【大阪府泉大津市】泉穴師神社、樹齢600年の御神木から作られた「身体健全・病気平癒守」を元旦から授与

672年創建、鎮座から1,350年を迎える、大阪府泉大津市の泉穴師神社は、御神木のある鎮守の森の楠(クスノキ)を活用して製作された「身体健全・病気平癒御守り」の授与を2024年1月1日(月)より開始する。

倒木してもいのちを繋ぐ御神木

泉穴師神社の境内にある、市内で唯一の森「穴師の森」の中にあったひときわ大きな御神木が、2018年の台風により根こそぎ倒木した。推定樹齢は600年。古くから泉穴師神社と共に生き、歴史の証人だった御神木のクスノキだ。

1度は処分し廃棄することが検討されたが、「私たちが生まれるずっと昔からこの神社を見守ってくださっているこの御神木を、本当に撤去して良いものなのか?」という疑問がうまれ、神社、氏子である役員や地域の関係者、泉大津市長を交えて議論を重ねた結果、「災害遺産として後世に残す」という決断が成された。

倒木した御神木は、大きな根っこをあらわにして倒れた姿のまま森に残されることに。保存の資金は、クラウドファンディングで調達した。

現在は、横たえた幹から芽を出して見事に葉を茂らせている

そして現在、1度は命絶えたかと思われた御神木は、辛うじて大地と繋がっていた部分から命をつなぎ、大きく横たわった幹の側面から空に向かってひこばえを伸ばして、「穴師の森」のシンボルとして力強く生き続けている。

御神木の枝や樹皮を使用した御守り

1,000年以上続く神社の歴史、市内唯一の緑「穴師の森」、御神木の生命力あふれる力強い御姿。災害について、いのちについて。物理的な安全を確保して御神木と森の保全をしながら、このストーリーをさらに未来へ残していくためにはどうすればよいか、さらに検討が重ねられた。

こうして、「クスノキの木」の語源ともいわれる「薬の木」から発想し、御神木を活用した「身体健全・病気平癒御守り」が製作された。

御守りには、鎮守の森の保全のために剪定し、森で大切に保管していた御神木の枝や樹皮を使用している。

それらを材料として染料を抽出し、泉大津市の特産品である「ウール」を染色。

やわらかいウールの布をひとつひとつ御守りに縫製した。

御守りの中の内符には、楮雁皮の丈夫な和紙に包まれた御神木の樹皮が入っている。

そして、たとえ1度は倒れても、穴師の森で倒木した姿のまま力強く命を繋いでいる御神木の御姿のように、人々の永遠のねがいである「身体健全」「心や体の不調が癒されますよう」と、神前でご祈祷している。

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