「警察に逮捕されると、すぐに検察庁に送致されます。少年事件の場合、環境に問題がなかったかどうかなど家庭状況にもチェックが入ります。その後、家庭裁判所へ送られるというのが一般的な事件の流れになります」
こう話すのは、渋谷青山刑事法律事務所の二宮英人弁護士。また、警察沙汰となったとすると、学校へも連絡がいき、最悪の場合、停学処分や退学処分になることもある。
「警察は逮捕したときに、学校に連絡することが制度で決まっています。ですが、この段階で弁護士が学校に伝えないでほしいと交渉する場合もあります」(二宮弁護士 以下同)
未成年者のうちは素直で、成人よりも改善する見込みが高いとされる。そのため、少年事件は犯した罪を裁くことではなく、本人の更生を主眼に置いているという。
●少年犯罪 連絡を受けた親の反応は人それぞれ
わが子が犯罪を起こしたとなれば、処分が決まるまでのフォローや対応をすることになる。とはいえ、子どもが逮捕されたとなると親は相当なショックを受けるはず。警察から連絡があったときに親は冷静でいられるものなの?
「多くのケースでは、警察から電話が来たとき、親御さんが動揺してしまって事件の内容などをしっかりと把握できていないことがあります。また、なかには子どもが事件を起こしたことを信じたくなくて、『うちの子はやっていない』と主張する親御さんもいます。ただ、実際に警察に行って本人に話を聞いてみると、子どもは犯罪事実を全面的に認めていることも少なくありません」
事件を起こした子どもは、親がどういった反応をしているかを見ているもの。親が自分のために奔走している姿で、子どもの更生の意思が強まることだってある。また弁護士などからの説得によって反省が見られる場合は、処分も変わってくるそうだ。
「私自身、事件を起こした少年に不信感を与えないように、兄のような気持ちで接しています。保護者はもちろん、周囲の大人たちは子どもたちが心を開き改善を望むような信頼関係を築くことが大切です」
二宮弁護士は、子どもが犯罪を起こす要因はコミュニケーション不足や過干渉など、家庭にあることが多く、少年事件は親の更生も必要だと念を押す。
子どもが罪を犯した場合、本人自ら改善を望む意思を持ったかどうかが審判を左右する。無事社会復帰をして将来を歩むためにも、親が伴走する姿を見せていくことは重要のようだ。
(ノオト+石水典子)