【日本初】内臓脂肪を減らす新薬「アライ」発売開始! 服用時は“おむつ着用”必須!?

【日本初】内臓脂肪を減らす新薬「アライ」発売開始! 服用時は“おむつ着用”必須!?

大正製薬ホールディングスは、2024年4月から内臓脂肪を減らす市販薬としては日本初となる「アライ」を発売しました。この内容について甲斐沼医師に伺いました。

≫大正製薬「抗肥満薬」処方箋なしで購入可能に「下痢や肝機能障害などの副作用に注意して使用を」

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

内臓脂肪減少薬「アライ」とは?

内臓脂肪を減らす市販薬としては日本初となるアライについて教えてください。

甲斐沼先生

大正製薬ホールディングスが開発・販売するアライは、体内の脂肪の吸収を抑えることで内臓脂肪の蓄積を阻害する薬です。大正製薬ホールディングスによると、食事中に含まれる脂肪の約25%を吸収せずに排出する効能があるとのことです。体重減少効果は3%程度とされていますが、摂取カロリーを抑えることができるようになるのが特徴です。

アライに含まれる「オルリスタット」は、1999年にアメリカで医療用として承認され、2007年に市販薬として販売されており、海外では薬局などで一般販売されている成分です。アライは肥満症ではなく、内臓脂肪減少という形でOTC(一般用医薬品)として販売されているため、医学的に減量を必要とする状態である肥満症の人はアライの対象外となります。

発売開始前から話題になっていたのでご存じの人もいるかと思いますが、アライの副作用として、油分を便として排出するので、下痢や軟便などを引き起こす可能性があります。そのため、服用時はおむつや便漏れパッドなどの着用が推奨されています。

アライを服用することができるのは、18歳以上の成人で、男性は腹囲が85cm以上、女性は90cm以上、BMIが35未満の人に限られます。BMI25以上で、脂質異常症や高血圧といった疾患を持つ人や妊娠中・授乳中の女性は使用できません。

「アライ」の販売開始への受け止めは?

アライが販売開始されたことへの受け止めを教えてください。

甲斐沼先生

2024年春から内臓脂肪を減らす市販薬として日本初で販売されるアライは、腹部や腹囲が太めで肥満傾向を示す者の内臓脂肪および腹囲の減少効果を有する内臓脂肪減少薬です。通常、食事中に含まれる脂肪成分は、脂肪分解酵素であるリパーゼによって分解されて、生体に吸収されます。アライの服用によって、有効成分オルリスタットがリパーゼに結合して、その酵素を不活性化することで脂肪の分解を阻害する働きがあります。

近年、日本における食生活を取り巻く社会環境の変化に伴って、肥満者の急増や生活習慣の課題が特に叫ばれており、生活者の健康に寄り添った製品開発の実現が待たれていました。そのような状況の中で、日本初となる内臓脂肪減少効果を発揮する市販薬であるアライが開発されたことで、国民一人ひとりが自分の健康を守り、より前向きに生活習慣の改善に取り組めることが期待されます。

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