「前立腺がんの放射線治療」はどんな治療をするの?メリットや注意点も解説!

「前立腺がんの放射線治療」はどんな治療をするの?メリットや注意点も解説!

前立腺がんと診断される人の数は、年々増加しています。がん治療は早期発見に伴い、治療後の生存率も高く、定期的ながん検診が推奨されてきました。

前立腺がんの治療法として、抗がん剤治療や手術などがありますが、この記事では放射線治療に焦点を当てて解説します。

前立腺がんとはどのような病気なのか、放射線治療のメリットや注意点について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

≫「前立腺がんの検査方法」はご存知ですか?費用・症状・原因も解説!【医師監修】

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

前立腺がんとは

前立腺がんとは、前立腺の中で働いている細胞が正常な機能を失い正常性が欠如し、無秩序にがん細胞が増殖する病気です。
前立腺とは男性のみに存在している臓器で、膀胱の下位にあり尿道を取り囲んでいます。また、精液の一部に含まれている「前立腺液」を生成しています。
発症してすぐの状態では、自覚症状はほとんどありません。がんが進行して肥大したり、ほかの臓器へと転移したりすると、以下のような症状が出現します。

排尿しにくい

残尿感がある

トイレの回数が多くなる

尿に血が混じっている

腰痛

ほかにも、前立腺がんには以下のような特徴があります。

50代以上の男性に発生しやすい疾患

原因は不明だが遺伝や加齢によるものの可能性もある

PSA値を知ることが予防の一歩

50代以上の男性は、前立腺がんを発症しやすいとされています。
ほかのがんと比較すると、進行するスピードがゆっくりであることも特徴です。一部の前立腺がんでは、発症しても気がつかず、寿命に影響しないと考えられるがんもあります。
前立腺がんを発症する原因は不明です。しかし、遺伝や加齢による可能性が示唆されています。家族の中に前立腺がんを発症している人がいる場合、発症する可能性が1.6〜2倍といわれています。
前立腺がんの早期発見をするためには、定期的な検診でPSA値を測定することです。PSAとは、Prostate-specific antigenの略であり、前立腺組織のタンパク質です。
正常な人でも血液中にPSAは存在していますが、がん細胞により細胞が破壊されることで、血液中のPSA値の割合は増加します。そのため、PSA値を知ることは、がんの発症の有無を判断するために必要な検査です。

前立腺がんの放射線治療とは?

前立腺がんの放射線治療とは、前立腺に放射線を照射し、がんの根治を目指す治療法です。
前立腺がんの放射線治療は、以下の2種類に分類されます。

外照射療法

組織内照射療法

がんへの放射線治療は、がんの周囲の正常組織への線量は抑えつつ、がんにはできる限り多くの放射線を照射することが求められます。
一方で、前立腺は精液に関連する臓器のため、前立腺がんの治療により生殖能力に影響する可能性も否めません。そのため、子どもを持ちたい人は治療前に医師に相談することがおすすめです。

外照射療法

外照射療法とは、身体の外から前立腺に放射線を照射する方法です。
治療頻度は、1日1回、週5回で7〜8週間前後ほど必要です。外照射療法の種類は、以下のようなものがあります。

三次元原体照射:コンピューターで前立腺の形に合わせ、周囲の臓器に当たる放射線の量を減らす

強度変調放射線治療(IMRT):1つの照射野内で照射強度を変化でき、理想的な線量分布での治療が可能

定位放射線治療:さまざまな方向からターゲットに線量を集中する治療法

粒子線治療:粒子を用いた治療法

治療して3ヶ月以内に生じる副作用として、頻尿・排尿や排便時の痛みが一般的な症状として挙げられます。
3ヶ月以降に生じる副作用は、排便時の出血・血尿です。

組織内照射療法

組織内照射療法とは、小さな粒状の容器に放射線を出す物質を密閉した物を前立腺の中に入れ、体内から照射する方法です。
密封小線源療法とも呼ばれています。体内に入れるため、がん組織の近くから高い線量を照射することが可能です。組織内照射療法は、以下の2種類に分類されます。

密封小線源永久挿入療法(LDR):永久的に体内に埋め込む方法

高線量率組織内照射法(HDR):一時的に埋め込む方法

副作用としては、排尿困難感・頻尿がありますが、1年ほどで改善していくでしょう。
外照射療法と比較すると、性機能が維持される可能性が高いですが、精液量は減少します。

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