多汗症治療「ミラドライ」の照射時間や回数、治療の流れを医師が解説

多汗症治療「ミラドライ」の照射時間や回数、治療の流れを医師が解説

多汗症に対する治療として高い効果が評価されているミラドライ。興味はあるけれど、実際効果が得られるまでどれくらい治療回数が必要なのかなど、わからないことで躊躇する人も多いのでは? そこで秋葉原フロンティアクリニックの鴫原先生に詳しく教えてもらいました。

監修医師:
鴫原 康(秋葉原フロンティアクリニック)

昭和63年東北大学医学部卒業。東北大学形成外科、仙台医療センター形成外科、米国メイヨークリニック、東北大学大学院医療管理学分野、東北医科薬科大学臨床准教授などを経て現職。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本美容皮膚科学会正会員、日本医師会認定産業医。

ミラドライとは?

編集部

ミラドライとはなんですか?

鴫原先生

アメリカで開発された医療機器で、現在、日本では多汗症の治療に用いられています。

編集部

どのような仕組みになっているのですか?

鴫原先生

皮膚の上からマイクロ波を照射し、多汗症の原因となるエクリン腺、アポクリン腺の機能を破壊するという仕組みです。マイクロ波は電子レンジでも用いられており、水分に反応して熱を発する性質を持っています。この性質を利用してエクリン腺やアポクリン腺を熱破壊し、多汗症を改善するのです。

編集部

近年、このミラドライが人気と聞きました。

鴫原先生

従来、多汗症を根本的に治すには手術が必要でした。これは脇の下を4~5cm切開し、汗腺を切除することで、多汗症を治癒する方法です。しかしミラドライは切開の必要がなく、低侵襲で手術と同じような効果を期待できます。

編集部

ミラドライの治療はどんな医療機関で受けることができるのですか?

鴫原先生

美容クリニックのほか、当院のように多汗症治療専門のクリニックでも受けることができます。医療機関を選ぶ際には、ミラドライの治療実績が豊富なところを選ぶこと。近年では多くの医療機関でミラドライによる治療を行っていますが、ミラドライの治療効果を最大限発揮するには、照射レベルの細かな調整が重要であり、そのためにはミラドライの扱いに習熟していることが必要です。

編集部

ミラドライの治療にリスクはありますか?

鴫原先生

合併症のリスクとしてやけどや神経損傷が挙げられることもありますが、実際それらが起きることはほとんどありません。

ミラドライの治療の流れ

編集部

ミラドライは一度で効果が得られるのですか?

鴫原先生

多くの方が一度の照射で満足のいく結果を得ています。また、照射レベルにもよりますが、効果が長期間持続するという点も、ミラドライの特徴です。ただし、さらなる治療を希望される場合には、半年あけて再治療を受けることもできます。

編集部

一度の治療で効果が得られるのはいいですね。

鴫原先生

実際、当院で治療を受けた患者さんのうち、約9割が1回で治療を終了しています。ただし、ミラドライで熱破壊された汗腺は長い時間をかけてゆっくり再生されていきます。もしまた症状が気になるようになったら、再度治療を受けていただくこともできます。

編集部

治療時間はどれくらいですか?

鴫原先生

治療時間は両脇あわせて通常60分くらいです。治療前に麻酔をしたり、後処置をしたりする時間も含めると、トータルで90分程度になります。

編集部

治療で痛みなどはありますか?

鴫原先生

ミラドライを行うときには治療による痛みを抑えるため、注射による局所麻酔を行います。そのため、治療中はほとんど痛みを感じることがありません。ただし、治療後2〜3日は腫れや痛みがあります。その場合にはアイスパックなどで脇の下を冷やしたり、痛み止めを使用したりします。

編集部

やはり痛みや腫れがあるのですね。

鴫原先生

はい。ミラドライはしっかりと皮膚の汗腺組織を焼き、熱破壊する治療法です。そのため手術と同様、腫れや痛みも出ます。大きな腫れは術後1週間、小さな腫れは術後2〜3週間くらい続くかもしれませんが、時間の経過とともに薄れていくのでご安心ください。治療後に通院する必要もほとんどの場合、ありません。

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