【薬剤師に聞く】『ステロイド薬』の適切な使い方とは 使用してはいけないケースも

【薬剤師に聞く】『ステロイド薬』の適切な使い方とは 使用してはいけないケースも

「ステロイド」と聞くと、強い薬で副作用が怖いと感じる方は少なくありません。実際、ステロイド薬は幅広い疾患に対する治療に用いられており、高い効果も期待できる薬です。また、適切に使用することで、副作用のリスクも抑えることができます。ステロイドを恐れずに安心して使用するために、基本的な情報と副作用、安全に使用していく上での注意点を薬剤師の小泉さんに詳しく解説してもらいました。

監修薬剤師:
小泉 優莉(薬剤師)

北里大学薬学部を卒業後、6年間調剤薬局に勤務。「一人ひとり患者に寄り添った医療の提供」をモットーに日々患者とのコミュニケーションを大切に地域医療に従事。現在は医療ライターとしても活動中。

ステロイドはどんな時に使用する? 代表的な症状について

編集部

そもそもステロイド薬とはどういうものですか?

小泉さん

ステロイド薬とは、腎臓の上にある副腎皮質という部分で作られているホルモン(副腎皮質ホルモン)を配合している薬のことをいいます。この副腎皮質ホルモンは、体の中で血糖値の調節や炎症を抑えるなどのさまざまな働きをしています。副作用にも注意が必要な一面はありますが、いろんな疾患の治療において高い効果が期待できる薬です。

編集部

ステロイド薬は具体的にどのような病気の治療に使われますか?

小泉さん

ステロイド薬は、アレルギー反応、喘息、関節炎、皮膚疾患、自己免疫疾患、さらには一部のがんの治療など、さまざまな疾患の治療に使用されます。抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用など幅広い効果によって症状を和らげる働きがあります。

編集部

ステロイド薬にはどのような種類がありますか?

小泉さん

ステロイド薬には、皮膚に使用するクリームや軟膏、吸入薬、経口の錠剤、注射などがあります。使用するステロイドの種類は、治療する症状や疾患の場所によって異なります。

ステロイドの注意点とは? 感染症に注意すべき理由

編集部

ステロイド薬の副作用について教えてください。

小泉さん

ステロイド薬の副作用には、感染症に罹りやすくなる、体重増加、顔が丸くなる、骨粗しょう症、高血圧、糖尿病のリスク増加、気分の変動などがあります。これらの副作用は、使用するステロイドの量や治療期間によって異なります。

編集部

なぜステロイドを使用すると感染症にかかりやすくなるのですか?

小泉さん

ステロイド薬は免疫系の反応を抑制する作用があります。そのため体がウイルスや細菌への抵抗力が落ち、服用中は感染症リスクが高くなり、回復にも時間がかかります。そのためステロイドによる治療中は適切に感染症対策を行う必要があります。

編集部

ステロイド薬使用中の感染症に対しての予防法はありますか?

小泉さん

手洗いの徹底、人混みや感染リスクの高い場所を避ける、マスクを着用する、ワクチン接種を積極的に行うなど、基本的な感染症予防策を実践することが重要です。ステロイドの投与量が多い間は感染予防の薬を服用することもあります。もしステロイド使用中に風邪をひいてしまった場合も、自己判断でステロイドの減量や中止はしないでください。感染時は体の消耗によりいつもよりもステロイドが必要になる場合もありますので、異常を感じたら早めに医師に相談するようにしましょう。

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