【医師解説】乳がんの早期発見につながる『乳房のセルフチェック』具体的な方法や忘れないコツは?

【医師解説】乳がんの早期発見につながる『乳房のセルフチェック』具体的な方法や忘れないコツは?

乳がんは初期のうちに発見して適切に治療を行えば、命が助かる疾患ですが、そのために重要なのは乳房のセルフチェックです。しかし「セルフチェックってどうやればいいの?」と疑問に感じる女性も多いはず。そこで今回は柏の葉ブレストクリニックの森島先生にセルフチェックの実践方法を教えていただきました。

監修医師:
森島 勇(柏の葉ブレストクリニック)

1989年3月筑波大学医学群卒業。筑波大学附属病院、北茨城市立総合病院(現:北茨城市民病院)、きぬ医師会病院、筑波メディカルセンター病院・茨城県地域がんセンターなどを経て現職。日本乳癌学会乳腺専門医・指導医、日本超音波医学会超音波専門医・指導医、日本外科学会外科専門医。

乳がんはセルフチェックで分かる? 自分で確認できるしこりの場所や感触・感覚について

編集部

乳がんはセルフチェックで見つかることもある、と聞きました。

森島先生

はい、乳がんはほかのがんと違って体の表面に近いところにできるので、自分で触ったり、観察したりして見つけることができます。

編集部

具体的に、どのあたりを確認すれば良いのですか?

森島先生

乳腺が存在するところには、どこにでも乳がんが発生する可能性があります。左右とも外側の上部は乳腺量が多いので頻度が高いと言われていますが、内側の上部や下部、外側の下部、脇の下近くなどにできることもありますし、全体にまたがる場合もあります。そのため見落としがないように、乳房全体を確認することが大切です。

編集部

「しこりがあったら注意」と聞きますが、具体的にはどのような感覚ですか?

森島先生

しこりにも良性のものと悪性のもの(がん)があり、それぞれ感触が違うとされています。良性のしこりは比較的弾力があって、ころころと動くのが感じられます。一方悪性のしこりの場合にはゴツゴツと感じられ、硬くてあまり動かない傾向があります。

編集部

触った感じが違うのですね。

森島先生

はい。とはいえ、自分で見分けるのは難しい場合もありますし、「ころころ動くから大丈夫」と自己判断することもできません。「今までなかった感触がある」「触った感じが普段と違う」などの感覚を大事にし、もし違和感があったらためらわずに専門医を受診してほしいと思います。

乳がん早期発見のための具体的なしこりのセルフチェック方法とは? どんな感触があれば注意すべき?

編集部

具体的に、どのようにセルフチェックを行えば良いのでしょうか?

森島先生

入浴時や仰向けに寝た姿勢で乳房を触ってチェックします。3~4本の指をそろえ10円玉くらいのサイズで「の」の字を書くようにして、乳房全体をゆっくり触ります。皮膚をつまむとしこりがあるように誤解しやすいため、指の腹を使って触ります。乳房の外側上部や脇の下など、満遍なくチェックしてください。

編集部

しこりを見つけるためのコツはありますか?

森島先生

コツとして大事なことは、普段から乳房の状態を把握することです。日頃から自分の乳房に関心を持ち、状態を把握しておくことで、いつもと違う変化に気づきやすくなるのです。

編集部

日頃からチェックしておくことが必要なのですね。

森島先生

はい、「セルフチェックをするぞ」と構えて行うのではなく、日常生活の一部として乳房の状態を把握する習慣をつけるのがいいと思います。おすすめしたいのはお風呂に入っているとき、ボディソープを手につけ、指の腹で乳房を撫でるようにして、洗いながら感触を確かめるということです。指にボディソープなどをつけると滑りがよくなり、確認しやすくなります。もこもこやごつごつなどの感触を普段の状態として覚えておけば、違和感に気づきやすくなると思います。

編集部

ほかにチェックする方法はありますか?

森島先生

より詳しく確認するなら、仰向けに寝た姿勢のときに、調べる側の腕を頭の下に置き、背中の下に低めの枕や折り畳んだタオルなどを入れて高さを出すと、しこりがよりわかりやすくなると思います。

編集部

ほかにどのような方法がありますか?

森島先生

しこりの有無を調べた流れで、指で乳頭の根元を軽くつまんで、出血や異常な分泌物がないか確認する方法もあります。鏡の前に立ち、腕を上げ下げして乳房の状態を確認する方法もあります。ひきつれ、くぼみ、ただれなどがないか、見た目でチェックしてください。お風呂上がりなどに習慣化すると良いでしょう。

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