【専門家に聞く】“認知症”を予防するための生活習慣を教えて!

【専門家に聞く】“認知症”を予防するための生活習慣を教えて!

人生100年時代と呼ばれる現代において、「認知症の予防」は健康寿命を延ばすうえでも大事な要素です。しかし、具体的にどのようなことに気を付けて生活を送れば認知症を予防できるのか疑問に思っている方も多いでしょう。そこで今回は認知症を予防するための生活習慣について、介護福祉士の青木さんに解説していただきました。

監修介護福祉士:
青木 崇(介護福祉士)

大学卒業後、5年間ECショップ運営に携わる。その後介護の仕事に興味を持ち転職、現場で働きながら介護福祉士を取得し、障がい者支援・高齢者支援に10年間携わる。これらの経験を活かし、現在は介護関係・EC関係の記事を執筆するWebライターとして活動中。

認知症を招く原因は? フレイルとの関係

編集部

認知症を発症する要因を教えてください。

青木さん

認知症の危険因子は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。これらに加えて、うつ傾向や頭部外傷、活動量の低下、対人交流の減少が認知症の発症リスクを高めるとされています。

編集部

生活の質や活動量の低下が認知症につながりますか?

青木さん

生活の質や活動量の低下は認知症の発症リスクを高めます。なぜなら生活の質や活動量が低下すると、フレイルと呼ばれる状態になりやすいためです。フレイルとは、筋力や心身の活力が低下し、要介護となる1歩手前の虚弱な状態を指します。高齢者が要介護状態や認知症になるのを防ぐには、フレイルを予防することが重要と考えられています。フレイルの予防には、栄養・身体機能・社会参加の3つの視点からアプローチすることが重要です。

編集部

認知症やフレイルを予防することは可能でしょうか?

青木さん

認知症を予防することは十分に可能です。例えば、脳血管性認知症は「脳卒中」や「動脈硬化」などを予防する生活習慣を心がけることで予防効果が期待できます。また、基本的な点としてバランスの良い食事や運動など、生活習慣を見直すことが認知症やフレイル予防につながりますよ。

認知症を予防するための4つの方法について介護福祉士が解説

編集部

認知症を予防するための生活習慣はどのようなものでしょうか?

青木さん

認知症を予防するには、4つのポイントを押さえた生活習慣が有効です。

適度な運動をする

バランスの良い食事をとる

禁煙する、飲酒量を抑える

外出や人と話す機会を作る

つまり、バランスの良い食事と適度な運動、社会参加を心がけることが認知症を予防するための生活習慣となります。

編集部

まずは運動習慣について教えてください。

青木さん

筋力を維持するには運動が必要です。適度な運動は、脳梗塞や動脈硬化、フレイル、脳血管性認知症のリスクを下げられます。運動量の目安は1日20~30分程度の散歩や軽めの筋トレです。運動習慣がない方は、いきなり負荷の高い運動をすると体を痛める原因になりますので、負荷の軽い運動から始めましょう。

編集部

バランスのとれた食事とは、どのような食習慣になりますか?

青木さん

例えば、肉よりも魚にする、果物や野菜、豆類を多くとるなどです。また塩分過多は認知症の発症リスクを高めるため、塩分を控えることが重要です。ほかにも高カロリー食や低たんぱく食、低脂肪食などの偏った食事方法は認知症のリスクを高めるといわれています。

編集部

やはり喫煙や過度な飲酒は認知症のリスクを高めるのでしょうか?

青木さん

喫煙と認知症には強い相関が認められているため、喫煙するほどリスクが高まります。そのため、認知症を予防するには早期の禁煙が必要です。また過度な飲酒は脳が萎縮し、認知症の要因になるといわれています。飲酒は必ずしも害になるとまではいえませんが、量を控えることが重要です。

編集部

外出や人と話す機会を作ることが認知症予防につながる理由を教えてください。

青木さん

外出をすることは、運動量を増やすという意味で筋力の維持に役立ちます。また外出は、視覚・聴覚・嗅覚などから脳への刺激も期待できます。例えば、視覚から季節を感じる、花の匂いを嗅ぐ、虫や鳥の音を聞くなど、五感を刺激することになり、人と話す機会を作ることで生活をより活気あるものにできます。つまり外出や人と話す機会の創出は、フレイルや認知症の予防につながるのです。

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