どの老人ホームを選ぶ? 「民間」と「公的」8種類のメリット・デメリットを比較

どの老人ホームを選ぶ? 「民間」と「公的」8種類のメリット・デメリットを比較

“老人ホーム探し”を考え始めても、置かれた状況や個人の希望は千差万別。「いつから何をすればいいのかわからない」「漠然と不安が募る…」という方も多いのではないでしょうか? そんな方に活用してもらいたいのが、10年以上にわたって老人ホーム探しをお手伝いをしてきた「みんなの介護」監修による『クチコミ付きで施設選びに失敗しない! 全国老人ホームガイド』。幸せな老後を迎えられるように、多種多様な施設選びの参考にしてください!
※本記事はみんなの介護 (監修)著の書籍『クチコミ付きで施設選びに失敗しない! 全国老人ホームガイド』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

施設の違いを把握しよう!老人ホームの8つの種類・特徴

介護施設には、国の補助金により設立された公的施設と、企業が設立した民間施設があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
<民間>介護付き有料老人ホーム
<POINT>
日常生活の支援や機能訓練などの介護・看護ケアが充実
介護保険制度の利用によって入浴・排泄介助、買い物代行などの介護・生活支援サービスが受けられるよう整備されている施設です。基本的には終身利用可で、看取りにも対応しています。また、サークル活動やレクリエーション、カラオケといった娯楽設備を用意するなど、施設ごとの特色はさまざま。費用に関しては、手厚い人員体制が整えられている分、高くなる傾向があります。月額利用料に加え、入居一時金という初期費用も必要。ただし、待機者が少なく、入居のしやすさも魅力です。

<こんな人におすすめ>
手厚い介護サービスを受けたい人、終身で利用したい人
<メリット>
・介護や看護ケアの充実
・選択肢の幅が広く、待機者が少ない
<デメリット>
入居一時金がかかる

<民間>住宅型有料老人ホーム
<POINT>
必要な生活支援を受けながら、自由な生活を楽しめる
⾷事の提供、洗濯などの生活支援サービスが付いた施設です。介護度が低い人、自立の人が想定されているため、医療・介護の体制が整っていない施設もあります。最大の特徴は、⽣活援助・介護サービスを入居者の必要に応じて⾃由に組み合わせて利⽤できること。そのため介護度の低い方は費用を安く済ませられる一方、高くなった場合は入居継続が難しくなるケースも。日々の生活では、フィットネス室などの設備、本格的な習い事を実施している施設もあり、生活を楽しめる工夫が凝らされています。

<こんな人におすすめ>
介護を必要としない自立した人、介護度が低い人
<メリット>
・外部の介護サービスが自由に選択できる
・介護度が低くても入居可能
<デメリット>
介護度が高くなるほどに費用がかさみ、入居継続が困難になることがある
<民間>サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
<POINT>
安否確認や生活相談サービスを提供する「賃貸住宅」
高齢者のための賃貸マンション。安否確認・生活相談(介護や心身の悩みに対する働きかけ)のサービスが義務付けられ、必要に応じて食事提供、生活支援などのサービスを受けられます。タイプは2つ。「一般型」はスタッフの配置がなく、外部の介護サービスを使用するため、介護度が上がった場合は退去の可能性も。「介護型」は、介護度が高くても入居可能で、施設常駐のスタッフから介護サービスを受けます。ただし数が少なく、「一般型」より費用も高め。最大の特徴は、自由さ。賃貸住宅なので施設の出入りや入浴に時間の制限がなく、「配偶者」などの条件のもと二人入居も可能です。

<こんな人におすすめ>
一人暮らしに不安を感じている人、自由な生活を望む人
<メリット>
・入居しやすく退去させられにくい
・生活の自由度が高い
・幅広い選択肢から選べる
<デメリット>
一般型は介護度が高いと入居できないこともある
<民間>グループホーム
<POINT>
認知症高齢者のための介護施設で、9人以下の共同生活
認知症の方が、専門スタッフの支援を受けながら共同生活を送る施設です。原則として施設がある市区町村に住民票がある方が対象。最大の特徴が、入居者自身が他の入居者と分担して家事を行うこと。自宅に近い環境で生活することで、認知症の進行を緩やかにさせます。そのため、暴言・暴力などの迷惑行為があると、入居不可に。基本的に身体症状が安定している方向けの「生活の場」なので、状況が変化した場合は退居を求められる可能性もあります。介護サービス費は入居者の介護度に応じて変わり、食費や光熱費、医療費などの「日常生活費」は介護保険の適用外のため、すべて自己負担となります。

<こんな人におすすめ>
集団生活を送ることに支障がない認知症の方
<メリット>
・症状の進行を和らげることにつながる
・介護職員は認知症ケア専門
・住み慣れた地域から離れずに済む
<デメリット>
・定員が少ないため即入居が難しい
・施設のある市区町村に住民票を持たないといけない

<公的>特別養護老人ホーム(特養)
<POINT>
「終(つい)の棲家(すみか)」となる場と介護サービスを提供
介護を必要とする方( 原則、要介護3以上)のための「終の棲家」となる施設で、認知症の方の受け入れも可能です。ただし、3か月を超える入院が必要になった場合は退去しなくてはなりません。入居一時金が不要で、入居者と扶養義務者の負担能力に応じて費用が算出されるため、民間施設に比べると安価。人気が集中しやすく、長い場合には入居待機期間が数年になることも。
<公的>ケアハウス
<POINT>
安価でさまざまなニーズに対応
ケアハウスは自宅での生活が困難な方が、個室で食事や洗濯などの生活支援サービスを受けながら生活できる施設。一般型は介護度が低い人向けなので、介護スタッフは不在。介護度が上がると退去につながる可能性もあります。介護型は、スタッフによる介護が提供され、介護度が上がっても入居継続が可能。数が少なく、入居待機期間が1年以上になることも。
<公的>介護医療院
<POINT>
高度な医療ケアが必要な方も受け入れ可能
要介護者の長期療養と生活支援を目的とした施設。医師の配置が義務付けられ、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養など医療ニーズの高い要介護者の受け入れも可能。リハビリはもちろん、人生の最終段階におけるケア(看取り)も行われます。施設の種類も細かく分かれていて、入居者の状態によっては費用が高くなるケースが考えられます。入居には医師の紹介状などが必要です。
<公的>介護老人保健施設(老健)
<POINT>
原則3か月で在宅復帰を目指すリハビリ施設
在宅復帰と在宅療養支援を行うため、医師とリハビリ専門スタッフが常勤。入居中は医療保険ではなく、原則、介護保険の範疇で医療サービスを利用するので、老健の医師の判断で薬が変更になる可能性もあります。また、身体介護サービスは充実していますが、洗濯や買い物などの生活支援サービスは不十分な場合も。入居期間は原則3か月で、回復したと判断されると退去となります。
民間施設と公的施設の違いは?
民間施設
民間企業や各種法人が運営しています。運営法人によってサービスに特色があり、ホテルのような内装を調えた高級志向の施設も多くあります。
公的施設
地方自治体など公的機関が運営していて、民間施設よりも費用が安め。一方で、入居待ちや、利用者が自由に施設を選べないといった点に注意が必要です。

関連記事:

毎日が発見ネット
毎日が発見ネット
「毎日が発見ネット」は「人生のちょっと先のことがわかる!」をテーマに、健康、ライフプラン、くらし、趣味など、生活に役立つヒント満載のサイトです。 また、オリジナルの漫画コンテンツも好評配信中です!
「毎日が発見ネット」は「人生のちょっと先のことがわかる!」をテーマに、健康、ライフプラン、くらし、趣味など、生活に役立つヒント満載のサイトです。 また、オリジナルの漫画コンテンツも好評配信中です!