不安には必ず終わりが来る
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください。
山口さん
食事ができること、お風呂に入れること、外出できること……なんでもない日常が一番幸せだということに気づきました。また私は、成年後見や死後事務委任の事業所を経営しているのですが、相談者の中にはがんをはじめいろんな病気と向き合っておられる方が数多くいらっしゃいますので、そういう人たちにはこれまで以上に寄り添ったご支援ができるのではと感じています。
編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか?
山口さん
子宮頸がんの検診は受けたことがなかったので「受けておけばよかった」と後悔しています。唯一、今回異常を放置せずすぐに受診したことはよかったと思っています。今でも「あのときすぐに産婦人科に行ってなかったらとんでもないことになっていたかも…」と思います。躊躇することが一生の後悔につながると感じました。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
山口さん
退院時にひどかった食欲不振・胃もたれ・下痢などの症状は10日程度でおさまりました。ただ、入院中ほとんど食事がとれず、胃が小さくなってしまったのか食は細くなりました。再発や転移の不安はありますが、免疫力が一番なので食事にも気をつけるようにしています。加工食品や菓子類は控えて、できるだけ旬のものをバランスよく摂ることを心がけています。あとは水分をよく取るようになりました。入院中は食べないうえに、動けないので体重が9kgも落ちてしまいました。退院後からは、ジムに行って少しずつ体を動かして筋肉をつけています。仕事はストレスにならない程度に復帰しています。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
山口さん
多くの方にお世話になり、感謝しています。もしよければ、治療内容や選択肢、検査データなどの情報はできるだけ詳しく、わかりやすく患者へ提供してほしいです。患者と同じ目線におりていただくことで、はじめて信頼関係が生まれると思います。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
山口さん
病気になると不安なことがいっぱいあると思います。まず、わからないことや不安なことは遠慮せずに主治医に聞きましょう。一人で抱え込まないで周りの専門職に頼ってください。また、インターネットには多くの情報があふれていますが、正しい情報なのかそうでないのかを見極める目を養うこと、がん保険に加入しておくことをおすすめします。がん保険に加入しておくことで先進医療などの選択肢が広がります。何かあった時、経済的な不安なく治療に専念できる環境作りはとても大切です。そして、今治療を受けておられる方、副作用に苦しんでおられる方、いつ続くかわからない不安に押しつぶされそうな方、必ず終わりはきますので、どうか頑張ってください。
編集部まとめ
大変な治療を乗り越えて「なんでもない日常が一番幸せ」と気づけたという山口さん。担当の医師へ相談しながら治療方針を決定されていくのが印象的でした。この記事をお読みのみなさんも、体の異変や気になることが出てきたらお近くの医療機関に相談するようにしましょう。
配信: Medical DOC
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