【江戸グルメを再現】お雑煮の歴史を紐解いてみた!連綿と続くおすまし仕立ての「江戸雑煮」に挑戦♪

【江戸グルメを再現】お雑煮の歴史を紐解いてみた!連綿と続くおすまし仕立ての「江戸雑煮」に挑戦♪

お雑煮をネットで検索すると、都道府県ごとに特色のあるお雑煮が紹介されていて、具はもちろん、汁もさまざまで興味深い!YouTubeの知的エンタメ系料理チャンネル『Genの炊事場』では、お雑煮の歴史を紐解き、伝統的な「江戸雑煮」を再現していましたよ。すまし汁に角餅、鶏肉、小松菜、かまぼこ、干ししいたけ、三つ葉、柚子。江戸時代から続く、すまし汁のお雑煮を作ってみました!


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YouTubeチャンネル『Genの炊事場』は知的エンタメ系の料理チャンネル

江戸時代から続く「江戸雑煮」のレシピを見つけたのは、YouTubeの『Genの炊事場』というチャンネル。料理を入り口として、その料理が作られた背景や歴史なども深堀りしつつ、作り方も紹介しているので、筆者は知的エンタメ系料理チャンネルという認識で視聴しています。

チャンネル登録者数は113万人!運営者のGenさんの考察を楽しみにしている方は多いようです。

今回挑戦する「鶏肉入りの江戸雑煮」は、古い書物に書かれたお雑煮の歴史などを紐解き、それをベースに再現しているよう。

動画では、お雑煮の歴史も解説されていたので、簡単に紹介します。

お雑煮にすまし汁が多いのは江戸時代の参勤交代に理由が⁉

お雑煮は日本全国で食べられていますが、各地でスタイルが異なります。関西では白みその汁で、島根や鳥取は小豆汁が一般的。なぜこんなに違うのか?と不思議に思いますよね。

Genさんの解説によると、1635年から1867年に行われていた参勤交代が、各地に伝わるお雑煮に大きな影響を与えているそうです。

江戸時代前期・1643年に書かれた日本最古の料理書とも言える『料理物語』や、1676年に書かれた京都の年中行事の様子を描いた『日次紀事』を紐解くと、江戸時代初期までお雑煮は京都のみで食べられていて、白みそ仕立てという記載があるのだとか。

その後、江戸時代後期・1838年に書かれた『東都歳時記』には、徳川家ではお雑煮にすまし汁を使い、角餅、大根、ごぼう、焼き豆腐、里芋、干しあわび、わらびを入れていたという記載が残っているそうです。

江戸時代には全国の大名が江戸に往来する参勤交代があり、徳川家のすまし汁のお雑煮が各地の大名によって広められたそうですよ。そして、大名がいない京都近隣では、古くから食べられていた白みそのお雑煮が受け継がれることに。

関西地方で白みそのお雑煮が多いのは、理由があったのですね!

明治時代になり、1905年に書かれた『江戸府内絵本風俗往来』には、江戸末期のお雑煮のレシピが記載され、基本的にはすまし汁(一部みその地域あり)で、具は焼き餅、小松菜、大根、里芋を主に用いると紹介されているそうです。

ちなみにGenさんは埼玉のご出身で、鶏肉が入った「江戸雑煮」が実家のお雑煮だとか。

ただ…。江戸後期の川柳などを見ると、鶏肉や鴨肉が入ったお雑煮があったことは確かなようですが、鶏肉を使ったお雑煮の記載は、古い風俗書や料理書には一切書かれていないそう。そのため、「鶏肉入りの江戸雑煮」は、大正や昭和に入ってから確立したのでは?という説を唱える学者さんもいるんですって。

では、お雑煮の歴史をざっと知れたところで、Genさんによる再現レシピ通りに作ってみたいと思います。

原典(レシピ)を紐解いた「鶏肉入りの江戸雑煮」を作ってみた!

動画では詳しい分量紹介がなかっため、筆者が適量だと思う分量で作ってみます。干ししいたけは適量の水に浸けて、4時間以上かけて戻してくださいね。前日に用意しておくとスムーズに作れますよ。

【材料】(2人分)
切り餅…2個または4個
鶏もも肉…100g
小松菜…1茎
三つ葉…適量
かまぼこ(約7mm厚さ)…2枚
柚子の皮(千切り)…適量

(だし)
水…500ml
昆布…7~8g
干ししいたけ(小)…2個 ※事前に戻しておく。戻し汁(今回は約100ml)も使用。
花かつお…ふたつかみ
しょうゆ…小さじ2/3~
塩…適量

1.  昆布を水に30分ほど浸けます。

「江戸雑煮」は昆布、かつお節、干ししいたけの戻し汁でだしを取ります。昆布を30分、水に浸けて昆布水を作りました。

2.  沸騰したお湯に塩を適量加えて、小松菜の根元から入れてサッと茹で、冷水で冷やします。

小松菜は1分ほど茹で、ザルに上げて流水で冷やして水を絞りました。

3.  小松菜と三つ葉を適度な長さに、鶏もも肉を小さめに切ります。

三つ葉と小松菜は4cm程度に、鶏肉はひと口サイズの半分くらいに切りました。

4.  鍋に1の昆布水を入れて加熱します。沸騰直前に昆布を取り出したら花かつおとしいたけの戻し汁を加え、30秒くらい加熱して濾します。

昆布は沸騰させるとぬめりが出るので、沸騰直前に引き上げます。花かつおと干ししいたけの戻し汁(今回は約100ml)を加え、沸騰してから30秒ほど加熱して火を止めました。

濾すと、黄金色の合わせだしが取れました。

5.  鍋に4の合わせだし、鶏もも肉、干ししいたけを入れて沸騰しない程度の火加減で6分ほど加熱し、鶏もも肉と干ししいたけを取り出して濾します。

合わせだしに鶏もも肉と戻した干ししいたけを加えて、弱めの中火で6分茹でました。鶏もも肉から脂が出ましたが、アクは出なかったので、今回は濾さずに目立ったアクだけすくい取りました。鶏肉と干ししいたけは小皿に取り出してくださいね。

6.  しょうゆと塩を加えて味を調えます。

塩としょうゆは味見しながら加えてくださいね。今回、しょうゆは小さじ2/3程度では薄かったので、全部で小さじ1と1/2程度を加えて調味しましたよ。ちなみに塩は入れませんでした。
これで、「江戸雑煮」のすまし汁が完成しました。

7.  お餅をトースターで焼いて、器に3の小松菜、5の鶏肉と干ししいたけ、かまぼこを入れてだしを注ぎ、お餅、三つ葉、柚子の皮を加えたら完成です。

すっきりとしたすまし汁に柚子の香りがフワリ♪具材の味わいが引き立つ

『Genの炊事場』で見つけた、「鶏肉入りの江戸雑煮」の完成!小松菜と三つ葉の緑、干ししいたけのこげ茶、かまぼこのピンク、鶏肉とお餅の白、柚子皮の黄色とカラフルなお雑煮に仕上がりました。具だくさんなお雑煮の印象です♪

すまし汁はほんのりと黄金色で澄んでいます。まずはすまし汁から飲んでみると、すっきりとしたおだしの味に柚子皮の爽やかな香りが広がり、きりっとした印象です。

小松菜、鶏もも肉、かまぼこ、干ししいたけ。お椀の中で、具材それぞれの味わいが引き立っています。

お餅は焼いた角餅。お餅の形の境界線は岐阜県の関ケ原と言われていて、関ケ原以東は角餅エリア。筆者は関西在住ですが、関西でも角餅が普通に売られているので、使うことが出来ました。

あっさりとしたすまし汁なので、お餅の甘みもしっかり感じられます。

東京・江戸川区周辺で栽培が始まった小松菜入りが「江戸雑煮」らしい!

YouTubeの知的エンタメ系料理チャンネル『Genの炊事場』で見つけた「鶏肉入りの江戸雑煮」を作ってみて、丁寧におだしを取るのがおいしさの秘訣だと思いました。

ちなみに、具材の一つである小松菜は、江戸時代に江戸川区周辺で栽培が始まった野菜。現在は全国で流通していますが、東京の地場野菜だけあり、「江戸雑煮」に入っているのが特徴のひとつだなのでしょう。

筆者は関西在住ですが、母の実家が鹿児島と言うことで「江戸雑煮」に似た、すまし汁のお雑煮がわが家のお雑煮です。けれど、明確な味の違いがありました。

今回作った「鶏肉入りの江戸雑煮」は、具材を別々に加熱して最後にすまし汁をかけていましたが、筆者宅のお雑煮は合わせだしを取った後に具材をすべて入れて煮込んで作るので、すまし汁にも様々な食材の味が染み出ています。具材を別々に煮るか一緒に煮るかでも、お雑煮の味はかなり違い、とても興味深かったです。

みなさんも東京スタイルの「鶏肉入りの江戸雑煮」を作ってみてはいかがでしょうか。すっきりとした味わいなので、飽きずにいただけると思います。

<参考文献>
Web

『JAグループ〜秋・冬の旬野菜コマツナ〜』
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=15

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配信元

あたらしい日日
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世界が目まぐるしく変わってゆく今だからこそ、自然を身近に感じながら、自分らしく、気持ちよく暮らしたい。『あたらしい日日』は、そんな思いを抱くすべての女性のためのライフスタイルメディアです。「食」や「農」の話題を中心に、“あたらしい暮らし”に合う食べ方、住み方、働き方、遊び方、自分の磨き方…などを提案します。
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