災害時の備えに!非常時のオーラルケアについてヒグチデンタルクリニック院長、三枝先生に伺いました!

災害時の備えに!非常時のオーラルケアについてヒグチデンタルクリニック院長、三枝先生に伺いました!

元旦から震災という大きな被害があった今年、災害への備えを意識している方も多いと思います。

実は、非常時にもオーラルケアってとても大切なのです。

今回は、ヒグチデンタルクリニック院長の三枝遵子先生にお話を伺いました。

虫歯や歯周病対策だけじゃない!非常時に口腔衛生状態を良くすることの重要性とは?

オーラルケアというと、虫歯や歯周病を予防するためのもの・・・と考えられている方は多いと思います。

そうすると、非常時には重要性が低いと考えられているかもしれませんが、実はオーラルケアはとても大切です。

震災後、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)で亡くなる高齢者が多いことを世間の皆様はご存知無いようです。

阪神大震災後もせっかく命が助かったのに、満足な栄養もとれず、精神的なダメージにより免疫力が低くなり、断水により歯磨きもよく出来ず、口腔内が不衛生となり、些細なむせ込みにより高齢者は誤嚥性肺炎になってしまい、命を落とす方が少なくありませんでした。

この情報が行き届いておらず、東北の大震災後も誤嚥性肺炎でお亡くなりになった方が多かったのです。

能登の震災後、また同じ事が起きないようよう、私は歯科医師として声を大にして、口腔内をキレイにするよう、口腔衛生状態を可能な限り良くすることが誤嚥性肺炎の予防になることを警鐘します。

水が無くてもできるオーラルケア。おすすめのケアグッズも!

災害後は日常のような水の使い方は出来ません。

歯についた歯垢をご存知ですよね。

この歯垢には1mgに1ー2億個といわれるバイ菌が詰まっているといわれているのです。

ですから、この歯垢を取り除くことこそ、虫歯、歯周病だけでなく色々な感染予防に大切です。

歯垢は水場の水垢と同じような形態、バイオフィルムというヌメリ形態で口腔内にとどまっています。

水を十分に使用できないときには、液体歯磨き液が便利ですが、これですすぐだけでは、歯垢は取り除けません。

歯ブラシがない場合、液体ですすぐだけでも歯ミガキをやらないよりは良いですが、実際は液体歯磨きですすぐだけではなかなか歯垢は取り除けません。

水が無ければ、すすいだ後に歯ブラシで磨き唾液を吐き捨てる方法、歯ブラシが無ければ、理想をいえば滅菌ガーゼですが、何もなければ、コットンや脱脂綿、ティッシュのようなもので、歯についた歯垢であるヌメリをふきとり捨てることを推奨します。

最近は歯磨き用の拭き取りシートもあります。

防災用として用意しておくと安心です。

とにかく口腔内の歯垢を取り除き、口腔内をキレイにすることが大切で、これが震災後の誤嚥性肺炎の予防になります。

入れ歯や差し歯のケアも忘れずに。

入れ歯や差し歯にも歯垢はつくので、歯と同じようにケアをしましょう。

入れ歯の方は取り外して、キレイに拭くとよいでしょう。

避難所での生活は、口腔機能が低下しがち・・・あいうべ体操がおすすめ

また、口腔内がキレイであっても、避難生活の中では喋らない、食べ物が偏ることなどが原因で、高齢者やお子さんは飲み込むという機能が低下しやすくなります。

私達歯科医は口腔機能低下予防運動として内科医の今井一彰先生が考案した「あいうべ体操」を推奨しています。

最近では高齢者施設でも行われています。

口の中で舌を回したり、舌を左右に動かしたり、前に出したり、こんな些細な事でも舌の筋力トレーニングになります。

飲みこむ行為は舌の筋力がとても大切なのです。

舌を動かす事で唾液も多くなり、一時的ですが、唾液の作用で少々衛生面も保てます。

また、唾液を出やすくするために 頬の辺りや顎の下辺りをマッサージすることもおすすめします。

実は、私はこの運動が楽しく出来ないかと思い、歌いながら舌や口周りの体操になる「にらめっこ」という歌を昨年つくりました。

「【あいうべ体操のうた】にらめっこ」で検索してください!

是非ともご覧いただき、皆さんのお役に立つように広まって欲しいです。

お子さまと一緒にすると、楽しめると思います。

震災後は口腔内をキレイにする、口周り、舌の体操をすることがとても大切で、これが誤嚥性肺炎の予防になることを1人でも多くの方に知れ渡るよう広めて下さいますようお願いします。

歯科業者の方々も是非とも被災者の方々に歯ブラシや歯磨きシート、液体歯磨き液、洗口剤などの支援をしていただきたく、何とぞよろしくお願いします。

執筆者

三枝遵子先生

ヒグチデンタルクリニック院長

[経歴]

1994年日本大学歯学部卒業。

日本大学歯学部付属歯科病院・歯周病学講座を経て、台東区浅草で樋口歯科を開業。

2009年にヒグチデンタルクリニックと名称を変え台東区雷門に移転、現在に至る。

2011年に予防啓発活動として「ハミガキろっく」という歌を制作。

2013年には「DVDでみる絵本」を、2021年には「なんではをみがくの?」という今更聞けない、大人にこそ読んで欲しい絵本を制作。

欧米諸国並みに日本国民の歯の予防意識を向上させたい!と予防啓発に励む。

ヒグチデンタルクリニックホームページ 

https://0358270118.com/

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キレイ研究室
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「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。
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