「歯石」は何カ月に1回取るのがいい? 放置するリスクや除去後の注意点も歯科医が解説!

「歯石」は何カ月に1回取るのがいい? 放置するリスクや除去後の注意点も歯科医が解説!

歯磨きを頑張っても、気がつくと歯面についている石のように硬い「歯石」。歯石は、放置するとむし歯や歯周病のリスクを高めるため、歯科医院での定期的な除去が必要です。しかし、実際にどのぐらいの頻度で歯科医院に行けばいいのでしょうか。そこで、歯石除去の頻度の目安や歯石除去後の注意点などを、「ヒロ歯科クリニック」の中牟田先生にお聞きしました。

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監修歯科医師:
中牟田 晃博(ヒロ歯科クリニック)

明海大学歯学部卒業。2000年、東京都三鷹市に「ヒロ歯科クリニック」を開院。患者とのコミュニケーションを大切にし、本当に求めている治療計画を立案して、その計画に沿って可能な限り痛みの少ない治療を心がけている。日本歯科医師会所属。

歯石取りは何カ月ごとに行くのがいい? 歯科医が教える歯石除去の頻度とその考え方

編集部

歯石は何カ月ごとに歯科医院で取ってもらうのがいいのでしょうか?

中牟田先生

少なくとも「半年に1回」は歯科医院を受診し、歯石を除去してもらう方がいいでしょう。ただし、これは「歯磨きがよくできていること」が前提で、そうでない人はそれ以下の頻度で通っていただくこともあります。

編集部

個々のセルフケアの状況によって、歯石除去の頻度も変わるわけですね。

中牟田先生

はい。歯石はプラーク(歯垢)が唾液の成分と反応して硬くなったものなので、歯磨きができていない、磨き残しの多い人ほど歯石は蓄積しやすくなります。年齢を問わず磨き残しの多い人はいますが、高齢になるほど磨き残しが多くなる傾向にあります。そのため、年齢が上がるにつれ、受診の頻度を高めることをおすすめしています。

編集部

そのほかに、歯石がつきやすい人の特徴はありますか?

中牟田先生

1日の食事の回数、特に間食の多い人は口内細菌が繁殖しやすく、結果的に歯石も増える傾向があります。また、むし歯治療をした歯が多い人は、「歯磨きがうまくできない」「間食が多い」などの理由でそこに至ったかもしれません。そのようなことを踏まえると、歯石がつきやすい可能性は高いですね。加えて、お口の中に被せ物やブリッジが入っている人は、磨き残しが出やすい環境があるため、その周囲には歯石がつきやすいです。歯石の付着量は理由によって異なるので、自分にあった歯石除去の頻度を歯科医師に相談するといいでしょう。

編集部

お口の環境や状況にあわせて、自分にあった歯石除去の頻度を見つけることが重要なのですね。

中牟田先生

この点は、家の大掃除に例えるとわかりやすいでしょう。普段からお掃除や整理整頓をある程度している人は年末の大掃除も楽ですが、あまり掃除や整理整頓をしない人がいざ大掃除をしようとしても1日で終わらせるのは難しいと思います。これと同じように、歯磨きをあまりしない人やうまく磨けない人が半年に1回受診しても、その1回で全ての歯石を除去するのは困難です。したがって、定期的に歯科医院へ通いながら、自分に合った頻度をアドバイスしてもらうことをおすすめします。

歯石除去はなぜ必要? 歯石を放置することのリスク

編集部

やはり、歯石は定期的に歯科医院で取る方がいいのでしょうか?

中牟田先生

基本的にはそうですね。プラークが歯石に変わると、歯ブラシや歯間ブラシでは落とせないため、歯科医院で専用の器具を使った除去が必要となります。

編集部

歯石を取らないまま放置すると、どのようなリスクがありますか?

中牟田先生

本人にその自覚があるかは別として、口元の見た目が汚く、不潔な印象を与えてしまいます。これは周囲からの自身の評価を下げることにもつながりかねません。また、歯石は表面がザラザラしているので、プラークや細菌が増えやすい環境を作り出してしまいます。仮に、歯の表面がツルツルで綺麗なときの細菌の付着量を1とした場合、歯石によって表面積が3倍になると細菌の付着量も3倍になり、むし歯や歯周病のリスクも3倍に跳ね上がります。まさに「汚れが汚れを呼ぶ」という悪循環を生み出してしまうわけです。

編集部

以上のようなリスクを回避するために、定期的な歯石除去が必要なのですね。

中牟田先生

歯科医の視点でお話しすると、歯石除去は単に「歯を綺麗にする」というだけでなく、定期的な通院を通して患者さんのお口の状況とその推移を把握するという大きな目的があります。定期的に通院することで、もし問題が見つかった場合には、早期治療に結びつけることができるというわけです。そのような意味では、歯面清掃や歯石除去といった処置は、早期発見・早期治療という大きな枠組みのなかで提供されるオプションの1つととらえることができます。

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