「小1の壁」なんてない!? ランドセルの支度を親は手伝ってはいけない理由

「小1の壁」なんてない!? ランドセルの支度を親は手伝ってはいけない理由

いよいよ小学校1年生! 子どもの成長を感じてうれしい一方、「小1の壁」を不安に感じているママやパパも多くいます。そこで今回は、斬新でユニークな指導法で話題の現役小学校教諭「ぬまっち先生」こと沼田晶弘さんに、「小1の壁」の原因と対策について伺いました。

沼田晶弘さん 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

1975年生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士過程を終了。同大学教員などを経て、2006年から現職。子どもの自主性や自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題となり、注目を集める。現在は、現役教諭として教鞭をとる傍ら、講演や執筆活動も精力的に行う。「小学校が100倍楽しくなる 小学校のおやくそく」(角川書店)など著書多数。

「小1の壁」は存在しない!

(※画像はイメージです)

――「小1の壁」と呼ばれる障壁について、沼田先生はどうお考えですか?

沼田先生 こういうと皆さん驚かれるかもしれないですが、まず前提条件として「小1の壁」なんてボクはないと思っています。いつのまにか「小1の壁」という言葉が世間で定着してしまい、不安に思う保護者の方も多いと思いますが、実際に目に見える壁があるわけではありません。誰かが作り出した架空の壁にすぎないともいえます。

――しかし一般的に、保育園や幼稚園から小学校に上がることで子どもがぶつかるさまざまな問題のことを「小1の壁」と呼んでいますよね。

沼田先生 環境が変わることで生じる問題は確かにあると思います。でも、新しい環境になじむまで時間が必要なのは当たり前のことですよね。

たとえば大人が転職をするときに、新しい職場で問題にぶち当たるとしても、それを「転職の壁」とは言いませんよね。「今までとは違って当たり前」と認識しているからです。保育園や幼稚園、こども園と小学校は違う場所ですから、わざわざ「壁」という言葉を使わず、その心構えをしておけばいいのではないでしょうか。

――確かに「小1の壁」という言葉を意識するあまり、不安が大きくなってしまっている側面はあるかもしれません。

沼田先生 親御さんの不安が大きくなる要因は、小学生になると子どもの学校での様子が見えにくくなることも大きいと思います。保育園や幼稚園では、送迎時に先生と保護者が顔を合わせますし、連絡帳で毎日の様子をこまめに知らせてくれますが、小学校ではそれらがなくなります。連絡帳はあるけれど、重要な伝達事項を知らせるのみで日常の様子は書きません。

――特に最初は、学校での子どもの様子をもっと知りたい、と思ってしまいそうです。

沼田先生 実際、入学したての頃は、保育園や幼稚園の感覚から抜け出せず、事細かに日常の様子を連絡帳に書いてきてくれたり、学校側にもそれを求めてきたりする保護者もいます。ただ、学校側としては正直それは……遠慮したいところなんです(苦笑)。

なぜかというと、それは子ども自身が親にも先生にも伝えるものだから。よほど何か報告すべきことがあれば別ですが、日常のことであれば親が先生に伝えるのではなく、自分のことは自分が伝える、それが自立への第一歩なんじゃないかなとボクは思います。

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