「膵臓がんの余命1ヶ月~余命3ヶ月の症状」はご存知ですか?平均余命も医師が解説!

「膵臓がんの余命1ヶ月~余命3ヶ月の症状」はご存知ですか?平均余命も医師が解説!

膵臓がんの余命はどれくらい?Medical DOC監修医が膵臓がんのステージ別の余命・余命1ヶ月〜余命3ヶ月・検査法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

≫「膵臓がんの前兆となる初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

監修医師:
飯田 綾子(医師)

2009年奈良県立医科大学卒業。大阪市立大学医学部附属病院で初期臨床研修後、大阪市立総合医療センター消化器内科レジデントを経て、大阪市立大学大学医学部附属病院肝胆膵内科で学位を取得。現在は患者さんの不安に寄り添い、何でも相談できるかかりつけ医を目指して、大阪市内のクリニックで高血圧や糖尿病など主に慢性疾患の外来や在宅診療を行っている。消化器病専門医、肝臓専門医、総合内科専門医、認定産業医の資格を有する。

「膵臓がん」とは?

「膵臓がん」は膵臓に発生する悪性の腫瘍で、90%以上が膵管に発生する腺がんです。膵臓がんは進行するまで症状が出ないことが多く、また小さいうちから周囲のリンパ節や肝臓などに転移をしやすいため、最も予後の悪いがんの一つと言われています。日本における膵臓がんの罹患者数、死亡者数は年々増加傾向で、年間3万人以上の方が亡くなっています。
今回は膵臓がんのステージ別の治療法や余命についてお話させていただきます。

膵臓がんのステージ別の余命・生存率

膵臓がん・ステージ0の余命・生存率

ステージ0は、がんが膵管の上皮内にとどまっている非浸潤がんの状態です。なお、「浸潤」というのは、がんが原発巣から水が浸み込むように隣の臓器や組織へ広がることをいいます。ステージ0では特有の症状が出ることが少ないため、健康診断の超音波検査や血液検査で疑われ、消化器内科でのCTやMRI、超音波内視鏡検査で診断される場合や、膵嚢胞の定期フォロー中に癌が見つかる場合などが考えられます。
この時点で見つけることができれば、手術で完治を期待することができます。5年生存率は85.8%と高くなっています。

膵臓がん・ステージIの余命・生存率

ステージⅠは、がんが膵管上皮より外へ広がった(浸潤した)ものの、膵臓内に限局しており、リンパ節転移も認めない状態です。2㎝以内のステージⅠAと2㎝超のステージⅠBに分けられます。治療法の基本は手術ですが、ステージ0と違い、手術の前後で補助療法を追加します。ステージⅠのがんも手術で完治できる可能性があります。5年生存率は53.4%と報告されています。

膵臓がん・ステージⅡの余命・生存率

ステージⅡは、がんが膵臓の外へ広がったものの、腹腔動脈や上腸間膜動脈といった主要な血管までには浸潤していない状態です。リンパ節転移のないステージⅡAとリンパ節転移のあるステージⅡBに分けられます。治療は、切除可能ながんではステージⅠと同様、術前補助療法、手術、術後補助療法を行います。一方、切除可能境界病変(がんは主要な血管に接しているが、化学療法で小さくなれば切除できる可能性がある病変)では、まず抗がん剤治療(化学療法)や化学放射線療法でがんを縮小させ、手術できるか再評価を行います。5年生存率は22.2%です。

膵臓がん・ステージⅢの余命・生存率

ステージⅢは、リンパ節転移の有無にかかわらず、がんが腹腔動脈や上腸間膜動脈といった主要な血管まで広がったに浸潤した状態です。治療は、切除可能境界病変(がんは主要な血管に接しているが、化学療法で小さくなれば切除できる可能性がある病変)では化学療法や化学放射線療法後に手術できるか再評価をし、手術できれば手術を行い術後補助療法を追加します。一方、がんが主要血管へ広がったために手術できないと判断された場合は、化学療法あるいは化学放射線療法を選択することになります。いずれも根治は難しく、5年生存率は6.1%となっています。

膵臓がん・ステージⅣの余命・生存率

ステージⅣは、がんの浸潤度合やリンパ節転移の有無にかかわらず、他臓器への転移がある状態です。膵臓がんは進行するまで症状が出ないことが多いので、発見時のステージで最も多いのがこのステージⅣです。癌が胆管に浸潤して胆汁の流れがせき止められることで黄疸を来したり、肝臓や腹膜、肺に転移した後にようやく発見されることもあります。
治療は、遠隔転移があるため、全身に効く化学療法を行います。根治はほぼ期待できず、5年生存率は1.5%となっています。

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