「慢性リンパ性白血病の生存率」はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

「慢性リンパ性白血病の生存率」はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

慢性リンパ性白血病(CLL)は血液のがんです。大人が罹患する白血病の中では、中年以降の男性に発症する割合が高い病気です。

元々欧米での発症率が高い病気で、日本では少ない傾向がありました。しかし、最近では日本でも慢性リンパ性白血病(CLL)の発症が増加しています。

日本でも患者数が増えている慢性リンパ性白血病(CLL)とは、一体どのような病気なのでしょうか。

そこで本記事では、慢性リンパ性白血病(CLL)の生存率・症状・予後について詳しく解説します。

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監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

慢性リンパ性白血病(CLL)とは?

慢性リンパ性白血病(CLL)は血液の細胞であるBリンパ球が、がん化することで発症する病気です。Bリンパ球は白血球を構成する要素の1つで、本来人間を感染から守るための働きをします。
しかし、このBリンパ球が勝手に異常増殖すると、慢性リンパ性白血病(CLL)を引き起こします。慢性リンパ性白血病(CLL)は自覚症状が出にくい病気で、健康診断などで血液検査を受けた際に、白血球数の多さから病気の発見に繋がるケースが多いです。
この病気は発症してもゆっくりと進行するのが特徴で、進行のスピードは年単位です。一般的に悪性度が低く進行速度が遅いため、治療で病気の勢いをコントロールできる場合もあります。
ただ、まれに増大速度の速い「アグレッシブリンパ腫」に移行する場合があります。慢性リンパ性白血病(CLL)はがんの進行が低リスクと診断されると、すぐに治療を開始しないケースがある病気です。
治療開始のタイミングは、がんの進行速度・病状の有無・白血球細胞の状態を総合的にみて、決定されます。

慢性リンパ性白血病(CLL)の生存率

慢性リンパ性白血病(CLL)の生存率は、病期・症状・年齢によって異なりますが、一般的に生存期間は1.5〜10年以上です。この病気は完全治癒を目指すのではなく、病気をコントロールしながら治療を続けます。
また、症状が低リスクの場合や初期段階の場合、治療は行わずに経過観察をするケースもあります。そのため、無治療で5〜20年生存するケースもみられるのです。
慢性リンパ性白血病(CLL)の生存率としては、治療を受けた患者さんの5年生存率は83%で、無治療の場合でも67%というデータもあります。
病状や健康状態などの個人差に左右されるものの、適切なタイミングで治療を開始し病状をコントロールすれば、生存期間が長くなる可能性がある病気です。

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