「大人が元気なのに下痢が続く」のは「大腸がん」や「過敏性腸症候群」が原因?

「大人が元気なのに下痢が続く」のは「大腸がん」や「過敏性腸症候群」が原因?

大人が元気なのに下痢が続くとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

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監修医師:
佐藤 浩樹(医師)

北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「大人が元気なのに下痢が続く」症状で考えられる病気と対処法

体は元気なのにもかかわらず、下痢の状態が続いてしまうことはありませんか?この症状の原因はたくさんありますが、胃や腸といった消化管の病気が関わっているケースもあります。どのような場合に何科を受診すれば良いのかについて解説します。

大人が元気なのに下痢が続く症状で考えられる原因と対処法

体は元気なのに、お腹の違和感と下痢が続く場合は、過敏性腸症候群などの病気が疑われます。
過敏性腸症候群は、通勤や通学の途中、人前で発表するときなど、ストレスがかかりやすい状況でお腹の違和感や下痢などの症状が起こりやすいとされています。お腹の違和感以外にも腹痛や便秘などの症状が出る場合があります。また、症状も軽い人を含めると人口の10%はこの過敏性腸症候群とされています。
症状が軽い場合は、生活習慣の改善を行いながら様子を見ることもあります。症状が強い場合は整腸剤などの飲み薬を使い、必要であれば抗うつ薬や抗不安薬などを用いる場合があります。
主な診療科は、消化器内科です。過敏性腸症候群以外の病気がないことを確認する意味でも、採血検査や便潜血検査、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)などの検査を行います。過敏性腸症候群には緊急性はないため、日中に病院を受診しましょう。

大人が元気なのに下痢が続いて腹痛がある症状で考えられる原因と対処法

体は元気なのに、腹痛と下痢が続くような場合は食中毒などが疑われます。
食中毒は、細菌やウイルス、あるいはアメーバなどの寄生虫が原因となり、腹痛や下痢の症状が起こります。これら症状以外にも、発熱や吐き気、便に血が混じる症状が出る場合もあります。
軽症の場合は水分補給を十分に行い、自然に回復するのを待ちます。発熱に対して解熱剤を使ったり、お腹の調子を整えるために整腸剤を使ったりして経過観察をします。自分で水分補給ができないなど症状が強い場合は、水分補給のために点滴で治療を行います。
食中毒は一般的な内科でも対応できますが、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。自分で水分補給ができるほど症状が軽い場合は緊急性がないため、日中に病院を受診しましょう。水分がとれない、症状が続くなど、症状が激しい場合はできるだけ速やかに病院を受診しましょう。

夏に大人が元気なのに下痢が続く症状で考えられる原因と対処法

体は元気なのに、夏になると下痢が続く場合は、お腹の冷えによる下痢である可能性があります。
夏は暑さ対策のため、エアコンや扇風機の風のせいで、お腹が冷えてしまうことがあります。胃腸の血管が収縮してしまい、血液の流れが悪くなります。その結果、胃腸機能が低下し、食べ物が消化されにくくなります。
夏に下痢になりやすい場合はいくつか対策があります。エアコンや扇風機の風に直接当たらないようにし、設定温度は高めに設定するようにします。しかし、公共の場では温度管理ができませんので、カーディガンなど羽織る物を持っておくと、体温調整しやすいでしょう。また、夏は冷たい飲み物を飲む機会も多くなりがちなので、お腹が冷えやすい場合は温かい飲み物や常温の飲み物に変えると良いでしょう。
お腹の冷えによる下痢は軽症なことも多いので、上に書いた対応で症状は軽くなるでしょう。それでも症状が続いてしまう場合は、一般的な内科を受診しましょう。その際は、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。

大人がお酒を飲んだら元気なのに下痢が続く症状で考えられる原因と対処法

大人がお酒を飲んだ後、体調は良いのに下痢になる場合があります。
これはお酒に含まれるアルコールが刺激になり、その刺激により下痢になることがあるからです。また、お酒を飲む際は食べる量も増えていることもあります。そうすると、腸で水分がきちんと吸収されないまま排便されるため、下痢になることも考えられます。
お酒を飲んだ後の下痢は、通常1-2日で治ることが多いです。そのため、心当たりがあれば病院を受診する必要はありませんが、それ以降も症状が続く場合は、まず一般的な内科を受診しましょう。その際は、他の消化器系の病気と鑑別するため、消化器内科であれば望ましいでしょう。

すぐに病院へ行くべき「大人が元気なのに下痢が続く」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

下痢に血がまじる場合は、消化器内科へ

下痢の症状に加えて、その下痢に血がまじる場合は、消化器内科を受診するのが望ましいです。
下痢に血がまじる場合は、肛門の粘膜が便で切れて発症する裂肛(いわゆる切れ痔)のことも多いです。しかし、中には大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気が隠れている恐れがあります。
大腸カメラなど検査を行う必要があるため、消化器内科が望ましいですが、なければ内科を受診するようにしましょう。
なお、小さなお子さんや高齢者、持病(心臓病や糖尿病、腎臓病など)がある方は、これらが当てはまらなくても、早めに受診してください。

受診・予防の目安となる「大人が元気なのに下痢が続く」症状のセルフチェック法

大人が元気なのに下痢が続く以外に下痢に血がまじる症状がある場合

大人が元気なのに下痢が続く以外に吐き気や嘔吐、発熱などの症状がある場合

大人が元気なのに下痢が続く以外に尿が少ないなどの脱水症状がある場合

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