「子どもの悪性リンパ腫の初期症状」はご存知ですか?進行した場合の症状も解説!

「子どもの悪性リンパ腫の初期症状」はご存知ですか?進行した場合の症状も解説!

悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫は大きく4種類があり、骨髄の中にある造血幹細胞で作られた血液細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれています。
白血球はこの骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞のどちらから分化したかによって種類が異なります。リンパ系幹細胞から作り出される白血球はリンパ球のみです。
ただし、そのリンパ球の中でも細胞の性質の違いによって、以下の3種類に分けられます。

B細胞リンパ腫

T細胞リンパ腫

NK細胞リンパ腫

さらにホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類され、上記の3つは日本人の90%以上に該当する非ホジキンリンパ腫に分類されます。では、それぞれの種類を解説しましょう。

B細胞リンパ腫

1つ目はB細胞リンパ腫です。
B細胞は細菌やウイルスの情報(抗原)を記憶し、細菌やウイルスに打ち勝つ免疫グロブリン(抗体)を産生します。そのため、免疫反応において重要な役割を担っている体液性免疫細胞です。
B細胞にリンパ腫が発生すると、生体自身の健常細胞や組織と細菌やウイルスの区別が曖昧な状態に陥ります。
最悪の場合には、生体自身の健常細胞や組織を敵と判断して攻撃し、免疫力が著しく低下してしまうのです。

T細胞リンパ腫

2つ目はT細胞リンパ腫です。T細胞は免疫性細胞で3種類あります。

ヘルパーT細胞

サプレッサーT細胞

キラーT細胞

ヘルパーT細胞は、B細胞から形質細胞への分化とサイトカインの産生分泌を促す役割を持っています。
サプレッサーT細胞は、B細胞の分化を抑える役割を持つ細胞です。
キラーT細胞はウイルス感染細胞・移植細胞・腫瘍細胞などの異常な細胞を排除して死滅させる役割を持っています。ただし、キラーT細胞はヘルパーT細胞による抗原感作によって働きはじめるため常に機能しているわけではありません。
細菌やウイルスを攻撃しながら、ほかのリンパ球に働きかける役割をさまざまなT細胞が担っています。
大食細胞であるマクロファージへの抗体産生の促進と抑制も行いますが、リンパ腫が発生すると抗体産生の促進と抑制に異常が生じる可能性が高くなります。

NK細胞リンパ腫

3つ目はNK細胞リンパ腫です。
NK細胞はヘルパーT細胞による抗原感作がなくても、腫瘍やウイルス感染細胞を自然に認識して排除できます。いわば独立した免疫細胞です。
しかしNK細胞にリンパ腫が生じると、腫瘍やウイルス感染細胞を自然に認識できなくなったり、健常細胞や組織を敵と判断して攻撃したりします。
リンパ系幹細胞から作り出されるリンパ球にリンパ腫が生じると免疫不全を引き起こすため注意が必要です。

ホジキンリンパ腫

4つ目のホジキンリンパ腫は、白血球の中のリンパ球に発生するがんです。
腫瘍細胞が増える特徴を持っています。ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫を発症した割合全体の約5%が該当するとされており、日本人にはあまり多くみられません。
非ホジキンリンパ腫と同様に発症原因はまだ不明な点も多く、これからの医療研究に期待が高まっています。

悪性リンパ腫の進行時の症状は?

次は、悪性リンパ腫の進行時の症状について説明します。進行時の症状を詳しくみていきましょう。

発熱

風邪の症状に似ている悪性リンパ腫は、発熱を引き起こすことがあります。ただし、40度以上の高熱といった体温の決まりはありません。
熱が下がった後に悪性リンパ腫が見つかるケースもあります。原因不明で長期間発熱が続くようであれば、医師に相談しましょう。

体重減少

風邪の症状でよくみられるリンパ節の腫れは喉や顎の下です。また、発熱を伴っている場合には食欲不振が多くみられます。
食欲不振や発熱による脱水症状から体重減少につながるケースが多いでしょう。体重の減少があまりにも顕著にみられる場合には、病院へ受診することが大切です。

寝汗

発熱しているわけでも夏場の暑い時期でもないのに、大量の寝汗をかいている場合には悪性リンパ腫が進行している可能性が高くなります。
寝汗に関しても、なぜ起こるのか原因はわかっていません。寝汗が増えたと感じたら、病院へ相談しましょう。

皮疹・皮膚の腫瘤

悪性リンパ腫が進行すると免疫力が著しく低下します。そのため、皮疹・皮膚の腫瘤がみられる場合があります。
皮疹・皮膚の腫瘤を発症していても、リンパ節に腫れやしこりなどの特徴的な症状が必ず出るわけではありません。
ほかの症状が全くない状態でもX線検査などで偶然悪性リンパ腫が見つかるケースも多くあります。違和感を覚えたら、病院へ受診するように留意してください。

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