花粉シーズンは何月から何月まで? 花粉の飛散カレンダーや飛散する時間帯を紹介

花粉の悩みと聞くと、真っ先に春のスギが浮かびがち。でも、実際はその時期だけでなく、1年を通じてさまざまな植物の花粉が飛散しているんです。そこで今回は、地域や季節ごとに飛散する花粉の特徴や対策を、アレルギー専門医の清益功浩さんに教えてもらいました。あなたを今まで悩ませていた花粉の正体も、この記事を読めばわかるかも?

今の時期は何の花粉? 飛散時期と地域をカレンダーで紹介

スギやヒノキなど、春のイメージが強い花粉ですが、清益さんによれば「植物の種類や量は異なるものの、日本列島ではどの季節も何かしらの花粉が飛んでいる」のだとか。確かに、「1年を通じて悩まされている」「春以外の季節の方が困っている」という声は、よく聞かれますよね。

カレンダーで一目瞭然! 地域ごとに異なる花粉の飛散時期

では、どの季節にどんな植物の花粉が飛散しているのでしょうか? その答えとなるのが、花粉の種類ごとに飛散時期と地域をまとめた下記のカレンダーです。

植物の種類&地域別・花粉飛散カレンダー

(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)より作図
(注:スギは北海道・沖縄にはほとんど存在しない)

これを見ると、春、各地で多く見られるスギ花粉は北海道だとあまり飛んでいないことのほか、秋に関東で最も多いブタクサ属やカナムグラが、北海道ではほぼ飛散していないなど、植物の種類や期間が地域によって大きく異なることなどが見てとれますね。

春と秋でどう変わる? 花粉の種類と特徴、飛散する時間帯

カレンダーにもあるように、花粉の飛散量が特に多いのは春と秋。これらの花粉には、どんな違いがあるのでしょうか? 清益さんに聞きました。

「春の花粉が飛散し始めるのは、2月中旬から下旬にかけてですが、早ければ1月にはもう悩まされている人もいます。特に多いのはスギとヒノキ。これらがあまり生息していない北海道では、シラカンバの飛散量が多くなります。このほか、ハンノキ属の花粉も全国的に増加。いずれもこの時期の花粉は樹木系が多く、都会で飛散量が増える時間帯は昼過ぎとなります」

では、季節が秋の場合は?

「秋の花粉は早ければ8月から飛散し始め、9月から10月には本格化します。スギのように生息地が限られていないので、飛散量が増える時間帯を特定するのは難しいですね。飛散する花粉の中でも多いのは、キク科の植物。代表的なものとしてはブタクサ、ヨモギ、オオブタクサなどが挙げられます。北米ではブタクサに悩む人が多く、日本におけるスギと同じように問題となっていますね」

そう言って、「キク科の植物は、小花(しょうか)という小さな花が集まって1個の花のように見えるのが特徴」と続ける清益さん。

「1年草でもどんどん増えていきますし、多年草なら数年にわたって毎年、花を咲かせます。いずれも背が低いため、飛散する距離がスギより短い傾向にあり、川沿いや堤防、畑などに多く生育。キク科以外では、アサ科であるカナムグラ、イラクサ科であるカラムシなども秋に注意したい花粉です。また、3月から10月くらいまでと飛散期間の長いイネ科の植物も、秋に飛散する花粉と言えるでしょう」

花粉が飛散する理由は「子孫を残すため」

そもそも、これらの花粉が飛ぶのはなぜなのでしょうか? 清益さんによると、「その多くが風媒花(ふうばいか)だから」とのこと。

「ほとんどの植物は子孫を残すため、めしべに受粉させて実と種子を作ります。この受粉に風を利用するのが風媒花。蜜などで虫を呼び寄せるのではなく、風にのせて花粉を運ばせるため、時期が来ると多くの花粉が飛散することになるのです」

春の時期に花粉を飛ばす植物の品種と特徴は?

それでは、春と秋の花粉について、さらに詳しく見てみましょう。まずは春の花粉から、代表的な植物3つについてご紹介します。

代表的な春の花粉①:スギ

日本を原産とする、ヒノキ科の常緑針葉樹。東北以西の山中で多く見られ、戦後や高度成長期などに木材として重宝されたことから造林が進められました。現在では、人工林の4割以上を占めています。1本の樹木に雄花と雌花がつく雌雄同株で、花粉を飛ばすのは雄花の役目。

代表的な春の花粉②:ヒノキ

ヒノキ科の常緑針葉樹で、スギと並んで建材として好まれるほか、仏像や湯船、まな板など、さまざまなものの材料にも使われています。人工林を占める割合はスギに次いで多く、約2.5割。雌雄同株で雄花から花粉が飛ぶのも、スギとの類似点になります。

代表的な春の花粉③:ハンノキ

北海道から沖縄まで、日本全国に広く分布する落葉樹。耐湿性が高く、河原や沼などの湿地でもよく見られます。雌雄同株で、花粉を飛ばす雄花は松ぼっくりのような形状。葉は先が尖った楕円形で、縁がギザギザしているのも特徴です。

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