撮影罪とは?処罰対象となる行為や刑罰、具体例について弁護士が解説

撮影罪とは?処罰対象となる行為や刑罰、具体例について弁護士が解説

3、撮影罪の刑罰

狭義の撮影罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(性的姿態撮影等処罰法2条1項)。

東京や大阪の迷惑防止条例における盗撮罪の刑罰は1年以下の懲役または100万円以下の罰金なので、性的姿態撮影等処罰法の施行によって大幅に厳罰化されたといえます。

拘禁刑とは、受刑者を刑務所等の刑事施設に収容して、改善更生を図るために必要な刑務作業を課したり、指導をしたりする刑罰のことです。

従来の懲役刑と禁錮刑を一本化して創設された刑罰であり、受刑者は必ずしも刑務作業を課せられるわけではありません。

これまでの懲役刑とは異なり、受刑者それぞれの特性に合った指導などの処遇が行われるため、より効果的に改善更生が図られ、再犯の防止につながることが見込まれます。

なお、実際に拘禁刑が導入されるのは2025年6月1日からです。それまでの間は、拘禁刑ではなく懲役刑が科せられます。

狭義の撮影罪を除く4種類の撮影罪の刑罰は、以下のとおりです。表中で示している条文番号は、性的姿態撮影等処罰法のものです。

  罪名  

刑罰

 提供罪 

 

 

 

特定・少数の者へ提供した場合:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(3条1項)

不特定・多数の者へ提供した場合:5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方(3条2項)

 保管罪 

2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(4条)

 送信罪 

5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方(5条)

 記録罪 

3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(6条)

このように、全体的に重い刑罰が用意されています。初犯で拘禁刑(2025年5月までは懲役刑)の実刑となる可能性は高くないかもしれませんが、今までよりも高額の罰金刑に処せられる可能性はあると考えられます。

4、撮影罪の時効

撮影罪には公訴時効があります。公訴時効とは、犯罪行為が終わってから一定の期間が経過した後は、検察官が起訴できなくなる制度のことです。

時効期間は、刑事訴訟法250条2項で法定刑の重さに応じて定められています。5種類の撮影罪の公訴時効期間は、それぞれ以下のとおりです。

罪名    

公訴時効期間

撮影罪(狭義)

3年                     

提供罪   

 

特定・少数の者へ提供した場合:3年

  不特定・多数の者へ提供した場合:5年     

保管罪   

3年                     

送信罪   

5年                     

記録罪   

3年                     

なお、各都道府県の迷惑防止条例における盗撮罪の公訴時効期間は、3年です。

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