自身にあった保存水を選ぶ方法
写真:PIXTA
保存水は「飲みやすさ」「保存期間」「サイズ」などから選ぶとよいでしょう。
飲みやすさ
水の飲みやすさは、硬度によるところが大きいです。日本の水道水は軟水で、日本で製造・販売されている水のほとんどが軟水のため、硬水は飲みにくいと感じる人が多いようです。
ただし、一口に軟水といっても、商品によって水源が異なり、含有されているミネラルのバランスが異なります。1本から購入できる保存水もあるので、味や飲みやすさが心配な方は、一度試してから多く購入するのも良いでしょう。
「南アルプスの天然水」など、スーパーやコンビニエンスストアでよく見かけるミネラルウォーターの備蓄用も販売されています。災害時にもいつもと同じ味の水を飲みたいという方にとっては、心強いですね。
・赤ちゃんのミルクには
なお、ミネラル成分の高い硬水は、赤ちゃんには消化器の負担となる可能性があり、避けたほうがよいとされています。赤ちゃん用としてミネラル成分を調整した水も販売されていますが、災害時には手に入りにくいかもしれません。
東日本大震災の後に、日本小児科学会などが軟水のミネラルウォーターや水道水を煮沸して、ミルクの調乳に使用しても問題ないと声明を出しています。軟水であれば、赤ちゃんも大人と同じ水で大丈夫と覚えておきましょう。
保存期間
保存水の賞味期限(品質保証期間)は、商品により5・7・10年などさまざまです。長いものでは、15年保存できる商品もあります。ただし、これは未開封の状態で保存した場合の期限です。
・選び方
引っ越しなどの予定がある方は、保存期間が短めのものを選び、転居前に日常生活で利用して荷物を少なくするというのも、ひとつの方法です。
重いものを運ぶのが大変な高齢の方などは、保存期間が長めのものを選んでおくと、入れ替えの負担が少なくなるでしょう。
・保存方法
水を長期保存するにあたっては、保存方法にも注意が必要です。容器と中身の劣化を防ぐために、高温や直射日光を避け、常温で保存するのが基本です。また、匂い移りを避けるために、洗剤や灯油などの香りや匂いの強いものの近くに置くことは避けましょう。積み上げる際は、賞味期限が見えるようにすると管理がしやすくなります。
なお、水中に含まれているミネラル成分が結晶化し、沈殿・浮遊することがありますが、品質には問題ありません。
・保存期間が過ぎてしまったら
農林水産省は防災備蓄用の保存水に関して、「保存期間が過ぎても、すぐに飲めなくなるわけではない」という見解を示しています。
災害時には生活用水も不足することがあります。保存期間が過ぎてしまい飲むのが心配であれば、手を洗う水やトイレを流す水などにして活用しましょう。
サイズと必要量
市販されている保存水のサイズは2Lのものが多いものの、商品によっては1.5L、500mlなどもあります。
防災備蓄用として備えておくべき水の量は、1人あたり1日3L×3日~1週間程度が目安です。
・選び方
保存水は容器などにコストがかかっている分、一般的なペットボトル入りの水よりも価格が少し高めです。コストパフォーマンスが良いのは2L入りですが、長期保存ができるのはあくまでも未開封の状態であるという点に注意が必要です。とくに口をつけて飲んだペットボトルには、唾液や食べもののカスなどが混入しやすく、できればその日のうちに飲み切った方が良いとされています。
災害時にはコップなどを利用できるとも限らないため、一部を500 mlなど小さめのサイズで用意しておいてもよいでしょう。
また、普段からペットボトルの水を利用している方は、備蓄の一部を保存水にして、残りは一般的なペットボトルを使用しながら災害に備えるローリングストックにすることもお勧めします。
用意した保存水の一部は、非常食などとともに持ち出し用バッグなどに詰めておくと、避難が必要なときに役立ちます。
まとめ
保存水は殺菌方法や充填方法、容器などに工夫が施されたものであり、体に悪い成分は含まれていないことが分かりました。災害時などの備えとして、安心して活用してください。
<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。
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配信: 防災ニッポン