冬、室内の湿度を上げる方法は? 暖房で乾燥する部屋を快適にするコツ

寒さが厳しくなるにつれ、気になるのが空気の乾燥。特に暖房を使っているときは思った以上に湿度が低くなり、お悩みの方もいるのではないでしょうか? 実際のところ、空気の乾燥による困りごとは多々あるもの。それらを解消する上手な湿度コントロール術を、暮らしまわりを専門とする住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに聞きました。

身体面、環境面…。湿度が低いと何が困る?

冬場、湿度が低くなることで生じるお悩みはさまざま。この時期になると、肌や髪のうるおい不足に困っている方も少なくないようです。藤原さんも、「粘膜が乾燥することで、鼻がかゆくなったり、目がシパシパして眼精疲労につながったりする」という声はよく聞くのだとか。

「環境面でも弊害があって、たとえばホコリがたちやすくなるということがありますね。空気中にホコリが舞っている時間が長ければ、その分、吸い込みやすくなったりもするため、心配されている方も多いかと思います。また、静電気が発生しやすくなるのも厄介。これは、何かに触ったときにバチッとくるというだけでなく、ハウスダストを引き寄せる性質があるからです。たとえば、テレビ背面の壁が黒く汚れやすいのも静電気の仕業。このようにホコリを集めることで、家の中が汚れやすくなってしまう面もあります」

冬に推奨される部屋の湿度・室温の目安は?

それでは冬の場合、部屋の湿度がどのくらいなら、上記のような困りごとを防げるのでしょうか? 冬に適した室温の目安とあわせてご紹介しましょう。

季節を問わず好ましい湿度は40〜60%だけど…

一般的に言われる「湿度」が指すのは、“相対湿度”のこと。空気が含むことのできる最大の水分量を示す“飽和水蒸気量”に対し、実際の水分量がどれだけの割合かを示すもので、人にとって快適でカビやダニのリスクが抑えられる湿度は、40〜60%と言われています。この数字は、季節にかかわらず目安とされる湿度ですが、藤原さんによると、ここで注意したいのは「湿度と気温の関係」なのだとか。

「空気中に含むことができる水分量は空気の温度が高いほど増えていくため、寒い屋外と暖かい屋内では湿度が変わってきます。たとえば、屋外が気温8℃で湿度50%のとき、屋内の温度が16℃なら屋外よりも飽和水蒸気量が多いため、必然的に湿度は低くなるんです」

冬に湿度が下がる太平洋側の場合、1年の中で最も乾燥するのは12月から2月にかけて。この時期の関東地方では、天気予報などで伝えられる湿度(相対湿度)が50%台まで下がるため、数値だけ見れば理想的にも思えますが、暖かい家の中ではさらに低くなるため、乾燥してしまうということですね。

暖房時の室温は20℃が目安ってホント?

環境省が呼びかけている『WARM BIZ(ウォームビズ)』によると、暖房時の室温は20℃を目安としながら、衣食住の面で工夫することを提案しています。もちろん、これもひとつの方法ですが、「注意したい点もあります」と、藤原さん。

「まず、室温をどこで測るかということ。たとえば、エアコンの設定温度を目安とするなら、エアコンは私たちがいる場所よりも高い位置にある点を考慮することが必要です。室内の空気を循環させていなければ、暖かい空気は上昇するので、エアコンの取付位置によっては人が生活する場所と1〜2℃違う可能性もありますから。かと言って、足元が20℃では暑く感じることもあるので、20℃はあくまで目安と考え、自分にとって快適な温度を把握するのが良いと思います。

ただ、大人がちょうどいいという室温でも、子どもが汗をかいていることはありがちなので、そこにいる人みんなが快適になるように、『WARM BIZ』でも紹介している重ね着をするなどの工夫も必要でしょう。そのうえで、最も気を付けたいのはヒートショック。お年寄りの方は特にリスクが高いので、家の中の温度差をできるだけなくすなど、予防することを心がけてください」

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