「盲腸癌のステージ別・生存率」はご存知ですか?症状についても解説!【医師監修】

「盲腸癌のステージ別・生存率」はご存知ですか?症状についても解説!【医師監修】

盲腸癌のステージと生存率

ここでは、盲腸癌のステージと生存率について解説します。

0期

ステージ0では癌は盲腸の内側の粘膜層にとどまっており、大腸壁の深い層にまで浸潤していません。この段階では癌は非常に局所的で、周囲の組織やリンパ節、遠隔の臓器には広がっていないと考えられます。そのため根治的治療が可能で、かつ予後は非常に良好で5年生存率は約94.0%と報告されています。

Ⅰ期

ステージⅠの盲腸癌は大腸の粘膜下層層にとどまるか粘膜下層を超えて固有筋層まで浸潤していますが、それ以上の外膜や周囲の組織などの深い層には達しておらず、リンパ節転移や他の臓器への遠隔転移はまだ見られません。また、ステージⅠの盲腸癌の5年生存率は約94.5%と報告されており、予後は良好です。

Ⅱ期

ステージⅡの盲腸癌は大腸の固有筋層を超え、大腸壁のさらに外側の層まで癌が浸潤していますが、この段階ではまだリンパ節転移や遠隔転移は見られません。また、ステージⅡの盲腸癌の5年生存率は約88.4%とされており、予後は良好ですがステージⅠに比べるとやや低下します。

Ⅲ期

ステージⅢの盲腸癌は大腸の近くにある所属リンパ節に転移していますが、他の臓器にはまだ転移していない状態です。また、ステージⅢの盲腸癌の5年生存率は約77.3%とされています。

Ⅳ期

ステージⅣの盲腸癌では、肝臓や肺、骨など他の臓器への血行性転移や腹膜播種が見られます。また、癌は所属リンパ節を超えて、より遠く離れたリンパ節にも転移しています。ステージⅣの盲腸癌の5年生存率は約18.7%とされており、遠隔転移の存在が予後を大きく左右するため、予後は不良です。

盲腸癌の検査方法

ここでは、盲腸癌の検査方法について解説します。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は大腸の病気や異常を調べるための医療検査であり、通常では大腸のポリープや癌を見つける目的で実施されます。
大腸内視鏡検査では必要に応じて鎮静剤や鎮痛剤を投与したあと、内視鏡が肛門から挿入され大腸の内部を慎重に検査します。異常が見つかった場合はポリープの切除や組織のサンプル採取をし、検査後は鎮静剤の影響が薄れるまで回復室で休息をとり、鎮静剤の影響が完全になくなったら帰宅します。
検査結果は後日医師から報告され、組織検査をした場合は結果が出るまでに数日かかることがあります。

注腸造形検査

注腸造影検査は、大腸の構造や異常を画像化するための放射線を用いた医療検査です。
この検査ではバリウムと空気を肛門から注入して大腸内部をコーティングし、X線を使用して患部の詳細な画像を取得します。バリウムがX線に反応して大腸の内壁を鮮明に映し出すことにより、癌の存在や大きさ、位置を正確に識別できるため、大腸癌の診断に有効とされています。また、注腸造影検査によって大腸の狭窄などの異常も確認できます。
検査の前日には大腸を空にするために下剤を服用する必要があり、大腸内部が清潔な状態になることでより鮮明な画像を撮れます。

CT検査

CT検査は、X線を利用して体の断面画像を撮る医療画像診断法です。
この検査では、体の周囲からX線を送り込み、体の異なる組織や器官が示す吸収率の違いをデジタル処理によって画像化します。この方法により、骨、筋肉、脂肪、臓器などの体内組織の詳細なビジュアルが提供され、精密な診断が可能になります。CT検査の大きな利点は、通常10〜15分程度で完了するため、患者の苦痛を最小限におさえられる点です。また、CT検査は、癌診断において有効とされており、癌の有無や転移の確認、癌の広がりを調べる際に重要な役割を果たします。腫瘍の位置や大きさ、周囲組織への影響を評価できます。
またCT検査は大腸内視鏡検査のように体内に器具を挿入する必要がなく、侵襲性が低いため患者にとって比較的快適な検査法です。ただし、CT検査では組織サンプルを採取できないため、生検などで組織の詳細な分析が必要な場合は他の方法を用いる必要があります。また、X線を使用するため妊娠中の女性や、特定の健康状態を持つ患者には適さない場合がある点も注意が必要です。

MRI検査

MRI検査は、強力な磁石と電波を使用して体の断面図を画像化する医療検査です。CT検査とは異なりMRIではX線を使用しないため、被曝のリスクが少ないとされています。これは、特に妊娠中の女性や、繰り返し画像診断を必要とする患者にとって大きな利点です。
MRI検査の特徴の1つは、検査中にトンネル状の装置内で大きな音が発生することです。これは一部の患者にとっては不快または不安を引き起こす可能性がありますが、この音は磁石が生成する強力な磁場と関連しており、検査の正確性には影響しません。
MRI検査は軟部組織の構造を非常に詳細に映しだせるため、脳、脊髄、関節、筋肉などの詳細な画像を提供します。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、癌の種類に応じて体内で特徴的に産生されるタンパク質や他の物質のレベルを測定する医療検査です。
この検査では、血液や他の体液中の腫瘍マーカーと呼ばれる特定の物質の値を調べることで癌の可能性を探ります。癌細胞は、正常な細胞とは異なる物質を生成または過剰に放出するため、これらの物質のレベルが基準値を超えている場合は癌の存在が疑われます。腫瘍マーカーのレベルが高いことは癌の兆候だと考えられますが、これだけで癌が確実に存在すると断定することはできません。また、癌があるとしても、その進行度や具体的な位置を特定することはこの検査だけでは不可能です。腫瘍マーカー検査は、他の診断手段と組み合わせて使用されることが一般的です。

PET検査

PET検査は、特定の放射性物質を利用して体内の画像を作成する医療画像診断法です。
この検査ではFDG(フルオロデオキシグルコース)という、放射性フッ素を付加したブドウ糖の形の物質を患者に注射します。癌細胞は通常の細胞よりも多くのエネルギーを消費するため、このブドウ糖をより活発に取り込む傾向があります。PET検査は、他の検査方法では癌の様子が明確にわからなかった場合に特に有効とされています。
例えばCTやMRI検査で異常が見つかっても、それが癌なのか他の病変なのか不明確な場合はPET検査を用いて確認します。PET検査により、癌の早期発見、進行度の評価、治療効果のモニタリング、再発の検出などが可能となります。
PET検査の1つの制約として、非常に小さな癌やブドウ糖をあまり取り込まないタイプの癌では、検出が困難な場合があります。また、FDGは正常な脳組織や炎症部位でも活発に取り込まれるため、これらの領域と癌の区別をつけることが必要です。

関連記事: