松本人志の性加害問題、「東スポ」も真っ青になりそうな「女性セブン」記事とは?


(写真:サイゾーウーマン)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 またも痛ましい一件が。『セクシー田中さん』(日本テレビ系)の原作者・芦原妃名子氏(50歳)が亡くなった。自死とみられている。芦原さんはドラマ『セクシー田中さん』をめぐり、原作漫画に忠実に映像化するという約束が守られていなかったと告発、SNSで大きな議論になっていた。そんな中での急死。これまで何度も問題化されてきたドラマと原作の関係・問題、さらに誹謗中傷を伴うネット炎上の問題を改めて考えさせられた。

第683回(1/25〜1/30発売号より)

1位「松本人志 『すべてを賭けて』大博打会見」(「女性セブン」2月8日号)

同「出演番組の穴を埋めるポスト松本人志は誰だ!?」(「週刊女性」2月13日号)

同「松本人志 内村光良にテレビ業界禅譲」(「女性自身」2月13日号)

2位「羽生結弦の鼻を折る 盟友村上佳菜子『一般人夫を公開』皮肉婚」(「女性セブン」2月8日号)

3位「羽生結弦 こび発言にファン困惑『王者ゆづ返して!!』」(「女性自身」2月13日号)

 今週もまた女性週刊誌3誌がそろって“あの問題“を取り上げている。そう、ダウンタウン・松本人志の性加害問題だ。この騒動が勃発以来、女性週刊誌も軒並み松本人志問題を取り上げ続けているが、しかし松本の性加害を正面から取り上げようとしない姿勢は、今週も変わらなかった。しかも、その切り口はどんどん”トホホ化“しているようで――。

 まずは「女性セブン」。「セブン」の掲げたタイトルを見て、多くの人が “松本人志がついに会見を開くのか!”と思ってしまうのではないか。当然だろう。しかし全然違う。記事では松本騒動の改めて概要を説明した上で、芸能界・芸人の大先輩であるビートたけしと島田紳助にスポットを当てる。この2人の共通項は、芸能界の大御所というだけでなく、かつて自ら起こした事件や不祥事で大々的な記者会見を行ったことだ。

 ビートたけしは1986年、当時の愛人に対する取材に激怒し、写真週刊誌「FRIDAY」(講談社)に殴り込みをかけ、逮捕された。そして釈放後会見を行ったのだが、その内容はマスコミ報道への問題提起もあり、世論の共感を得た。そんな“成功体験”からか、今回の松本問題に対し『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で松本に会見を開くよう提言したことが記事で紹介される。

 また島田紳助は2011年に反社会的勢力との関係が報じられ、引退会見を開いたが、涙ながらの独演会のような会見は同情を呼び、いまだ復帰待望論があるほど。そんな2人の会見を振り返りながら、「堂々と会見を開くべき」と「セブン」は主張する。そして“相方の浜田雅功が同席しての会見という手も”などと提案までしている。こんな調子なので結果、松本が会見を開く根拠は記事には何もない。

 個人的見解を述べるなら、松本人志の記者会見は行われることがないと思う。これまで“王者”として君臨してきた松本が、記者からの厳しい質問に耐えられると思えないから。プライドも許さないだろう。ともあれ、「東スポ」もまるで真っ青になりそうな“思わせぶり”の「セブン」タイトルだった。

「週刊女性」お得意の安易すぎるアンケート企画

 そして「週刊女性」。出ました! 「週女」お得意のアンケート企画が! ここ最近「週女」はお家芸のようにアンケート企画を乱発してきた。ジャニー喜多川氏の性加害問題でさえ、一般人によるアンケート結果(たとえば“ジャニーズ”という社名継続の賛否とか)を掲載し、お茶を濁してきた。そして今回も。

 タイトルにあるように、“ポスト松本人志は誰だ”だってさ。それを20歳から70歳の1,000人にインターネットで調査したんだって。そして松本が出演していた7本のレギュラー番組それぞれに関し、後任は誰が適任かを大調査! 

 そこで名前があがったのは相方の浜田雅功ほか、明石家さんま、内村光良、今田耕司、東野幸治、千鳥・大悟、バカリズムとして、アンケート結果のコメントを紹介するのだ。いつもながら安易すぎる。

吉本芸人が苦境に立たされる可能性を「女性自身」が指摘

 最後に「女性自身」。その切り口は松本の7本ものレギュラー番組が今後終了した場合、後番組ではどんな芸人が起用されるのか、どうなるのかというもの。前述「週女」と似ているが、こちらはアンケートでなく関係者に取材。その結果、浮かび上がってきた事象も興味深い。

 というのも今後、吉本芸人が苦境に立たされる可能性が指摘されているからだ。

「もし松本さんの疑惑について吉本の何らかの関与が明らかになった場合、吉本タレントを一時的にNHKから“追放”するシナリオまで考えられます」

「松本さんの番組に出ていた吉本芸人は今後番組のキャスティングでは不利になるでしょう」

 そして不利になると指摘されるのが今田耕司、東野幸治、千原ジュニアなどだ。代わって台頭する可能性が高いのが“関東勢”だという。具体的には内村光良、有吉弘行、サンドウィッチマン、バナナマンなどなど。「週女」のアンケート結果とは真逆だが、「自身」のほうが納得できる。 

 と、こんな感じ。相変わらず性加害や事実の有無については慎重に触れないようにして、芸能界の勢力図や周辺情報で特集を組む。苦肉の策か。

 しかし、これだけは言えると思う。ここ数年続いている芸能界の性加害問題が、どんな形であれ、マスコミに大きく取り上げられるようになり、結果、一般社会の性加害やセクハラに対する意識に大きな影響を与えている。それだけは、よかったと思う。

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