「もしあのとき祖母を引き取っていたら…」孫のことまで忘れてしまった祖母を前に泣いた日【体験談】

「もしあのとき祖母を引き取っていたら…」孫のことまで忘れてしまった祖母を前に泣いた日【体験談】

私の祖母は、祖父の他界がきっかけで認知症を患ってしまいました。私にとって何よりつらかったのは、症状の悪化とともに自分の存在を忘れられたことです。認知症の祖母の介護生活での苦労や経験から学んだことについて紹介していきます。

症状の発症と私への態度の変化

私の祖母は70代後半のときに認知症を患いました。きっかけの1つは祖父の他界で、最初は調味料などストックがあるにもかかわらず繰り返し購入してくる、数十分前に話したことを繰り返すといった程度でした。家族は認知症に対する理解が浅く、「加齢による物忘れ」と軽く考えていました。

この時点で早く病院に相談をしていれば進行を遅らせることもできたかもしれませんが、何もしなかったことで急激に症状が進んでいったのです。1年もたつと娘である私の母のこともかろうじて名前は覚えているものの、親戚の子どもだと言い張るようになりました。自分の子どもですら存在が曖昧な状態のため、当然私のことなど存在すら認知されていません。

認知症を発症して2年ほどたったころ、1人暮らしをしている祖母に会いに行くと玄関先で「セールスはお断りだから帰ってくれ」と言われました。「あなたの孫だ」と言っても、「私に孫なんかいない。帰らないなら警察に電話をする」と怒鳴られたため、悲しみに暮れながら帰りました。

後悔しないために必要なこと

祖母がひとりでいると、薬の飲み忘れや過剰摂取などで命に関わるトラブルが起きるかもしれないと医師に忠告されたため、現在祖母は介護施設に入っています。症状の進行は止まらず、最近は祖父がまだ生きていると思い込んで食事を作るために家に帰ると騒ぐことも頻繁にあるそうです。

介護施設に入居後に一度面会に行ったのですが、私を他人だと認識しているため会ってもらうこともできません。祖母と孫という関係で話をすることは二度とできないのだと考えたとき、涙が止まりませんでした。

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