未来の家電はどう変わる? パナソニック×AIが進む未来

一家に一台、パナソニック製の家事支援ロボット…なんて時代が来るかも!

大阪府門真市にある『パナソニックミュージアム』は、創業者・松下幸之助の高い志を感じ、それを受け継いだ多くの製品を見ることができる場所。皆さんも、ぜひ足を運んでください。 

現在、パナソニックではビジネスイノべーション本部に身を置く谷口教授。部署やジャンルにとらわれないグループ横断的な“リアルAIチーム”として、国際的な論文を書ける意思とスキルを持つ人々と知識を共有・研究をしながら将来の技術に活かすことのできる新たな発見を目指しているのだそう。
そんな世界的に活躍する人々の英知が集まれば、これからの暮らしにイノベーションを起こしていくのでは、と、思わず期待が高まりますね。

それでは、谷口教授の目には、日本の家電メーカーはどのように映るのでしょうか? 聞けば、「手厚いサービスを提供している」と感じるのだとか。

「その中でもパナソニックは、カスタマーと非常に近いところにいるメーカー。これからのAIテクノロジーにおいても、カスタマーのことを考えて実装していくのだと思います。一般論ですが、たとえば画像処理技術を活用して、部屋の中にいる子どもの動きから危険を察知し、親にアラートで知らせるなど、人々に寄り添ったサービスが考えられますよね。これらは、もはや僕ら研究者ではなく、エンジニアとカスタマーで作るフェーズ。最新の技術と市場の声が組み合わさってできるのだと思います」

となると、谷口教授の研究する“記号創発ロボティクス”と家電が関われば、いずれは家事支援ロボットが我が家にやってくる、なんてことも実現しそうですね。

「そうですね、直近ではないかもしれませんが。ポイントは、言葉の意味はただ辞書に載っている単語の結合ではないということです。語彙や種類は増えていくものなので、ロボットに言葉やテキストのデータを入れ込むだけではダメ。たとえば空のペットボトルが机の上にあるのに目を遣りながら“ゴミ箱捨てて”と言ったら、人間は文脈や状況からペットボトルをゴミ箱に捨てられますが、現段階の家庭用ロボットがその言葉を字義通りとれば、ゴミ箱を丸ごと捨ててしまいます。言語の意味は多様で、家庭や国でも意味が変わってきたりするので、工場の中だけでの勉強ではなく、実世界で使われている言語を理解できるようになる必要があるんです」

なるほど……。そう考えると、人間ってすごいんですね。

「ええ、人間が無意識でやっていることが一番すごい。よく、人間ができそうもないことをやると賢いと言われていますが、実は逆なんです。うちのラボでは現在、場所の概念を学習することに取り組んでいますが、これも実際には結構、難しい。皆さん、『キッチン』って何だと思います? たとえば僕らなら、シンクがあることやお母さんがごはんを作っていることなど、ビジュアルとそこでの行動を見て“ここはキッチンだ”と判断しますよね。じゃあアイランドキッチンなら、どこからどこまでがキッチンなのか? お掃除ロボットは“キッチンを掃除して”と言われたら、どの範囲を掃除すればいいのでしょうか? こういう概念は言葉だけでは決まらずに、その環境や文化によって違うので、これらをすり合わせていかないといけません」

それはずいぶんと難しいことのようにも感じるのですが、実際はどうなのでしょうか?

「人間ができてロボットができないことを発見すると、人間の知能の本質が見えてくるんですよね。ここで僕たち研究者にとってポイントになるのが、人間にできることはロボットにもできると信じること。そうしないと、人間の知能の本質は何か? の探求すら止まってしまう。あきらめて立ち止まったら人間の本質も見誤ってしまうので、常に探求をしていきたいですね」

人々の暮らしに寄り添って100年。エアコンはどう進化した?

1918年の創業以来、人々の暮らしの向上と社会の発展に貢献すべく、ものづくりを続けてきたパナソニック。近年、研究開発が盛んなAI技術の発展にも積極的に取り組み、より豊かな暮らしの実現を目指しています。

AIの素晴らしさは、何と言ってもさまざまなデータを元に自分で判断できるところ。これを活かし、さらなる快適さを作り出すために、エアコン『エオリア』にも新たなAI技術を搭載しました。

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