寒い冬、換気時間は何分くらい? 効率的な換気の方法&コツ

「寒い時期は、窓を開けて換気をする気にはなれない……」という方はいませんか? 確かに、せっかく暖めた部屋が冷えてしまいそうで気が進みませんが、まったくしないというわけにもいかないですよね。そこで、できるだけ効率良く換気するコツを、住生活ジャーナリストの藤原 千秋さんに聞いてみました。窓を開けての換気に必要な時間や注意点なども教えてもらったので、ぜひご一読ください!

改めて考える、換気が必要な理由とは?

コロナ禍を経て、換気の大切さが広く知れ渡っている昨今。以前の記事
でもお伝えしましたが、ここで改めておさらい、換気の必要性をまとめました。

二酸化炭素や一酸化炭素の濃度を下げ、酸素の濃度を上げる

人の呼気に含まれる二酸化炭素は、換気が不十分だと室内にどんどんたまっていきます。濃度が極端に上がると、頭がぼうっとするなどの不調につながることもあるので、定期的な換気で新鮮な空気を取り込まなくてはなりません。なお、ガスや灯油を燃料とする暖房器具を使っている場合は、特に注意が必要。一酸化炭素中毒のリスクがあるため、定期的な換気は不可欠となります。

室内にこもったニオイを外に出す

家の中には、さまざまなニオイの原因物質が存在しています。これらが混ざり合ったものが、いわゆる生活臭。壁紙や布製品にしみついてしまうと簡単に消すのは難しいのですが、調理をした後などの一時的なニオイは換気をすることで追い出すことができます。

室内にこもった湿気を外に出す

空気が乾燥しやすい冬でも、窓に結露が発生すれば、その周辺には余分な湿気がたまってしまいます。また、室内干しをしたり、加湿機を必要以上に使ったりして湿度過多になっている場合も。そのまま放置しているとカビやダニが発生する要因となるほか、家具を傷める可能性もあるので、換気をして外へ逃がすことが大切です。

ホコリや花粉、ウイルスなどの有害物質を排出する

室内の空気には、ホコリや花粉、カビ、ウイルスなど、さまざまな有害物質が存在しています。こうした物質も、換気をすることで外に出すことが可能。「外の空気のほうが汚いのでは?」と思うかもしれませんが、想像以上に家の中の空気は汚れているもの。幹線道路が近くにあったり、花粉や黄砂の飛来が激しかったりしない限りは、換気をしてきれいな空気を取り込む必要があるのです。

新鮮な空気を取り込んで、気分を切り替える

上記に加え、「換気には気分転換の側面もありますね」と、藤原さん。

「たとえば、会議室のように人が多くいる場所から外に出ると、気分が変わってすっきりしますよね。窓を開けて自然の空気を部屋に取り込めば、同じような効果が感じられると思います」

寒い日にも実践したい! 効果的な換気の方法

暖かい部屋の温度をできるだけ下げたくないと思うなら、換気を効率良く行うことが大切。具体的な方法を、藤原さんに聞きました。

エアコン暖房はつけたままでOK

「エアコンは立ち上がりのときに最も電力を必要とするので、換気で窓を開けるたびに切っていると、余計な負荷がかかります。また、換気をするときにエアコンを切り、室温が大きく下がってから再びつけると、元の温度に戻そうとして電力をさらに消費するため、エアコン暖房はつけたままで換気を行いましょう。なお、熱は暖かいところから冷たいところに移動する性質があるので、冬のように室内外の気温差が大きいときは、短時間で効率良く空気を入れ替えることができますよ」

換気時間は、1時間に5分〜10分を目安に

「換気の時間や頻度は家の広さや窓の数などによっても変わりますが、“1時間に5分〜10分×2回”が目安と言われています。ただ、そこまで頻繁に窓を開け閉めするのは難しいこともありますよね。基本的に、24時間換気システムが稼働していれば、2時間に一度、家の中の空気がすべて入れ替わっていることになるので、あまり厳密に考えなくても良いのかも。個人的には、“1時間に5分〜10分”を1回、行うことは必要かなと思っています」

2か所以上の窓を開けるなど、空気の通り道を考えて換気する

「ただ窓を開けていても、空気が動いていなければ換気は十分にできていません。空気を部屋全体に巡らせるには、空気の入口と出口を設ける必要があるので、対角線上にある2か所以上の窓を開けるなどして、空気の通り道をつくるようにしましょう」

開ける窓の位置によっては節電につながることも

「たいていのお宅では、エアコンが窓の近くに設置されているため、難しいかもしれませんが、エアコンからできるだけ離れた位置の窓を開けるのがオススメです。なぜなら、エアコンが冷たい外気を感知すると、部屋が暖まってないと判断し、暖房を強めてしまうから。もし、選ぶ余地があるなら、エアコンから離れた窓を開けたほうが節電にもつながります」

窓が1か所だけなら、ドアを開ける&換気扇を回す

「窓が1か所しかなくても、その向かい側にドアや換気扇があれば、効率良く換気ができます。空気の入口を窓、出口をドアや換気扇として、空気の通り道をつくるイメージですね。さらにサーキュレーターを使うと、より効率がアップ。室内に向けて窓側に置けば外気を取り込む量が増え、ドアと部屋の境に置いて室外に向ければ、室内の空気を追い出すサポートができます。換気扇がある部屋なら窓側、室内のよどんだ空気をまずは出したいならドア側といった形で、部屋のつくりや目的によって使い分けると良いでしょう」

窓がない部屋でも、サーキュレーターが大活躍

「窓がない部屋の場合は、ドアの外にサーキュレーターを置いて強い風を送り、室内の空気を巡らせましょう。また、スペースがあるなら部屋の中央に置き、上に向けて風を送ることで、空気を撹拌できますよ」

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