黒柳徹子から令和のママ・パパへ、「未来はどうなるか誰にもわからない、だからこそ自分の信じる道を突き進んで」

黒柳徹子から令和のママ・パパへ、「未来はどうなるか誰にもわからない、だからこそ自分の信じる道を突き進んで」

黒柳徹子さんが小学生時代を過ごした「トモエ学園」でのできごとを一冊にした『窓ぎわのトットちゃん』は、国内外で2500万部以上が発刊、ギネス世界記録にも認定されました。そして昨年、『続 窓ぎわのトットちゃん』が42年ぶりに刊行。さらに映画化もされて話題になっています。今回は、黒柳さんが子どもの頃にどんな言葉がけをされていたのか、また子育て中のママやパパに向けて伝えたいことを聞きました。

この本を読めば、きっと“大丈夫”と勇気が出るはず!

――『窓ぎわのトットちゃん』では、黒柳さんが最初の小学校で退学になってしまったというエピソードは有名ですよね。子どもがみんなと同じことができない、周囲と馴染むことができない、友だちと問題を起こしてしまうようなことがあると、ママやパパは一気に不安になってしまうことも。アドバイスはありますか?

黒柳さん:こういうお悩みを聞くと、私の母はさぞかし大変だっただろうと思います。最初に通った小学校を退学になったことも、母は、私が大人になるまで黙ってくれていました。もしあのとき、「あなたに落ち着きがないせいで退学になった!」なんて言われたら、いくら鈍感な私でも、「私のせいでママを苦しめた」と思って、萎縮して、内にこもるようになっていたかもしれません。

ぜひ、『窓ぎわのトットちゃん』と『続 窓ぎわのトットちゃん』を読んでみてください。お子さんが読めば、「小学校を退学になっても、テレビの仕事が70年もできるんだ!」と思うかもしれませんし、お父さんお母さんも、「多少、抜け落ちたところがあってもだいじょうぶかな」と、安心して子育てができるのではないでしょうか。

――本の中で、トモエ学園の校長である小林先生の「どんな子どもも生まれたときは、いい性質を持っている。それを見つけて伸ばし、個性ある人間に」という言葉が印象的でした。“いい性質”を見つけて伸ばすためには、親はどんな声かけをするのがいいと思いますか?

黒柳さん:あまり難しく考えず、小林先生のように、子どもたちに「いい子だよ」と言って褒めてあげること。話し方で悩んでいたときに「あなたのしゃべり方がいいんです」と私に言ってくれた劇作家の飯沢先生のように、「そのままでいいんです」と個性を認めてあげること。それだけでいいのではないでしょうか。

私の母はお客さまの前で、私のことを「素直なだけが取り柄です」と言っていたので、私は、「キレイより、素直なのがいいんだ!」と思っていたくらいです。ありのままを認めてあげて、もし「こんなことをやってみたい!」と言われたら、できる範囲で応援すること。それくらいでいいと思います。

――『窓ぎわのトットちゃん』を通じて、黒柳さんが子どもたちへ、そしてママやパパたちへ伝えたいことを教えてください。

黒柳さん:それぞれの感じ方で読んでいただきたいので、「これが伝えたいです」とはあまり言いたくないんです。

でも、本の中の私は失敗ばかりしているので、子どもたちには、「失敗してもいいんだよ」「ちゃんと誰かがあなたのことを見守っているよ」ということが伝わるといいなと思います。ママやパパたちには、「失敗しても、許してあげてください」「子どものことを信じて、見守ってあげてください」ということを伝えたいです。

世界中の子どもたちが笑顔でいられるように。そのためなら何でもしたい!

――ユニセフ親善大使として40年間つとめられるなど、生涯を通じて、世界中の子どもたちのことを大切に思われて活動をされていると思います。その思いを教えてください。

黒柳さん:いつの時代も、子どもたちは希望の光です。将来に夢や希望を持てる世の中であってほしいという思いは、昔も今もずっと変わりません。

そして子どもたちには、いつもワクワクしていてほしいです。学校に行くのが楽しみだったり、友だちと喧嘩したり、仲直りしたり。毎日何か発見があって、体を目いっぱい動かして、ごはんをたくさん食べて、毎日ヘトヘトになって眠るような。そんな日々は、子どもの頃しか経験できないので。

未来が、子どもたちの笑顔で溢れるようにと、いつも夢見ていますし、そのために私にできることがあれば、新しいことでも何でも、やっていきたいなと思っています。

――これからやってみたいこと、挑戦してみたいことなどはありますか?

黒柳さん:以前は、90歳ぐらいになったら勉強して、政治記者になって、総理大臣に質問する人になろうかなと思っていたんですけど(笑)。でも、ちょっと間に合わないかなと思っています。

――これを読んでいるママとパパに向けて、黒柳さんから最後にメッセージをお願いします。

黒柳さん:辛いこととか、苦しいこととか、嫌になっちゃうようなことはきっと起こると思います。でも、この先に絶対にいいことはある、今自分が進んでいる方向は間違っていないと信じて、その道を突き進んでほしいですね。

「もしかしたらダメかもしれない…」と悪い方ばかりに考えないで、「いい方向に向かうんだ」「自分は間違っていない」と、前向きに考えることも必要ですよ。だって、悪い方に考えても、未来はどうなるか誰にもわからないじゃないですか。だったら、自分を信じて進んでいくのが、一番いいと思います。

写真提供/黒柳徹子さん 取材・文/内田あり、たまひよONLINE編集部

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年4月の情報で、現在と異なる場合があります。

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