毎年辛い花粉症の治療方法「舌下免疫療法」をご存知? 効果や注意点を薬剤師が解説

毎年辛い花粉症の治療方法「舌下免疫療法」をご存知? 効果や注意点を薬剤師が解説

鼻炎や目の痒みといった、花粉症に伴う症状を抑える薬の使用による治療が一般的に行われることが多いですが、「舌下免疫療法」はご存知でしょうか? 今までの治療とはどのように違うのか、本当に効果があるのか、注意するべき点はどのようなことなのか、薬剤師の小泉さんに説明してもらいました。

監修薬剤師:
小泉 優莉(薬剤師)

北里大学薬学部を卒業後、6年間調剤薬局に勤務。「一人ひとり患者に寄り添った医療の提供」をモットーに日々患者とのコミュニケーションを大切に地域医療に従事。現在は医療ライターとしても活動中。

花粉症の時に用いられる代表的な薬を薬剤師が解説

編集部

花粉症治療で使用される飲み薬にはどのような種類がありますか?

小泉さん

花粉症の治療では、一般的に抗ヒスタミン薬が使用されます。これらの薬は、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの作用をブロックし、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状を軽減します。抗ヒスタミン薬とあわせて、ほかの抗アレルギー薬や炎症反応を抑える薬を追加で使用する場合もあります。

編集部

飲み薬を使用した時の副作用にはどういったものがありますか?

小泉さん

抗ヒスタミン薬の代表的な副作用として、眠気や口の乾燥が挙げられます。古くからある第一世代抗ヒスタミン薬(ポララミン、レスタミンなど)は効果が強力である一方で副作用が強く現れるというデメリットがあります。一方、近年花粉症治療においてよく用いられる第二世代の抗ヒスタミン薬(アレグラ、クラリチンなど)は副作用が起こりづらくなっており、長期的に服用が可能となっています。

編集部

花粉が飛散する時期にはずっと飲み続ける必要がありますか?

小泉さん

症状軽減のためには、花粉の飛散時期2週間前から飲み始め、期間中は服用を続けることがおすすめです。抗ヒスタミン薬による花粉症治療はあくまでもアレルギー反応に伴うくしゃみや痒みといった症状自体を薬により抑えていくものですので、服用を中断すると症状が現れる可能性があります。

花粉症の治療法である「舌下免疫療法」とは?

編集部

では、「舌下免疫療法」とはどういったものですか?

小泉さん

舌下免疫療法は、アレルギー反応の原因となる物質(スギ花粉などのアレルゲン)を少量ずつ舌の下に投与し、徐々に体を慣れさせることで、アレルギー症状を抑えていく治療法です。日本では、2014年から内服の投薬による舌下免疫療法が開始されました。

編集部

舌下免疫療法にはどのような副作用がありますか?

小泉さん

高頻度で起こる副作用としては、口の中や喉の腫れ、かゆみや不快感、耳のかゆみ、吐き気、頭痛などが挙げられます。服用後30分以内に起こる可能性が高く、多くの場合は数十分でおさまります。また、使用開始をして1~2ヶ月は副作用が出る可能性が高く十分な注意が必要です。

編集部

この治療法はきちんと効果が期待できるのでしょうか?

小泉さん

舌下免疫療法は、現在約8割の患者様に対して有効性が確認されています。そのうち2割が完治、6割が症状の改善との報告もあります。ただ、この治療法は開始後即座に症状を抑えるものではなく、アレルギー症状に対して長期的に緩和を目指すものですので、継続的な治療が必要となります。

編集部

治療期間や費用はどのくらいですか?

小泉さん

舌下免疫療法の推奨される治療期間は、通常3~5年です。持続的な効果を得るためには、1日1回1錠の服薬を継続する必要があります。また、この治療は保険適用で受けることが可能ですので、治療費は大人の方ですと1ヶ月あたり約2000円(3割負担)の自己負担額になります。

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