「子宮肉腫が転移しやすい部位」はご存知ですか?転移後の生存率も解説!

「子宮肉腫が転移しやすい部位」はご存知ですか?転移後の生存率も解説!

近年では子宮頸がんワクチンが開発されたことにより、女性特有のがんに注目が集まりやすくなってきました。

しかし女性特有のがんにはさまざまな種類があり、なかには希少性が高く、現在も研究の進展が待ち望まれているがんもあります。

そのひとつが子宮肉腫です。

この記事では、子宮肉腫の特徴・よく似た名前の病気との違い・検査・治療法・転移などについて解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

≫「子宮肉腫の末期症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮肉腫とは?

まず、子宮肉腫とは一体どのような病気なのかを知ることが大切です。子宮肉腫の特徴・好発年齢・ほかのがんとの違いを解説します。

子宮に発症する希少がん

子宮肉腫は、子宮の筋肉などにできる悪性腫瘍です。発症率が極めて低い希少がんのひとつであり、発症するのは1万人に5人程度とされています。多くの子宮肉腫は子宮の本体と呼べる子宮体部に発生します。
子宮肉腫にはいくつかの種類があり、平滑筋肉腫や子宮内膜間質肉腫などに分類が可能です。子宮内膜間質肉腫は、さらに低異型度子宮内膜間質肉腫と高異型度子宮内膜間質肉腫に細分化されます。
子宮肉腫は全体的な発症数が少ないため、一般の産婦人科では診断や治療が難しい病気です。もしも子宮肉腫が疑われる場合は、住んでいる地域に婦人科腫瘍を扱っている医師がいるかどうかを調べ、できるだけ早く受診してください。該当する医療機関が近隣にない場合はセカンドオピニオンを受けたり、病理診断を受け付けてくれる病院を探したりなどして対処しましょう。

好発年齢

平滑筋肉腫は50〜55歳前後、子宮内膜間質肉腫は40代に発生しやすいとされています。また、高異型度子宮内膜間質肉腫は閉経後、子宮癌肉腫は60歳以降に好発する傾向があります。さらに、年代を問わず子宮筋腫と診断されたことがある人も注意が必要です。
子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍であり、閉経後に小さくなることも多いため、経過観察とされるケースが多々あります。筋腫が大きくなっている場合は、子宮肉腫の可能性も考慮したほうがよいでしょう。長年に渡って経過観察している方の場合は、あらためて検査を受ける・手術について相談しておくことも対策となります。
自覚症状がない病気は多々ありますので、ほかの病気の早期発見にもつながるでしょう。

子宮体がんとの違い

子宮肉腫は子宮体がんの一種と考えられていますが、両者の鑑別は難しいといわざるをえません。いずれも検診での発見が困難であり、検診による患者さんへの負担が大きく、ほぼ同じ初期症状が出るためです。
大きく異なるのは予後です。子宮体がんは比較的予後は良好ですが、子宮肉腫については予後不良となるケースも珍しくありません。

子宮肉腫の転移について

多くのがんでは、進行するにしたがって周辺のリンパ節や臓器に転移します。子宮肉腫も同様です。

転移を起こしやすい疾患

子宮肉腫のうち、子宮内膜間質肉腫はリンパ節に転移しやすいとされています。子宮平滑筋肉腫は肺や肝臓に転移しやすいとされる一方、リンパ節に転移する割合は低いとされます。
しかし、全体の症例が少ないため、今後は異なる数字が出てくるかもしれません。

主な転移部位

子宮肉腫の転移は、大きく二つのパターンに分けられます。ひとつはリンパ節転移です。ステージIIIC期にみられるもので、子宮周辺のリンパ節に転移します。
もうひとつは、ステージIVB期でみられる血行性転移です。こちらはがん細胞が血流に乗って離れた場所に転移するもので、肺や肝臓などが転移先となります。

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