●吃音の原因は、脳の神経物質の問題や、脳機能の問題
「2~3歳の時期は、定型発達児(健常児)でも、言いたいことがうまく言葉として出ないとき、緊張や周りから急かされることで焦って言葉に詰まるということが一時的に起こることはあります。でも、成長とともに、思ったことがスムーズに言葉に出るようになってくると自然に消滅するものです。ですから、あまり神経質になることもありませんが、何歳になっても長期間つづくようでしたら吃音の可能性もあるので専門医師を訪ねてみましょう」(立石さん 以下同)
かつては“どもり”などと呼ばれた“吃音”。その原因とは?
「昔は、厳しいしつけや周りからの叱責、からかいなどの緊張感による心理的要因でストレスがかかり、このような症状が起こると考えられていました。が、今はそうではなく、もともとの脳の神経伝達物質の問題や、脳の“こう話したい”という指令と言葉を話す筋肉の信号がうまく連動していない“脳の機能の問題”であると言われています」
●症状が長期間続くような場合は、専門の科を受診しましょう!
では、もしこのような症状がわが子にみられる場合、どのように対処したらいいのだろうか?
「自分がうまくしゃべれていないことは、本人が一番よくわかっているので、それに追い打ちをかけるようなことは決してしてはいけません。“話し方がおかしいでしょ。もっときちんと話しなさい!”と叱ったり、言い直しを強制すると緊張がますます高まり、余計に話せなくなる悪循環に陥ってしまいます」
このような、二次的な心理要因によるますますの悪化には注意が必要だという。
「例えば、小学校に入学すると国語の音読の時間にみんなの前で文章を読まなくてはならなかったり、指名されたりしますね。そういった極度の緊張に襲われて、さらに症状がひどくなることがあります。また、言葉に詰まることで友達に笑われたり、からかわれたり、いじめられたりすると低いセルフイメージを抱いてしまい、周りの視線を恐れて不登校になってしまうケースもありますので、注意しましょう」
このように、本人の努力や気合でなんとかなるものではないので、周りの“吃音への理解”がとても大事だと、立石さんは話します。
「大人でもその症状で苦しんでいる人はたくさんいます。たとえうまくしゃべれなくても、指摘することなく、分け隔てなく周りが普通に接し、見守ってやることが何より大切です」
長期間に渡って症状が続く場合は、本人も悩み苦しむことになってしまいますので、ぜひ耳鼻咽喉科、神経内科、精神科、神経科などの専門の科を受診してみましょう。
(構成・文/横田裕美子)