめったに言われない
4 何事も親を頼らず、一人で決めることが多い
5 初めての場所や見知らぬ人に会うことを臆さない
6 まだできそうにないことでも「やりたい!」と自信をもって言う
7 おしゃべりが好きで朗らかにしている
8 やりたいことがあれば親に相談せずやってみる
9 あまり慎重な行動はとらない
10 お友達や先生の前でも自分がどう思っているか、なぜこうしたのかを説明できる

(※上記のチェックリストは3~6歳の幼児が対象ですが、『その叱り方、問題です!』には小学1~3年生用テストも紹介されています)

子の個性診断

●あなたの子は次の4つのうち何タイプ?

テスト1の合計点を横軸に、テスト2の合計点を縦軸におき、ぶつかった点に印をつけてみよう。A~Dのどこに位置するかで子どもの個性が見えてくる。

■Aの「がんばりやさん」タイプ
行動的でガッツがあるタイプ。頭ごなしに怒鳴ると素敵な個性をつぶしてしまうので、「あなたならできる!」といったポジティブな勇気づけが効果的。

■Bの「おだやかさん」タイプ
不安が強い子なので厳しい言い方は逆効果。恐怖で行動を制限してしまいます。多くを要求せず、優しく諭すことを繰り返しながら自信を育てていこう。

■Cの「マイペース」タイプ
のんびり&だらだらで怒られがち。「叱る」よりも「支える」を重視して、守らせたいルールは1つか2つに厳選。小さな「できる」をたくさん増やしていくことが成長につながるはず。

■Dの「やんちゃ」タイプ
とにかくパワフル。してはいけないことはその場で止めて、きっぱり叱るのが基本。自己コントロール力を伸ばせるように、親が根気よくサポートしてあげよう。

ただし、子どもがどのタイプに当てはまるかは、そのときどきの成長や周囲の環境によって変化する。さらに詳しい解説を知りたい人は、ぜひ『その叱り方、問題です!』(主婦の友社)を参照してほしい。個性にはいいも悪いもない。育てにくい、育てやすいといった親の都合で安易にジャッジせず、わが子の個性を伸ばす方法を親自身が見つけていこう。
(阿部花恵+ノオト)

お話をお聞きした人

菅原ますみ
お茶の水女子大学基幹研究院 人間科学系教授。専門は発達心理学。子どものパーソナリティーや精神病理の発達を専門とし、0~30歳までの発達を王日本では数少ない長期に渡る縦断研究を行う。
お茶の水女子大学基幹研究院 人間科学系教授。専門は発達心理学。子どものパーソナリティーや精神病理の発達を専門とし、0~30歳までの発達を王日本では数少ない長期に渡る縦断研究を行う。