富士山は噴火する? 被害の範囲や噴火の歴史を紹介

富士山噴火がもたらす被害

富士山の噴火によって以下のような現象が発生すると想定されています。

・溶岩流

・火砕流

・噴石

・火山ガス

・水蒸気爆発

・融雪型火山泥流

これらの現象により影響が出る範囲については以下の図を参照ください。


引用:静岡県富士山ハザードマップ「富士山ハザード統合マップ」(令和3年3月改定)


引用:静岡県富士山ハザードマップ「降灰の可能性マップ」(平成 16 年版報告書から再掲)

静岡、山梨、神奈川を中心に火砕流や大きな噴石、溶岩流、融雪型火山泥流、降灰などの被害が想定されています。

富士山噴火による都心への影響

都心においても富士山が噴火した場合に降灰が予想されており、風向や場所によっては30cm以上の堆積となる見込みです。


引用:内閣府防災情報「大規模噴火時の広域降灰対策について ー首都圏における降灰の影響と対策ー」

また、都心では降灰によって以下のような被害が想定されています。

・鉄道の運行停止

・自動車や二輪車の速度低下や渋滞

・停電

・通信障害

・上水道の水質悪化や断水

・下水道の使用制限

・木造家屋の倒壊(30cm以上の堆積)

降灰が予想されているエリアではライフラインが停止する可能性があり、生活への影響が広範囲・長期的に及び、社会的混乱が発生すると想定されています。地震や気象災害の場合と同様に、食料や飲料、衛生用品などの防災グッズを備えておきましょう。火山灰による被害に備え、火山灰対策ゴーグルやマスクもあわせて用意することをお勧めします。

富士山噴火への備え

富士山噴火に対して、気象庁では噴火警戒レベルを設けています。富士山の噴火時にはレベルに応じて正しい行動をとることが大切です。

2023年3月には、溶岩流に襲われる可能性がある山梨、静岡、神奈川の3県を対象にした新たな避難計画がまとまりました。「交通渋滞による逃げ遅れを防ぐ」ことを目指していて、以前は車で避難としていたのを、原則として「徒歩避難」に改めています。

新しい計画では、まず避難するのは、観光客と登山客です。噴火の予兆があった時点で、車や電車で帰宅・下山します。

地元住民の避難は、「特別警報」(レベル4)が発令されてからです。高齢者や、車いすが必要な人たちは車で移動します。それ以外の人たちは、実際に噴火が起きた後に避難します。

高熱の岩石やガスが入り交じって押し寄せる「火砕流」などが想定されない限りは「徒歩」が原則になります。これは、勾配の緩い市街地は、溶岩流の速度が、人が歩く程度まで遅くなると想定されるためです。

新しい計画では、新たに子どもの避難対策も盛り込まれました。レベル3の段階で、避難対象になる地域内の全ての学校や幼稚園などを休校にして、子どもたちを保護者に引き渡すことになっています。


参考:気象庁「富士山の噴火警戒レベル」

富士山噴火によって発生する現象の中でも、大きな噴石や火砕流、融雪型火山泥流などは、避難までの時間的猶予がほとんどなく、生命に対する危険性が高いことから、防災対策上重要度の高い火山現象として位置づけられています。

警戒が必要な居住地域に住んでいる方、もしくは用事で滞在している方は、レベル4やレベル5が発表されたらすぐに避難できるようにハザードマップで避難場所を確認しておきましょう。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志

防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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