能登半島地震の被災者を支える寄付。義援金・支援金の違いや、用途を知って寄付をしてみませんか?

能登半島地震の被災者を支える寄付。義援金・支援金の違いや、用途を知って寄付をしてみませんか?

令和6年能登半島地震では大変な被害がおこり、被災地は今もなお復旧作業の半ばにあります。
何とか被災地のためになりたいという想いがあっても、仕事や勉強をしながらボランティアに参加することは難しい方が大半かと思います。しかし、義援金や支援金を送ることでも、被災者や支援活動をする人々を支えることができます。

今回は能登半島地震への寄付先とともに、寄付されたお金がどのように被災者の役にたつかを紹介します。せっかく寄付をするのであれば、使われ方を知った上で寄付先を選んでみましょう。

義援金と支援金の違い

それぞれの寄付先について紹介する前に、まずは義援金と支援金の違いについて知っておきましょう。

義援金
支援金

被災者個人
自治体・支援団体

時間がかかる
早めに届く

義援金

義援金は住宅の建て直しや生活再建のため、被災者に届けられるお金のことを言います。

法律に定められた制度をみてみると、災害の死者・行方不明者に支給される災害弔慰金は生計維持者が死亡した場合で500万円、その他の人が死亡した場合には250万円となっています。住宅ための被災者生活再建支援制度では、住宅が全壊した時に、新たに建設・購入する場合の支給額は300万円となっています。
災害によっては特別措置として、都道府県や市町村から死亡者の遺族や住宅の損害に対して見舞金が出る場合や、公的機関からの融資、就業・就学などへの手当てなどもありますが、元の生活を取り戻すには十分とは言いがたいでしょう。

災害時に受けられる公的機関の支援制度 Part1 住宅・人編

このような公的機関からの支援だけでなく、広く一般から寄付を募り被災者へ届けるのが義援金です。
自治体、日本赤十字社、赤い羽根共同募金、TV局、各メディアなどの団体から集められた義援金は、義援金配分委員会により配布基準が決められ、受けた被害の大きさによって被災者へ公平・平等に配分されます。

なお、広い地域で被害がおきたときには、地域を限定せず被害のあった全域に義援金を送る場合と、都道府県や市町村といった地域を指定する場合があります。
自治体へ直接寄付をする場合はその自治体の被災者へ義援金が送られます。日本赤十字社や赤い羽根共同募金では、地域を限定しない場合と、指定する場合で寄付先が分けられていますので、自分の希望する地域かを確かめて寄付をするようにしましょう。

支援金

支援金は、被災地のインフラの復旧や支援活動を行う団体の活動費など様々な用途に使われます。
市町村が募る支援金であれば、ライフライン、堤防、河川などのインフラの復旧や、災害前より安全に過ごすための整備費用としての用途が多くなります。
NPOなど支援団体のための支援金であれば、それぞれの団体の活動資金となります。支援団体の活動は炊き出し、家財の運び出し、土砂・瓦礫の撤去。看護、心のケアなどの福祉。障がい者・高齢者・乳幼児・外国人など要配慮者への支援。また、支援活動する人々への二次的なサポートなど多岐にわたります。

災害がおきた直後にボランティアグループやNPOなどが被災地に入るときには、自分たちのための衣食住すべてを自前で持ち込む必要があります。たとえ、ボランティア活動のため人件費は無償であったとしても、その他に様々な費用がかかることになります。
災害が大きくなれば、大規模なインフラの改修、被災者の生活再建、地域コミュニティの喪失など様々な問題が生まれ、長期的な支援が必要となってきます。このような支援活動が十分に行われるためにも、支援金はとても大切な役割を果たします。
支援活動をする人々を支えることも、被災者が普通の生活を取り戻すための道筋になるのです。

なお、募金と書かれている場合には、一部は義援金、一部は支援金として使われる場合もあります。いずれにせよ、募金や支援金として寄付する場合には、どんなことに使われるかを確認するのがよいでしょう。
また、義援金と支援金を比較すると、義援金は被災者の被害状況をすべて把握した上で配分されるため、手元に届くまでに時間がかかります。支援金はすぐに支援活動にあてられるため、災害の初期段階では必要性が高いという違いもありますので、寄付をするときの基準にしてみてください。

寄付をうたった詐欺

このように被災者のために欠かせない寄付ですが、残念ながら災害に便乗した詐欺も発生します。能登半島地震でも、電話やFAX、インターネット上、また直接の訪問により義援金をだまし取る詐欺が発生しています。
公的機関と誤りやすい名前や、有名な団体などを名乗ることもありますので、呼びかけがあった場合には、振込先の口座名義や口座番号がテレビ、公式WEBサイトなどで公表されているものと同一か、信用できる団体かを十分に確認の上で寄付を行うようにしましょう。

それとは逆に、きちんとした団体でも義援金・支援金が不当に中抜きされているといった誤解をSNSやWEBサイトの口コミなどで見かけることがあります。
「義援金」を募る団体である日本赤十字社や赤い羽根共同募金では、寄付された義援金は全額がそのまま被災地に送られます。
「支援金」にあたる寄付は団体を運営するための資金となります。被災地の支援活動を行うには設備、装備、物資のほか、専門的なスキルを持った人材が必要となります。こうした人材の雇用や育成のためにも十分な活動資金が必要となるのです。

もちろん、支援先の団体が信用できるかの判断には第三者の視点も必要とはなりますが、明らかに事実と異なる情報が寄付を委縮させ、結果として被災地の支援活動を滞らせることもあります。
寄付に見合った活動内容がされているか不安になった時には、真偽が不明な口コミなどは参考にせず、団体の公式WEBサイトや広報誌などでどのような活動をしているかも参考に、納得の上で寄付をするようにしましょう。
また、真偽のわからない情報は安易に信用せず、不用意に広めないようにすることも大切です。

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