「糖尿病」の合併症、あなたは何個わかりますか? 症状・治療法も医師が徹底解説!

「糖尿病」の合併症、あなたは何個わかりますか? 症状・治療法も医師が徹底解説!

国民病として、患者数が急激に増加している「糖尿病」。糖尿病にはステージがあり、進行すると症状や治療方法も変わってきます。今回は、どのように糖尿病の病態が変化するのかについて、「そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック 渋谷駅道玄坂院」の薗田先生にうかがいました。

≫「糖尿病」を放置するリスクはご存じですか? 危険な合併症や治療法も医師が解説!

監修医師:
薗田 憲司(そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック 渋谷駅道玄坂院)

日本医科大学卒業。その後、東京都済生会中央病院糖尿病・内分泌内科などで経験を積む。2023年、東京都渋谷区に「そのだ内科糖尿病・甲状腺クリニック 渋谷駅道玄坂院」を開院。日本糖尿病学会専門医、日本内科学会認定医。著書は「“血糖値”を制して脂肪を落とす! 最新エビデンスと実体験からわかった最強血糖コントロールダイエット(美人力PLUS)」。

糖尿病の症状・タイプ

編集部

「糖尿病にも種類がある」と聞きました。

薗田先生

糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があり、現在、圧倒的に患者数が多いのは2型糖尿病です。1型糖尿病は膵臓内でインスリンを分泌するβ細胞が、自己免疫の異常などにより破壊されてしまい、インスリンが産生できなくなると発症します。一方、2型糖尿病は、遺伝的要因に加えて、糖質の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレスといった生活習慣などの複合要因によって引き起こされます。

編集部

2型糖尿病を発症すると、どのような症状が表れるのですか?

薗田先生

糖尿病の初期は、ほとんど自覚症状がありません。やや進行すると以下のような症状が表れることがあります。私の臨床経験から言えば、「HbA1c」の数値が8%以上になると、以下のような症状が表れる傾向にあります。

すぐにのどが渇く

やたらと水分を摂るようになった

排尿回数や尿量が増えてきた

睡眠中にトイレに起きるようになった

食べて2~3時間で空腹になる

倦怠感が続く

全身がだるい

疲れやすくなった

歩き続けるのがつらく、休み休み歩くようになってきた

傷が化膿しやすくなる

編集部

様々な症状があるのですね。

薗田先生

はい。さらにHbA1cが10%を超えると、「たくさん食べても異常に体重が減ってきた」という症状がみられる場合もあります。ただし、症状の出現には個人差があります。

編集部

このような症状がみられたら、早めに受診した方がいいのでしょうか?

薗田先生

そうですね。初期のうちに治療を開始すれば、食事に気をつけるなどで血糖値をコントロールすることが可能です。

糖尿病が進行すると、どのような症状が出る?

編集部

糖尿病が進行すると、どのような症状が表れるのですか?

薗田先生

一例として、以下のような症状がみられるようになります。HbA1cが7%以上の状態が5年以上続くと、このような症状がみられやすくなります。

手がしびれる

皮膚がかゆくなる

ものが見えにくくなる

視野が欠ける

編集部

なぜ、そのような症状が表れるのですか?

薗田先生

糖尿病には様々な合併症があり、病態が進行するにつれて、これらの合併症を引き起こしやすくなるからです。

編集部

糖尿病には、どのような合併症があるのですか?

薗田先生

代表的なものは「三大合併症」と呼ばれています。具体的には「糖尿病性神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎症」です。糖尿病の三大合併症は、「神経障害」の「し」、「目に起きる網膜症」の「め」、「腎症」の「じ」の頭文字を取って、「しめじ」と覚えましょう。

編集部

それぞれの合併症について、もう少し詳しく教えてください。

薗田先生

まず糖尿病性神経障害は、糖尿病による合併症の中で最も多く発症します。神経の働きが阻害されて、手足にしびれを感じたり、怪我などの痛みに気づきにくくなったりします。そのため、ちょっとした傷でも化膿することがあるのです。

編集部

なぜ、神経の働きが阻害されるのですか?

薗田先生

糖尿病になると血液がブドウ糖を多く含むようになり、ドロドロになって血管の壁を傷つけます。それにより、体の末端にある足や手の細い神経が傷つくのです。同様の理由で、目の網膜がダメージを受ければ糖尿病網膜症、腎臓の糸球体という組織がダメージを受ければ糖尿病性腎症を引き起こします。

編集部

糖尿病網膜症を発症すると、どのような症状がみられるのですか?

薗田先生

眼球の奥にある網膜の細い血管が障害を受けて、大量出血を起こしたり、網膜剥離を引き起こしたりします。そして最悪の場合、失明に至ることもあります。

編集部

失明することもあるのですね。

薗田先生

はい。糖尿病網膜症の怖いところは、失明の直前に視力障害が起きるまで、全く症状がないことです。これはいわば、気づかないうちに爆弾が育っているイメージでしょうか。視力障害が起こり、見えにくい、かすむといった症状がみられるようになって、初めて気づくことが多いのです。

編集部

恐ろしいですね……。最後、糖尿病性腎症についてはいかがでしょうか?

薗田先生

糖尿病によって腎臓がダメージを受け、老廃物を尿として排泄できなくなり、人工透析が必要なることもある疾患です。糖尿病性腎症も初期は、自覚症状がほとんどありません。

関連記事: