親が息子の巨額借金に直面:対応の注意点と債務整理の手続き

親が息子の巨額借金に直面:対応の注意点と債務整理の手続き

3、「債務整理」という選択肢について親が正しく理解することが重要

「債務整理」は、返済に行き詰まった借金を「最も安全に」解決するとても有効な選択肢です。

しかし、債務整理は、普通に生活を送っていれば縁のない手続きであることなどから、正しい知識をもっていない人の方が多いかもしれません。

そのため、返しきれない借金を抱えてしまったときにも、「債務整理」という選択肢を選ぶことができない(むしろ積極的に除外してしまう)場合が多いかもしれません。

(1)正しい知識を持たないために状況を悪化させてしまうケースは多い

借金問題を抱えてしまった人には、「債務整理だけはしたくない」と考えている人も少なくありません。

このように考えてしまうのは「債務整理について正しい知識がない」ことが原因であることが多いといえます。

たとえば、

債務整理には自己破産しかない
債務整理すれば財産をすべて失ってしまう
債務整理をすれば一生銀行等から借金できなくなる
債務整理をすれば、勤務先や近所などにバレて体裁が悪い
債務整理をするにも多額のお金がかかる

といったことは、よく勘違いされていることの典型例といえます。

実際には、

債務整理には、自己破産以外にも任意整理、個人再生といった方法があり、借金の状況に応じて選ぶことができる
任意整理、個人再生であれば、手持ちの財産を失わずに債務整理が可能
自己破産しても、一定額までの財産は手元に残すことができる
債務整理をしても一生ブラックリスト入りするわけではない
債務整理をしても他人に知られるリスクは高くない(任意整理ならまず知られない)
債務整理の費用は、完済までに支払う利息に比べればかなり安い
債務整理の費用は分割で支払うことも可能

と、一般の人のイメージとはずいぶん違うことがわかります。

また、「債務整理するとしばらく借金できなくなる(いわゆるブラックリスト入りする)」ことは、借金問題を抱えた人にとっては、本当にデメリットであるかどうかも疑問です。

たしかに、クレジットカードが使えなくなるようなことは不便ですが、借金に頼らない健全な生活を身につけるという意味では、「借金できない環境になる」ことは、必ずしも悪いことではないでしょう。

(2)親が一番近いところで債務者(子)の支えになってあげることが重要

借金の問題は、最終的には、債務者自身が向き合っていかなければならない問題です。

しかし、借金の悩みは精神的な負担も小さくないので、債務者が1人きりで問題と向き合うというのは、とても大変なことです。

実際の借金問題も、債務者が問題を1人で抱え込んでしまったために、深刻化してしまったというケースがとても多いのです。

また、借金の悩みを抱えていれば、さまざまなことをどうしてもネガティブに考えてしまうこともあるでしょう。

その意味で、借金問題に直面した人が借金問題をきちんと克服し、本当の意味で立ち直るためには、「周囲の人のサポート」が必要不可欠です。

子にとって親は、最後の最後で頼るべき味方です。

(3)債務整理は、本人が依頼しなければ行えない

親が弁護士等に「子の借金の債務整理」を依頼することはできません。

債務整理は、債務者自身に一定のデメリット(ブラックリスト入り)などが生じるため、債務者本人が依頼しなければならないからです。

債務者本人である子にとっても「債務整理を依頼する」ことは、人生の中での大きな決断です。

そうすべきとわかっていながら、「できれば債務整理せずに何とか済ませたい」と心が揺らぐことも少なくありません。

家族がしっかりとサポートしながら、最後は優しく背中を押してあげることがとても大切といえます。

4、息子(子供)の借金について不安なことは弁護士にご相談ください

借金や債務整理に関することは法律の知識を前提とする問題が多いので、一般の人にはどう判断してよいのかわからないことが少なくありません。

思い込みや、間違えた情報(古い情報)に基づいて、正しくない対応をすれば、「こんなはずではなかった」、「あのとき違う対応をしておけばよかった」と後悔することになってしまう可能性も高くなります。

実際にも、思い込みや間違えた情報(古い情報)に基づいて、誤解していることもたくさんあると思います。借金問題を解決したいときは、弁護士に相談することをお勧めします。

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