体に付く脂肪は1種類じゃない!? 「内臓脂肪」が「皮下脂肪」より厄介な理由

体に付く脂肪は1種類じゃない!? 「内臓脂肪」が「皮下脂肪」より厄介な理由

心臓は私たちの身体に欠かせない臓器で、止まることなく働き続ける「命の泉」のような存在です。『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』の著者で、心臓をテーマにした多くの著書を持つ循環器科医・大島一太さんによれば、長生きするには心臓の健康が不可欠であり、日々の生活を意識することが重要だそう。本稿では基本として覚えておきたいトピックを紹介します。
※本記事は大島一太著の書籍『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

「皮下脂肪」「内臓脂肪」そして「メタボ」の関係

「脂肪」の数値は健康診断のときに最も気になる項目のひとつですね。じつは、脂肪
にはおもに3種類あります。
健康診断に「BMI」という欄があります。「ボディ・マス・インデックス」の略称で、
肥満度を表す体格指数のこと。体重を身長(メートル換算)の2乗で割った値です。
この計算式によると、「22」が標準体重とされており、「25」以上が肥満、「18.5」
未満は痩せ過ぎとなります。たとえば、身長170cmの人の場合、体重が64kgなら標
準の「22」、72kgになると「25」で肥満、52kgだと「18」で痩せ過ぎです。

医学界は、これまで「メタボ」(メタボリック・シンドローム)などといいながら、皮下脂肪や内臓脂肪と動脈硬化との関連に注目してきました。
皮下脂肪というのは、お腹の上を触ったときに指でつまめるような、みなさんがすぐにイメージできる「脂肪」のことです。これを「第1の脂肪」と考えましょう。
皮下脂肪はそれほどカラダに悪くはありません。小学生の頃、太っている子がまわりにいたと思いますが、多くはこの皮下脂肪のせいです。小学生は太っていても心筋梗塞にはなりません。体表に近いところにつくため体型に影響が出やすいですが、体温を維持したり外部の衝撃から内臓を守ったりする大切な役割も担っています。
なかなか落ちにくいのも皮下脂肪の特徴です。だから、子どもの頃に太っていた人が、大人になってすごく痩せ細るということも、あまりないかと思います。
いっぽう、「第2の脂肪」が内臓脂肪です。内臓脂肪は、ただの「脂のかたまり」ではありません。カラダに悪いことばかり起こす厄介な脂肪です。
内臓脂肪は、腸を定着させる腹膜の一部である腸間膜などにたまる脂肪です。
内臓脂肪が増加すると、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを引き起こします。
それだけではありません。内臓脂肪は悪玉コレステロールの活性物質を増やし、善玉コレステロールの活性物質を減らすという、ますます厄介な働きをして、動脈硬化を大きく進めます。つまり、健康な人より何倍もの速さで心筋梗塞や脳卒中などを発症する危険が高まるのです。
これが、メタボリックシンドローム(代謝症候群)です。
具体的には、おヘソの位置でCTを撮影し、内臓脂肪の面積が100cm2を超える腹囲、つまり男性なら85cm、女性は90cm以上で、高血圧、脂質異常症、糖尿病の3つの生活習慣病のうち2つ以上を認めたら、メタボと診断します。

大島一太

医師・医学博士。大島医院院長、東京医科大学循環器内科学分野、東京医科大学八王子医療センター循環器内科兼任講師、日本看護協会看護研修学校非常勤講師、日本循環器学会心不全療養指導士実務部委員、日本心臓病学会特別正会員・フェロー・心臓病上級臨床医、Japan Cardiology Clinic Network理事など。平成8年東京医科大学卒業、同大学院修了。聖路加国際病院循環器内科、東京医科大学八王子医療センター循環器内科、東京医科大学病院循環器内科に勤務。日本循環器学会や日本心臓病学会、日本不整脈心電学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会など、多くの学術集会で教育講演を行い、シンポジスト、座長、査読委員などを歴任。医学系専門誌への執筆は100編以上、その他、健康誌、スポーツ誌など多数執筆。

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