佐藤二朗が公表した「強迫性障害」の症状・原因・受診の目安を医師が解説

佐藤二朗が公表した「強迫性障害」の症状・原因・受診の目安を医師が解説

俳優・佐藤二朗さん(54)は6日午前、自身のX(旧ツイッター)にて「強迫性障害」であることを公表しました。投稿によると、佐藤さんは小学生の時に強迫性障害を発症されたようです。

そこで、Medical DOCでは佐藤二朗さんが診断を受けた、強迫性障害の概要や症状、原因、受診科目などについて解説していきます。生活の上で、家を出たあとに「ちゃんと鍵をかけてきただろうか」「火を消してきただろうか」「自分の手は菌やウイルスなどで汚れているのではないだろうか」など、不安に感じることは誰にでもあります。ただし、不安や不安を確認するための行きすぎた考えや行動は「強迫性障害」とみなされます。

※この記事はMedical DOCにて【「強迫性障害」とは?原因・症状・受診科目についても解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

監修医師:
稲川 優多(医師)

自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。

強迫性障害とは

強迫性障害とはどのような病気ですか?

強迫性障害は不安障害の一種です。特定の強い不安やこだわりによって、日常生活に支障をきたす状態です。「~を考えずにはいられない」「~せずにはいられない」という不安やこだわりが頭から離れずに何度も繰り返し、生活や仕事が回らなくなってしまいます。
日常生活において「ドアに鍵をかけただろうか」「手はきれいになっているだろうか」などの心配ごとは、多くの人も感じることです。しかし、こだわりすぎて日常生活が上手くいかなくなる場合や、人間関係に支障をきたしてしまう場合は強迫性障害とみなされます。
自分では意味がないことだとわかっていても、考えや行動をやめられずに日常生活や社会生活に影響が出てしまうのが強迫性障害です。

強迫性障害の症状

強迫性障害ではどのような症状がみられますか?

強迫性障害の症状には「強迫観念」と「強迫行為」があります。
自分では望んでいないのに頭の中に思い起こされ、退けることができない考えが強迫観念です。また、ひどく不安に感じ、自分では意味がないことだとわかっていても行わずにはいられない行為が強迫行為です。
不安やこだわりといった強迫観念と、行動せずにはいられない強迫行為は、一人で同時にかかえている場合が多い症状です。代表的な症状として、不潔恐怖・洗浄、加害恐怖、確認行為・儀式行為、数字へのこだわり、対称性へのこだわりなどがあります。

強迫観念の症状

強迫観念はどのような症状が現れますか?

強迫観念の症状は、不安やこだわりの程度が自分でも度を越しているとわかっていながら、頭から断ち切ることができない考えです。
強迫観念では、次のような症状がみられます。

汚れや細菌汚染に対して恐怖を感じる

他人と共有して触れるドアノブや手すりなどが不潔だと感じる

運転中にミスを犯して人に怪我を負わせていないだろうか、傷害を起こしてないかという不安にかき立てられる

戸締りをしただろうか、火の元は安全だろうかという心配に押しつぶされそうになる

自分の決めた手順でものごとを行わないと恐ろしいことが起きるという不安が頭から離れない

きちんと物の配置があっていないと不安に感じる

左右対称にしないと不吉なことが起こるのではないかと不安になる

正確にしなければならないと固執する

4や9の数字を避ける、幸運な数字にこだわるなど、縁起を担ぐレベルを超える数字への強いこだわりがある

強迫行為の症状

強迫行為はどのような症状が現れますか?

強迫行為の症状は、強迫観念から生まれた不安やこだわりにかき立てられて、自分ではつまらないことだとわかっていても行わずにはいられない行為です。強迫行為の症状は一人で複数かかえていることも多く、経過中に症状が変わることも少なくありません。
強迫行為では以下のような症状がみられます。

何時間も手を洗う、何回も入浴する、何度も洗濯を繰り返す

ドアノブや手すりなどの不潔だと感じるものは触ることができない

手が荒れるほど消毒を繰り返す

汚染の恐怖から入浴や着替え、掃除を避けるようになって不衛生になる

自分がだれかを傷つけたかもしれないと不安になり、ニュースで取り上げられていないかをチェックしたり、警察やまわりの人に聞いたりする

ドアの鍵やガスの元栓、電気製品のスイッチを何度も確認する、じっと見張り続けて指差し確認する、手でさわって確認するといった行為をやめられない

どのような場面においても同じ方法で仕事や家事を行う

順序の正確性にとらわれるあまり、物事が進まない

何度も数える、心の中で呪文を唱えることをやめられない

配置にこだわって物を置きなおしてしまう、物を対称に並べてしまう

他人からみたらどうでもよい物がどうしても捨てられず、物がたまっていく

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