「善玉コレステロール」を増やす食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!

「善玉コレステロール」を増やす食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!

血液中の善玉コレステロール(HDL)とは?Medical DOC監修医が基準値や気を付けるべき生活習慣や病気のリスク・対処法などを詳しく解説します。

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監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血液中の善玉コレステロールとは?(HDLコレステロール)

コレステロールは、血液に馴染みやすいようにアポタンパクと結合してリポタンパクという粒子になります。粒子に含まれる脂肪とたんぱく質の量によって比重が異なる5種類のリポタンパク質があり、それぞれ役割が異なります。このうちの1つが善玉コレステロール(HDL)です。HDLとは「High Density Lipoprotein」の頭文字で、高比重リポ蛋白質のことです。血液中のHDLは、余分なコレステロールを回収して肝臓に運ぶ働きがあります。善玉コレステロールには動脈硬化や心臓病のリスクを低下させる効果があるとされています。
本記事では善玉コレステロールの役割と効果、悪玉コレステロールとの違い、そのメリットやデメリットについて順に解説していきます。

善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)の違い

善玉コレステロールは、血管壁にこびりついたコレステロールを回収して肝臓に運ぶ働きがあります。このため、動脈硬化や心臓病のリスクを低下させる効果から「善玉」と呼ばれています。
対して悪玉コレステロールには、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。
悪玉という響きから有害物質のように見られがちですが、コレステロール自体は細胞膜や胆汁酸、各種ホルモンの生成に欠かせない、身体にとって必要な物質です。しかし、この悪玉コレステロールは増えすぎると血管壁に蓄積され、それが活性酸素と結びついて酸化が進むことで、血管に傷が付いたり動脈硬化の原因になります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症の発症リスクが高まります。

血液中の善玉コレステロールの値はどんな検査で調べるの?

血液中の善玉コレステロールの値は血液検査で調べることができます。血液検査ではHDLコレステロールという項目があります。

血液検査の善玉コレステロール(HDL)の基準値・正常値は?

血液検査で表示されるHDLコレステロールの基準値・正常値は40㎎/dl以上とされています。しかし、100mg/dlを超えると高HDLコレステロール血症とされ、動脈硬化のリスクがあるほか、肝臓がHDLからコレステロールを回収できないコレステロールエステル転送蛋白(CETP)欠損症の疑いもあり、注意が必要です。

HDL基準値(単位:mg/dl)
40以上

善玉コレステロール(HDL)が高い人のメリット

善玉コレステロールが高い人のメリットとしては、血管壁にコレステロールがこびりつくことを防ぎ、動脈硬化や心臓病のリスクを低下させる効果があるほか、血管の内皮細胞の機能を改善し、血管の弾力性や拡張性を高めることもできます。
これにより、血圧や血流の調節がスムーズになり、血栓の形成や動脈瘤の発生を予防することができます。
また、善玉コレステロールは抗炎症作用や抗酸化作用も持っていることから、血管の炎症や酸化ストレスを抑え、動脈硬化の進行を遅らせることができるとされています。

善玉コレステロール(HDL)が高い人のデメリット

善玉コレステロールは、以前は高くても問題ないと考えられていましたが、近年の研究で善玉の中には悪玉コレステロールを運ぶ働きをしないものも含まれていることがわかっています。
このため、いかに善玉とは言え、値が基準を超えて高い場合、動脈硬化や心臓病のリスクが高まると考えられています。
また、善玉コレステロールが高い人は、遺伝的に酵素たんぱくが欠けているCETP欠損症であることも多く、心疾患や脳卒中のリスクが高まる可能性もあります。

血液中の善玉コレステロール(HDL)値が低い人が、増やすためには?

善玉コレステロールを増やす食べ物

善玉コレステロールを増やす食べ物としては、果物、野菜、未精製の穀物、ナッツ類、魚介類、ヨーグルトやチーズといった乳製品をバランスよく摂り、油はオリーブオイルを用い、肉は少量にとどめる、いわゆる「地中海食」が効果的と言われています。
地中海食の特徴としては不飽和脂肪酸が多く、ビタミンEやオメガ3脂肪酸などが悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールの生成の助けになるとされています。
飲み物としてはお茶、コーヒー、ココアなどがそれぞれカテキン、ニコチン酸、ポリフェノールの働きにより悪玉コレステロールを下げる効果が期待できます。
食事だけで賄えない場合はサプリを用いることも検討してみてください。フィッシュオイルは高脂血症の薬にも使われています。DHAやEPAの量が多く、純度の高いサプリメントがおすすめです。

善玉コレステロールを増やす生活習慣

善玉コレステロールを増やす方法として効果的な生活習慣には、適度な運動、禁煙、過度な飲酒を控えるなどが挙げられます。
運動は有酸素運動が効果的で、中性脂肪を燃焼させて善玉コレステロールを高める効果が期待できます。激しい運動である必要はありませんので、ウォーキングやジョギングなど、一回あたり30分程度、週3回以上が目安です。運動による肥満の解消も善玉コレステロールを高めるには有効です。
また、喫煙は善玉コレステロールを下げるとともに、悪玉コレステロールの増加につながります。過度な飲酒は肝臓に負担をかけ、コレステロールの代謝を妨げますので、善玉コレステロールを増やすには禁煙、酒量を減らすことも重要です。

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