「帝王切開」でお産予定になったら 入院から退院までの流れは? 保険適用になる?【医師監修】

「帝王切開」でお産予定になったら 入院から退院までの流れは? 保険適用になる?【医師監修】

妊娠・出産の際に「帝王切開になる可能性がある」と言われると、不安を感じる方はたくさんいらっしゃいます。ですが、帝王切開についての正しい知識を持っていれば、安心して出産に臨むことができます。そこで今回は、帝王切開でお産予定の場合の入院から退院までの流れについて、大高 究先生(大高医院 院長)にお話を伺いました。

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監修医師:
大高 究(大高医院)

昭和58年 東邦大学医学部卒業後、東邦大学医療センター大森病院や東邦大学医療センター佐倉病院 産婦人科にて経験を積んだのち、現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、母体保護法指定医師。

帝王切開ってどんな時に選択される? 医師が解説!

編集部

初めに、出産時の分娩方法について教えてください。

大高先生

母体と胎児の状態に問題がなく妊娠経過が順調な場合、通常は自然分娩が選択されます。そして、なんらかの理由で自然分娩が難しい、または母体や胎児にリスクがある場合に選択されるのが、帝王切開です。

編集部

帝王切開は稀なケースなのですか?

大高先生

帝王切開が行われるかどうかは個々の状況により、必ずしも稀なケースではありません。最近は、お産の20%以上が帝王切開というデータもあります。

編集部

どのような場合に帝王切開になるのですか?

大高先生

帝王切開には、「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」があります。予定帝王切開になるのは、以前に帝王切開をしたことのある妊婦の方や逆子、双子などの多胎の場合にも行われます。これらのケースが必ず帝王切開をしなければならないわけではないのですが、母子の安全やリスクを考えると帝王切開が望ましいと考えられています。狭骨盤や前置胎盤などの胎盤位置異常、母体に重症合併症があるなどの場合には帝王切開となります。

編集部

では、緊急帝王切開はどのような場合に行われますか?

大高先生

まだ分娩前であるにもかかわらず胎盤が剥離してしまった場合(常位胎盤早期剥離)や、妊婦さんの血圧が急激に上昇した場合(妊娠高血圧症候群)、胎児心拍モニターなどで赤ちゃんに心配な状態がみつかり、このままだとリスクが生じると判断された場合(胎児機能不全)などは緊急帝王切開の対象となります。また普通分娩でも、お産が長引いて分娩停止と医師が判断した場合は、緊急帝王切開に切り替えられます。

実際の帝王切開の手術前~術後の流れについて解説

編集部

お腹に赤ちゃんがいるのに麻酔や手術をするのは危険ではないですか?

大高先生

開腹手術をするので、普通分娩と比べるとやや母体に負担はかかるかもしれません。しかし、医師が正当な理由で帝王切開の判断をしたのであれば、それが最も安全な分娩方法ということです。もちろん、出血が多くなる、塞栓症の可能性などのリスクはありますが、あまり心配しすぎる必要はないと思います。

編集部

帝王切開の場合、実際の流れを教えてください。

大高先生

例えば当院だと、予定帝王切開の場合は手術当日に入院していただき、手術に向かいます。手術室に入り、麻酔の開始から手術が終了するまでは約60分です。その日は、術後の体調回復のため、ゆっくりお休みいただいています。

編集部

術後の流れについても教えてください。

大高先生

手術翌日はトイレ歩行を開始し、術後2日目から日中の母児同室が始まります。授乳指導などを行いますが、夜はしっかりお休みいただくために、赤ちゃんは預かり、術後3日目から夜間も同室となります。ただし、これは患者さんの状態や医院によっても異なりますので、あくまで目安とお考えください。

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