介護におけるコミュニケーションはとても重要です。しかし、高齢者と一口に言っても難聴や認知症を患っている人もおり、その人の状態はさまざまです。介護をする上でどのようなことに注意してコミュニケーションをとればいいのでしょうか。介護福祉士の若井さんに伺いました。
≫認知症の進行を遅らせるために、「自分でできること」と「我々がすべきこと」
監修介護福祉士:
若井 由加(介護福祉士)
名古屋市の老人保健施設で5年の実務経験後、介護福祉士資格取得。老人保健施設以外の施設介護を経験するため、有料老人ホームへ転職。15年間有料老人ホームで管理職を経験後、現在は家族の経営する会社で地域の在宅支援センターと連携しながら、地域の高齢者サポート活動をおこなう。
編集部
コミュニケーションが上手くいかない場合はどうすればいいのでしょうか?
若井さん
コミュニケーションが苦手なご高齢の方もいらっしゃいます。短期間で、コミュニケーションができないと判断するのではなく、ゆっくり時間をかけて一言ずつ言葉を増やしていく根気のいるコミュニケーションも必要です。
編集部
それでも上手くいかないときはどうすればいいでしょうか?
若井さん
世間話を始めても会話をしてもらえない、すぐに会話が終わってしまうといった状況が上手くいかないと思わせるのであれば、下記項目について高齢者の状況を確認する必要があります。
耳の聞こえ具合
声を出して言葉が出てくるかどうか
体に疲れがないか(体調確認)
時々、話しかけても返事をされない方がいらっしゃるのですが、難聴だったことが後でわかったことがありました。その他、認知機能の低下(認知症)で話しを理解できない高齢者もいらっしゃいました。コミュニケーションが上手くいかないことが介護として重要な情報になることもあります。無理に予想する必要はありません。医師や看護師、ケアワーカーなどに「何度話しかけても返事がしてもらえない」といったように、事実をそのまま伝えてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
若井さん
高齢者と言っても、同じ人間です。尊敬はあっても怖いものでも壊れ物でもありません。傷つけることもあれば、傷つけられることもあります。特別な何かではなく、同じ人だと思って接すると自然と出てくる言葉や姿勢もあります。構えず、自然体で高齢者に向き合ってみてください。
配信: Medical DOC
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