フジ『大奥』、家治VS定信は史実的にレッドカード! よしながふみ版の劣化コピー疑惑も 

今期放送中の『大奥』(フジテレビ系)。同シリーズの熱心なファンである歴史エッセイスト・堀江宏樹氏が、第8話で描かれた驚がくのシーンについて解説します。史実的にはレッドカードもののあり得ないストーリーとは?

目次

家治と定信の驚がくシーン

松平定信が将軍位を争い合うライバル?

よしながふみ版『大奥』をなぞった設定とは?

よしなが版『大奥』のサイコキャラに影響を受けている?

第8話の家治と定信の驚がくシーン

 今期の『大奥』は、おかしなところだらけです。本来ならば生まれるべき子どもが生まれていない(例・史実の五十宮倫子には二人の娘がいたのに、ドラマでは死産したとされている)、生まれるべき時期に生まれていない(例・お知保の方と、お品の方が同年、競い合うようにして男の子を出産したのに、ドラマでは年齢差がある)などにもクビをひねっていたのですが、これらはまだまだ序の口でした。

 第8回では、10代将軍だった徳川家治と、11代将軍・家斉の時代に老中として権勢を振るうことになる松平定信が、まるで「兄弟」のように扱われている驚がくのシーンが登場したのです。

 すでに将軍位を息子・家重(9代将軍)に譲っているものの、「大御所」として江戸城の頂点に君臨する徳川吉宗(伊武雅刀さん)が、家治少年と定信少年を左右に並べて座らせ、「将来、将軍になるのは家治じゃ!」と、よくわからない宣言をしていました。しかも定信少年は呆然として、くやしそうでもありました。

 また、あれは第6回だったでしょうか、定信が、臨終の床の父・田安宗武(陣内孝則さん)から、「定信、そなたは一大名の器ではない」「家治とその子孫から将軍位を奪い返せ」などと遺言されるシーンもあったと記憶しています。このあたりの史実ガン無視加減が、もはや笑って見過ごせるレベルではなく、レッドカードものなんですね。

 9代将軍・家重には、家治のほかに、重好という男の子もいたので、この2人が出てくるのであれば、まだわかるのですが……。

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