【医師解説】“体外受精”の適応条件、副作用、リスクについて教えてください

【医師解説】“体外受精”の適応条件、副作用、リスクについて教えてください

体外受精のデメリットとリスク

編集部

逆に体外受精のデメリットは何でしょうか?

阿部先生

排卵を誘発するのに投薬や採卵、麻酔などが必要なことから、多少なりとも体に負担がかかってしまうことです。また、何度か通院しなければならないので、仕事をしながら不妊治療をする方は職場や家族の協力が必要になります。

編集部

排卵を誘発する治療が少なからず負担になるのですね。

阿部先生

ですが、その負担も今ではかなり軽減されています。以前は排卵誘発剤で卵巣腫大が起きたり、頭痛や吐き気、下痢などが起きたりすることもありました。ほかにも、血液中の水分が血管の外へ漏れ出して腹水や胸水の原因になったり、血栓のできる原因となる卵巣過剰刺激症候群を発症したりするリスクもありました。しかし、最近は新薬が開発されたこともあってそうした症状も減っています。

編集部

体への負担を軽減する治療方法もあるのでしょうか?

阿部先生

排卵誘発剤の量が増えると体に大きな負担がかかってしまいます。医療機関によって異なりますので、不安な方はまずはかかりつけ医に相談してみましょう。私たちのクリニックでは薬の使用を極力抑え、自然に近い状態で排卵を促す「体に優しい自然低刺激法」による不妊治療を積極的に行っています。

編集部

体外受精では多胎妊娠が多いと聞きました。

阿部先生

かつては妊娠の確率を高めるのに、あえて複数個の受精卵を子宮に移植し、それらが複数着床することで双子や三つ子などの多胎が多く発生していました。しかし、現在は日本産科婦人科学会の「胚移植する胚の数は原則1個」というガイドラインによって、体外受精による多胎のリスクは減っています。

編集部

体外受精に興味がある方はまず何をしたらよいですか?

阿部先生

不妊治療や体外受精を専門で行うクリニックへご相談ください。ご自分が治療の適応かどうか、どのような治療の選択肢があるのかなど、確認することをおすすめします。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

阿部先生

「不妊治療クリニックはなんとなく受診しづらい」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、「自分は不妊かもしれない」「何か問題があるかも」と感じたタイミングで、早めにご相談ください。妊娠できるかどうかにおいて、一番重要なのは年齢です。もし治療が必要なら、少しでも早くスタートした方が良いでしょう。最近は自然妊娠しづらいと感じた時点ですぐに受診する方や、今すぐにではなくても将来的な妊娠を考えている方の受診も増えているので、気になる点や不安に思っていることがあれば、お気軽に受診してみてください。

編集部まとめ

不妊治療にはさまざまな方法があり、一人ひとりに適した治療法も異なります。もし妊娠に関して悩みがあれば、まずは専門医療機関へ相談をしてください。必ずしも治療が必要とは限らないので、ぜひ気軽に受診してみましょう。

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