●多くの親は、わが子の“できないこと”に目がいきがち
「親御さんは、ついこんな理由で習い事をさせようとしていませんか? 例えば、“運動が苦手だからサッカー教室に通わせよう!”“勉強が苦手だけど、塾に行ったらできるようになるだろう”“落ち着きがないから、お習字を習わせて落ち着かせよう”など。これらは、正直おススメしない理由ばかりです。なぜなら、これは“克服してほしい”という親の一方的な都合であって、子どもはきっとつらい思いをするからです」(立石さん 以下同)
多くの親御さんは、どうしてもわが子が“できないこと”に目がいきがちだという。
「もちろん、できないことを“やらなくていい”というのは過保護ですね。でも、子どもがすでにできることや得意なこと、好きなことには目を向けず、できていないことばかりに目を向け無理に苦手の克服ばかりさせていると、子どもは成功体験をなかなか味わえません。そうすると、できないことによるストレスがかかり、自信がどんどん失われていってしまうのです」
●“強み”をみつけて重点的に強化したほうが子どもは伸びる!
しかしながら、やはり得意なことばかりやらせて、苦手なことはやらせないのは、親として甘やかしているような気持ちになってしまうもの。では、どうしたらいいのだろうか?
「その疑問に答えるキーワードが“ハンカチの作用”です。床に落ちてしまったハンカチを拾い上げようとするとき、ハンカチの真ん中をつまんで上に持ち上げると、四隅も自然に上がっていきます。しかし、四隅すべてをつまもうとすると、うまくつまめずに、結果的に“ハンカチを持ち上げる”という当初の目的にすら至りません」
“ハンカチの作用”は、心理学などで用いる“汎化作用”をハンカチで例えた造語だそう。
「つまり、子どもの教育でも全部を平均的にそれなりに伸ばそうと必死に手を下すよりも、強みを見つけて重点的に強化したほうが子どもは伸びていくのです。大人になっても自分に自信がある人や果敢にチャレンジできる人は、不得意なものがあっても、他に強みを持っている人だったりします。何を習わせようかと悩んだら、ぜひお子さんに“習ってみたいことはある?”と、聞いてみてください。きっと興味のあることや好きなことを喜んでリクエストしてくれるはずですよ!」
習い事をするのはあくまでもお子さん自身。昔から“好きこそものの上手なれ”という言葉もあるように、お子さんが好きで心から楽しめる習い事をさせてやることで、可能性はどんどん広がっていくようです。
(構成・文/横田裕美子)