王子の家来、ハインリヒの胸のたがが外れていく
王さまの意向で、この王子はお姫さまの友達というだけでなく、お婿さまとなることに。王子はある悪い魔女によって醜いかえるの姿に変えられていたのでした。自分を人間に戻してくれるのは、お姫さましかいなかったのだと王子は打ち明けました。
その夜、二人はゆっくり休みました。翌朝、八頭の白馬をつけた馬車が入って来ました。馬車の後ろには若い王さまの家来がしゃんと立っています。これが忠義者のハインリヒです。ハインリヒは鉄のたがを三本も胸に巻き付けていました。主君がかえるにされ、悲しみのあまり胸が破裂しそうだったので、たがでおさえていたのです。
ハインリヒは二人を馬車に乗せました。主人の魔法が解けたのが嬉しくてなりません。さて馬車が少し走り出した頃、後ろで何かが弾ける音がしました。馬車が壊れる音かと思った若い王さまですが、ハインリヒは、「いいえ、馬車ではございません。私の胸に嵌めたたがなのです」と答えました。
それは、主君が人間に戻った喜びでハインリヒの胸が開けたため、胸のたがが破裂して飛び散る音だったのです。
(おわり)
\ココがポイント/
✅お姫さまと王子は婚約する
✅王子の家来が馬車でやってくる
✅家来のハインリヒは王子がかえるにされた悲しみで胸が破裂しそうになり、3本のたがを胸にしめていた
✅王子が元の姿に戻った喜びでハインリヒの胸がふくらみ、たがが大きな音を立てて外れていった
子どもと「かえるの王さま」を楽しむには?
いかがでしたか?
お姫さまのかえるに対する態度があんまりひどいようですが、現実のかえるを想像すると、かえるを触りたがらないお姫さまの描写にはリアリティも感じられます。そんなお姫さまに正しい行いをするよう諭す王さまの言葉は、ぜひ子どもにちゃんと聞かせたいですね。
最後に登場するハインリヒにちょっとびっくりした人もいるかもしれません。実はこのお話は副題を含めると「かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ」となるんです。ハインリヒの喜びが、結末をより幸福のあるものにしています。
お子さんには、
・困っているときにかえるが助けてくれたら、お礼を言える?
・かえるを嫌がるお姫さまの気持ちはわかる?わからない?
・自分がかえるだったら、お姫さまの態度をどう思う?
・ハインリヒのことをどう思う?
などと聞いてみてもいいかもしれません。
配信: マイナビ子育て